電話応対でCS向上コラム

-中央出版株式会社-
第47回 一緒に考えながら学ぶことが大切

記事ID:C10053

 社員研修や電話応対技能検定指導の場で、時々遭遇する場面があります。「何か質問はありませんか?」と問いかけると、無言になったり、「大丈夫です」と言われたり…。本当に?と思いながら先に進む時の何とも言えない違和感が気になっていました。

純粋すぎる質問に困惑

 ある企業の依頼で、さまざまな人生経験をもつ方々に研修する機会をいただいた時のことです。ほとんどの受講生は、電話応対を実践したり学んだりしたことがありません。座学を一通り終え、電話応対の実践練習の段階になった時、ある受講生と電話取り次ぎのロールプレイを行いました。
 「○○は席を外しております」の言葉の前に、「申し訳ございません」を添えることを提案しました。すると、「何で謝らなきゃいけないんですか?こっちが悪いわけじゃないのに……」という質問が飛んできたのです。この問いの回答自体は難しいものではありません。ただ、この時私は一瞬言葉を失ってしまいました。なぜなら、相手は学生でも新入社員でもなく、れっきとした社会人。なのに質問が純粋すぎて、そのギャップに何から説明してよいか混乱してしまったのです。結果的に何とか理解はしてもらったのですが、私にはとても印象的な出来事でした。

一緒に考えながら

 先日、指導者級資格保持者用の『指導者のためのハンドブック』を読み返す機会がありました。その中に、『「○○はこれです」と、正解を答えてしまうのではなく、「どう思うか」「それはどうしてか」と、受講生に考えさせながら進めましょう。』という一文がありました。これまでは普通に読み進めていましたが、そういうことか!と、この一文が初めて胸に響きました。同時に、質問は受講生との対話のチャンスなのに、絶句し混乱してしまった自分がとても恥ずかしくなりました。

「なぜ?」こそ大切

 以来、「質問は?」に対して無言が続いた時は、「なぜ悪くないのに申し訳ございませんと言うんでしょう?」など、素朴な問いかけを発するようにしています。すると、さまざまな意見が出てきます。同時に、実はあまり理解できていないことも浮き彫りになります。
 一見、素朴とも思える疑問には、事柄の本質が隠れていることが多いものです。「なぜ?」に耳を傾け一緒に考える。これからも受講生と一緒に学び、一緒に成長できる講師を目指していきたいです。

次回の講師は、有限会社カスタマーケアプランの中村 友妃子さんです。豊富な講師経験を基に各種研修や、電話応対技能検定(もしもし検定)の試験実施の事前勉強会など、精力的に活躍されています。分かりやすく明解な解説が魅力の憧れの講師です。

秋山 幸代氏

中央出版株式会社 人材育成課所属。グループ企業における各種社員研修、電話応対品質管理、社内応対コンテスト、電話応対技能検定指導を担当。消費生活アドバイザー・電話応対技能検定指導者級資格保持者・今期(8期)電話応対技能検定指導者部会委員。

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