電話応対でCS向上コラム
-ケーブルテレビ株式会社-第46回 「聴く」ための想像力
記事ID:C10050
弊社は北関東エリアを中心に、地域に根差した企業・メディアとしてテレビやインターネットなどのサービスをご提供しております。地域の皆さまに「感謝の想いを感動へ」をスローガンに掲げ今年で30周年を迎えました。
お名前を確認しただけなのに
コールセンターに配属されて11年。現在も「すべてのお客さまが教科書」という気持ちで、ふさわしい応対とは何かを学ばせていただく日々です。お客さまは時に厳しくも、私たちに足りないことをいろいろと教えてくださいます。最近も、あるお客さまから教科書となるべき大切なことを教えてくれた電話がありました。
そのお客さまは、電話の冒頭からすでにご立腹で、私が口を挟む余地もありません。「先ほどの電話で私のフルネームと住所を確認されたが、私の苗字は珍しいから名前まで伝えなくても分かるはず。事務的応対として追加確認する必要はないし、そのような質問をするなら私を納得させてほしい」とのご指摘でした。“納得させてほしい”すべてはそこでした。聴けば、お客さまの苗字は日本に数件しかなく、先祖代々から受け継いできた自分の苗字に誇りを持って人生を歩んできたとのことでした。
私はそのお気持ちを尊重しつつ、お客さま側と当社側の双方にとって情報確認をすることの必要性をお伝えしました。すると「最初からその説明があればいいんだよ。次からは答えるよ。今の話をほかのメンバーに伝えるのが教育、それがあなたの仕事でしょ」と最後に激励の言葉までいただきました。
お客さまの声から何を学ぶか
当たり前に必要な確認でも、その答えの中にはお客さまの“大切な何か”が詰まっています。だからこそ「聴く」ための想像力が欠けた途端に「尋問」に変わってしまうのだと教わった気がしました。
大切なことはまず、なぜその質問が必要なのかを質問者側が正確に理解していること。次に、その質問の必要性をお伝えしながら質問すること。双方が納得した上で丁寧に会話を進めることができたなら“大切な何か”を軽んじることなくお客さまの気持ちに寄り添った応対に近づけるはず。私は早速、応対を「作業化」させないために研修内容の見直しを行いました。
電話応対コンクールでの学び
では、どのような会話をしたらお客さまの気持ちに寄り添った応対ができるのでしょうか? 応対の理屈は分かっても実際どう表現したらよいか分からないという方がいます。その答えの一つは電話応対コンクールへの出場です。コンクールは実務に活かせる学びが多く、今の自分の基盤となっています。特に語彙力と音声表現力が磨かれました。コンクールに出場することでさまざまな表現方法を知り、会話が変化し、事務的な会話から脱却でき、親しみやすい応対に変わった方を何人も見ました。自分の応対を楽しむためにも、コンクールの場で新たな表現を磨いてはいかがでしょうか。
三澤 教子氏
ケーブルテレビ株式会社 カスタマーサービス部 コールセンター所属。電話応対技能検定指導者級資格保持者。社内で応対力向上のための研修を担当し、「電話応対技能検定講座」の講師も務める。第51回電話応対コンクール全国大会優勝を機に、コンクール出場者の育成を担当。今期(第8期)電話応対技能検定指導者部会副委員長。