電話応対でCS向上コラム

-パナソニック株式会社-
第35回 感じとり、伝えてこそつながる心

記事ID:C10027

「お客さま大事」の心を形に

 パナソニックグループでは、創業者 松下 幸之助の経営理念に基づき、さまざまな事業活動を行う中、特に2004年度から「マナー向上活動」に力を入れ、2010年度からは「電話応対技能検定(もしもし検定)」も導入し組織的かつ継続的に推進しています。マナー向上活動は、企業・ブランドイメージを左右する従業員一人ひとりのマナーや応対力を高め、お客さま満足度の向上を目指す取り組みです。この地道な活動推進により、従業員マナーに関するお客さまからのお叱りは以前より大幅に減少したもののゼロではなく、私が担当する「マナー向上活動全社事務局」には今でもお叱りの電話が入ります。

体験して初めて気づいたお客さまのお気持ち

 お客さまのお叱りの電話応対に慣れない頃は、緊張感や時に恐怖心のほうが先に立ち、肝心なことを聞き損ねたり、形にとらわれすぎた自らの応対に対し自己嫌悪することもあり、正直、電話を受けたくないと思うこともありました。
 ある時、お客さまから「家族みんなが好きで、ずっとパナソニックの商品を使っている。会社のイメージが悪くなってほしくないから電話した」「パナソニックには社会の手本になってほしい」というお言葉をいただきました。中には、配慮ある言葉を選び丁寧にお話をされる方、申し訳なさそうに震える声でお話をされる方もいらっしゃいました。かける側にも言いにくいことを伝える勇気がいること、弊社へのご愛着・ご期待を持ってくださっていることを肌で感じました。今でも緊張感は拭えませんが、この時の申し訳なさと感謝の思いから、まずはつながっている目の前のお客さまに寄り添い、最善を尽くすことを心がけています。
 ただ、こうした体験を通じて心から実感できたことを教育で伝える難しさを感じています。

ニューノーマルな働き方の中で

 グループ内でも事業や職種の違いにより、業務上、お客さまとの電話や接遇応対の機会には差があります。しかし、自分以外はすべてお客さま(たとえグループ内であっても指導や支援への感謝の気持ちで接する)と考え、グループ従業員として学び、実践すべき基本的なマナーを身につけてほしいと考え、「マナー向上活動」の中で電話と接遇応対の教育も行っています。

 コロナ禍の中、働く環境とともに、電話や接遇応対が電話機や対面からオンラインに変化しつつあります。時代や社会情勢によってコミュニケーションツールが変わっても、それを扱うのは「人」です。仕事は人対人で成り立つもの。ツールで効率化を図りつつも、相手の心を感じとり、心を適切な形に表し相手に伝えることを大切にし、お客さまのご愛情・ご期待にお応えする、そんな姿を目指し、今後も環境変化に応じた活動を推進して参ります。

次回の講師は、株式会社SHARP COCORO LIFE COCOROサービス部の印南 承代さんです。同社のCS部門で働く印南さんは電話応対だけでなく、メールやチャットの応対指導や電話応対技能検定指導者級資格保持者として、企業内で検定実施を行うなど活躍されています。

赤木 みどり氏

パナソニック株式会社 プロフェッショナル ビジネスサポート部門 総務部 企画助成課主務。2012年1月より現部門にて、マナー向上活動全社事務局として全社行事/研修企画・運営、及び社内カンパニー・事業場の活動支援を行う。社内マナーチーフインストラクター、電話応対技能検定指導者級資格保持者。

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