電話応対でCS向上コラム
第21回 電話で築く信頼関係-新庄商工会議所-地域活性化のために
商工会議所は「地域内の商工業の総合的な発展を図り、兼ねて社会一般の福祉に資する」という目的に基づき事業を行う地域総合経済団体です。全国には515の商工会議所があり、その会員数は125万人に上ります。
新庄商工会議所もその活動目的に沿い、地域内の小規模事業者の皆さまの経営支援や地域が抱える課題解決のために日々事業を展開しております。最近では交流人口や関係人口の増加による地域経済の活性化を目指して、観光振興事業の分野にも力を入れています。
自分の思いとお客さまの思い
商工会議所への電話の内容は、経営に関わる相談はもとより、お店の所在確認や観光情報の問い合わせなど多岐に渡ります。特に、ユネスコ無形文化遺産に指定されている「新庄まつり」が近づく8月は、まつりの問い合わせが一日に数十件ということも珍しくありません。日々の業務をこなしながらですから、気をつけていても丁寧な応対ができず、それが苦情に発展することもあります。
以前こんなことがありました。行事内容についての問い合わせです。3日間にわたる内容を電話で伝えるのは効率的ではないと思い、すぐにホームページに記載されているとご案内しました。すると、それまでのお客さまの様子が一変するのが分かりました。そして「それができないからわざわざ電話して聞いているのだ」と強い口調でおっしゃったのです。すぐにお詫びし、行事内容について丁寧に説明しました。幸い最後は、「丁寧に説明してくれてありがとう。まつりに行くのを楽しみにしているよ」という言葉をいただきました。電話を切り、改めて考えました。行事内容がホームページに記載されていることは容易に想像がつくことです。お客さまのためにと思った私の応対は自分の勝手な思いでしかなく、お客さまの思いや視点に立っていなかったことに気づきました。この経験を機に、お客さまの言葉の背景や思いに、今まで以上にしっかりと寄り添うことを心がけるようになりました。
お客さま視点を忘れずに
電話応対は慣れれば慣れるほど、基本である「お客さま視点」を忘れがちです。お客さまが求めていることに誠実に丁寧に答えることで初めてお客さまとの信頼関係が生まれます。常にお客さま視点の電話応対ができる人材を育てていくことが私の目標です。そして、電話を通してたくさんのお客さまとの信頼関係を築いていきたいと思います。
佐藤 亜希子氏
新庄商工会議所 総務課長。1992年入所。1996年、電話応対コンクール全国大会出場。以来、職場内はもとより地域内における電話応対コンクール出場者の指導にあたるほか、県内各地で行政、一般企業、教職員、学校事務職員、求職者などを対象とした電話応対マナー研修、クレーム対応研修講師として活躍。秘書検定1級、電話応対技能検定指導者級資格保持者(第20期生)。