電話応対でCS向上コラム

第17回 最高のサービスを届けられる組織へ-株式会社コンシェルジュ-

生協のコールセンター

 私たちは毎週約22万人の組合員に商品をお届けしている、大阪いずみ市民生活協同組合のコールセンターを運営しています。このコールセンターは14年前に開設し、私はオープニングスタッフとして雇用され、一緒に働くコミュニケーターたちと毎日約2千件ものお電話に応対しています。中には苦情のお電話をいただくこともありますが、常に懇切丁寧に応対し、CS向上を図るために奮闘する日々を送っています。

期待に応えるということ

 私がコールセンターに勤務して5年が経ち、管理者になった頃、あるお客さまから「予約注文したうなぎが届かないのですが…」というお電話をいただきました。応対したコミュニケーターが注文内容を確認したところ、そのお客さまの予約はありませんでした。「ご予約いただいていないようですね」「あ…そう…じゃあ…いいです」その電話はそれで切れたのですが、後ほどそのお客さまの息子さんから大変お怒りのお電話をいただきました。「年寄りが予約していると思って電話したのに、そんな冷たい言い方しなくてもいいじゃないか!」お話をおうかがいすると、息子さんのお母さまは、土用の丑の日に家族にうなぎを食べさせるため、毎年生協で注文しているとのことでした。今年も準備できていると思っていたにも関わらず商品が届かず、不安で電話をしたところ、あっさり注文できていないと言われたことで、とても落ち込んでいるということでした。

生活の一番近くの事業者だからこそ

 「生協だから信頼していた、生協だからもっと優しい対応をしてくれると思っていた」

 そんな息子さんのお言葉を聞き、配慮ある言葉がけやお客さまに寄り添った対応ができていなかったこと、応対教育が不足していたことを謝罪しましたが、許していただけませんでした。

 生協として求められている姿は何か?生活の一番近くの事業者の対応とはどうあるべきか?お客さまに寄り添うとはどういうことか?私たちの電話応対教育はここから始まりました。「コミュニケーションのプロを育てる」この目標を実現するために、まずは私から指導者級資格を取得し、弊社は電話応対技能検定(もしもし検定)の実施機関となりました。また、この検定を人事制度に絡めることで、多くの従業員に興味を持ってもらうようにしました。ただ、制度を整えただけでは多くの従業員はチャレンジをしません。そこで、社員に声かけを行い、少しずつ受検者を増やしていきました。「電話応対が広く深く大切な仕事だと初めて気が付きました」「業務だけでなくこの先の自分の財産になる気がします」合格者からそんな声が聞こえ始めると、自然に受検者は増え、受検数に比例して少しでもご満足いただける応対をしたいと話すコミュニケーターも増えてきました。

 現在弊社では、もしもし検定を電話応対のコミュニケーターだけではなく、お店でお客さま応対をする店舗従業員にまで広げて実施しています。もしもし検定を通じて、「人を想う」ことが出来る人材を育てる。その人材がお客さまに最高のサービスを提供する。そんな組織を目指していきたいと思っています。

次回の講師は、株式会社Mizkan Partners MIZKAN MUSEUM の吉田 朱里さんです。お酢で有名なミツカンのお客さま相談センターで、在籍時に電話応対技能検定指導者級資格を取得され、現在は第5 期指導者部会の委員もされています。お客さま応対についてとても熱心な想いがある指導者です

植村 知佐子氏

大阪いずみ市民生協グループ株式会社コンシェルジュ 取締役として在任。コールセンターのパート社員として入社し、事業部長を経て入社13年目で取締役に就任。「技術を盾に」を合言葉に、感覚だけでお客さま応対をするのではなく、技術をつけてお客さま応対をする事の大切さをいろいろな場面で組織全体に広げていくために企業内指導者として、かつ経営者の一員として日々人材教育に奮闘しています。

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