電話応対でCS向上コラム
第13回 お客さまに寄り添った応対“顧客主語”の実践-キヤノンカスタマーサポート株式会社-お客さまとの会話から学んだ話
弊社は、電話・対面でのお客さま応対を主な業務としており、製品の操作案内や修理の受付など、さまざまなお客さまとお話をする機会があります。現在、私は全社の研修の企画や実施、電話応対コンクールの指導部門におりますが、以前はコミュニケーターとして、大型の複合機のお問い合わせを担当しておりました。今回ご紹介するのは、その時に応対した、あるお客さまとの会話から学んだ話です。
お客さまに「気をつかうよ」と言わせてしまった
コミュニケーター時代のある日、ほかの製品担当から私に電話が転送されてきました。その際、製品担当者から「大変お困りのお客さまで、少しお怒りです」と申し送りがありました。そのお客さまはご年配の男性の方で、電話を代わって話をお聞きしたところ、封筒の印刷方法が分からず、何度も失敗されているとのことでした。
私はお詫びを伝えたあと、「ご一緒に操作をお願いできますでしょうか」と伝え、「原稿をセットしていただけますか」「手差しトレイに封筒を差していただけますか」と、操作方法のご案内を始めました。お客さまは、私の説明を聞きながら一緒に操作をしてくださったのですが、しばらくたった後に優しい口調でこうおっしゃいました。「お姉さん、いちいち『~していただけますか』って言わなくてもいいんだよ。俺が気をつかうよ。それよりも『やってください』と命令してくれたほうが分かりやすいし、やりやすいです」と。
洞察・察知の大切さ
そう言われた時、自分がお客さまの気持ちを洞察・察知できていなかったことに気がつきました。お客さまは比較的フランクな話し方をされる方で、一刻も早く、問題の解決を望んでいらっしゃいました。命令はできませんが、丁寧な応対だけではなく、簡潔な説明も行うべきだったのです。その時私に足りなかったのはキヤノングループの指針の一つでもある“顧客主語の実践”でした。これは、常にお客さま起点で考え、お客さまの立場で行動することです。
どのお客さまにも決められた話法でお話しするのではなく、お客さまが快適にストレスなくお話しできる柔軟な応対の大切さにあらためて気づかされた瞬間でした。
“対応”から“応対”へ
現在、私が直接お客さま応対をする機会はありませんが、研修や電話応対コンクールの指導を通して、洞察・察知の大切さを伝えています。お客さまが何を望んでいるか、自分が発した言葉でお客さまがどう感じるか。これからもコミュニケーターと一緒に、お客さまに寄り添った応対とは何かを学んでいきます。
酒井 敦子氏
キヤノンカスタマーサポート株式会社 事業推進部 事業推進第二課。全社研修企画・実施、電話応対コンクール指導のほか、グループ会社の電話応対評価及び新人研修などを実施。電話応対指導者級資格保持者。