電話応対でCS向上コラム
第12回 相手を思いやる行動や言葉を紡ぐ、人間だからこそできること-ヤマト運輸株式会社-心温まる素敵なメッセージ
2019年の寒い冬の日、ある美容院の外壁に「受験生の皆さん 大丈夫 落ち着いて」という手書きのメッセージが貼られていました。その美容院の前の道は、私の母校へとつながっており、毎日大勢の学生たちが通ります。ほかのお店は宣伝や求人募集のポスターなどを貼っていましたが、その美容院は受験生へ向けてエールを贈っているのです。寒さと緊張でガチガチになっている受験生の気持ちを考えて書かれたそのメッセージを目にした時、驚きとともに心が温まりました。そして、相手のことを考えて行動することの大切さを、改めて実感させられたのです。
相手を思いやる思考、表現方法をトレーニング
私たちは毎日多くのお客さまと接し、大切なお品物をお預かりし、お届けしています。近年、物流におけるお客さまのニーズも多様化し、求めるサービスも高度化する中で、接客応対の質をより高めるためにも電話応対コンクールへの参加はますます重要だと認識しています。電話応対の指導を行っている私自身、社員と一緒に電話応対コンクールに参加するとともに電話応対技能検定(もしもし検定)にも挑戦し、多種多様なお客さまや場面を想定した応対品質の向上に努めています。例えば、与えられた情報や考えられる状況をホワイトボードに書き出し、社内外の参加者同士で討議します。どのような言葉や言い方が適切か、それが本人の個性に合っているかなど、表現の仕方などを指摘し合うのです。それを何度も練り直し、音声表現も各自で工夫します。普段何気なく使っている言葉やコミュニケーションを徹底的に考えることで、相手を思いやる思考と、それを表現するスキルの両方をトレーニングしているのです。
品物に込められた想いも一緒にお届けできる人材を育成
コンクールや検定で身についた考え方や応対スキルは、公私問わずさまざまな場面で活用することができます。2019年1月には、弊社の教育施設で電話応対技能検定指導者級資格保持者のワークショップを開催しました。関東地方を中心に多業種が集まり、19名の企業内指導者の皆さまと一緒に学ぶことができました。自社が基準になりがちな企業内指導者にとって、お客さまの声や考えをうかがう貴重な機会となりました。どのような職種、仕事内容、経歴を持った方々が挑戦するのか、コンクールや検定への意欲なども含めて新たな発見があり、視野も広がりました。
弊社では、対面や電話での応対のほか、ウェブやメッセージツールなどによる応対業務も行っており、今後、このようなコミュニケーションがさらに増えていくと予想されます。そのような時代だからこそ、電話応対コンクールやもしもし検定を活用しながら、相手を思いやる行動や言葉を紡ぎ、品物に込められた想いも一緒にお届けできる人材を育成してまいります。
山口 夏子氏
ヤマト運輸株式会社 南関東支社所属。社内教育施設である「関東クロネコアカデミー」の校長として、関東地方の社員や講師の育成、電話応対コンクール出場者の指導に従事している。電話応対技能検定指導者級資格保持者。