電話応対でCS向上コラム

第6回 電話応対コンクールでコミュニケーション力を身につける-合同会社石亀美夜子オフィス-

社内の困りごとを改善

 私は長年にわたって電話応対コンクールの審査員を務め、応対トレーニングの講師としても活動しています。これからお話しするのは、ここ数年、私が電話応対の研修を担当している会社のことです。同社では、総務統括部の人事厚生を担当する一人の女性が中心になって、電話応対コンクールに取り組んでいます。彼女自身も出場経験があり、毎年新入社員を中心に選手を選抜してコンクールに出場させています。実は今年、彼女がリーダーを務める総務統括部のQCサークル活動※1が『日本選抜QCサークル(小集団改善活動)』の全国大会※2に出場し、金賞に選ばれたのです。

 大会では、3年間にわたり同社が取り組んできた、社内の困りごとの改善事例を発表。それは、「社員食堂の渋滞をなくす」「打ち合わせスペースの改善(机のレイアウトの変更やプロジェクターなどの備品を簡単に使えるようにする)」「社員同士の交流の場を作る(屋上にテラスを作り、お花見やハロウィンなどのイベントを催す)」などです。金賞に選ばれた理由は、これらの改善事例が優れていたことはもちろん、発表の場で活動内容を分かりやすく伝えることができたことも大きなポイントだったそうです。

電話応対コンクール参加で学べること

 「今回の金賞は、電話応対コンクールに参加して、分かりやすく伝えるトレーニングを積んできたおかげです」と彼女は笑顔で語ります。

 電話応対コンクールでは、相手に伝わるように話すため、「書き言葉」ではなく「話し言葉」で会話するように指導しています。例えば、「書類にご記入いただきご送付ください」という文なら、書き言葉である「記入」「送付」を、話し言葉である「書類に書いてお送りください」に置き換えることで伝わりやすくなります。言い回しを柔らかくすることで、相手にとって受け入れやすい表現になるのです。彼女も社員の方への退職金などの説明をする際に、初めての人にも理解しやすい言葉を選んで説明するように心がけているそうです。また、「一文を短くすること」も大切にしています。主語と述語が離れ、その間に修飾語などがたくさんあると伝わり難くなるし、読点で次々と文章をつないで話すと分かりにくいです。自己紹介で「私は横浜の出身で、学生時代は演劇部で活動し俳優を目指していたのですが、今は都内の会社で働いています」とダラダラとつながった一文で話す場合と、「私は横浜の出身です。学生時代は演劇部で活動し俳優を目指したこともあります。今は都内の会社で働いています」と文を短くして伝える場合とは伝わり方がずいぶん違います。

 今回の輝かしい結果は、直接電話応対に関する受賞ではありませんが、コンクールに継続して挑戦し、トレーニングを重ねたことが社員のコミュニケーションスキル向上につながったと言えます。

 電話応対コンクールを上手に活用し、職場のCS向上に貢献した大変嬉しい出来事でした。

※1 QCサークル活動:同じ職場内で品質管理活動を自発的に小グループで行う活動(小集団改善活動)。
日本選抜QCサークル(小集団改善活動)の全国大会:全国のQCサークル各支部から推薦された企業が、小集団改善活動の運営の工夫や個の成長、活動の継続性・発展性などの運営事例と改善事例などを発表する大会(QCサークル本部・一般財団法人日本科学技術連盟主催)。

次回の講師は、元株式会社ファンケル大学のトレーナー中里 美幸さんです。過去に電話応対コンクール全国大会へのご出場経験があり、コールセンターでのオペレーター教育に熟知した頼りがいのある先生です

石亀 美夜子氏

合同会社石亀美夜子オフィス代表社員。20年以上TV でフリーアナウンサーとして活動。「伝える力」と「聴く力」を鍛える研修を行い、共感力の伝わる温かい音声表現の指導に取り組んでいる。電話応対技能検定指導者級資格保持者。

入会のご案内

電話応対教育とICT活用推進による、
社内の人材育成や生産性の向上に貢献致します。

ご入会のお申込みはこちら