電話応対でCS向上コラム

第4回 場を変えるために学びがある-有限会社早蕨-

人は、学び、成長したい

 私は自動車部品製造会社で働く男性社員の方々へ、電話応対やビジネスマナーの研修を続けています。研修の主な目的は、東京ビッグサイトで開催される展示会で「製造現場の社員が自社商品をお客さまに直接説明できるようにする」ことです。

 研修を依頼した社長は「社員は会社や自社商品に対してロイヤリティ(忠誠心)を持って業務に取り組んでもらいたい」という思いを持っています。かつて自動車部品販売会社を経営していた私にも、その思いは痛いほど分かります。人は、学び、成長したい、という思いを持っています。経営者はこの研修を通じて、社員の成長に期待しているのです。

人は場の雰囲気に影響される

 研修当初は、受講する社員の方から「このような研修が本当に必要ですか?工場にお客さまが来ることはほとんどないし、困っていることは何もないので時間の無駄ですよ」といった不満も聞こえます。中には「毎日の仕事をそつなくこなすだけで夢は無い。自分たちの人生はそんなもの」という考えを持つ受講者もいます。人は場の雰囲気に影響されます。私は場の雰囲気を盛り上げるために「仕事があること、仕事ができるということは幸せだと思いませんか?夢を持つのは一部の人だけではありません。自分で道を塞がず一緒に学んでいきましょう」という声掛けから始めました。そして、マナーの形だけではなく「なぜご飯と味噌汁の置き方が決まっているのか」「なぜ日本は左側を上座と定めたのか」といったマナーの背景なども一緒に勉強していったのです。

一人が輝くと周りもどんどん輝く

 その研修が二年目に入った時のことです。ある年配の男性社員の方から「今日はどんなことを学べるのですか?」と聞かれました。一瞬、聞き間違えたのかと思いましたが、彼は満面の笑みを浮かべています。理由を訊ねると「研修で習ったことをいつも夕食の時に家族に話しているのですが、娘が『お父さんすごいね!そんなこと知っているの!』と言ってくれるのが嬉しいのです」と言うのです。研修が家族の絆づくりにも影響を与えている。こんな嬉しいことはありません。すると、それを聞いたほかの若い社員たちからも「来年の商談会には絶対に参加し、自分の作った製品をアピールします」といった前向きな発言が次々と聞こえてきます。“良い場”が出来ると、人は、もっと学ぼうと思うのですね。一人の幸せな言葉が、周りをどんどんと明るい方へ引っ張っていったのです。

 一人が輝くと周りもどんどん輝いてくる。私はこのような研修を通じて「場を変えるために学びがある」ということを強く実感しています。

次回の講師は、松尾 友子さん(電話応対技能検定指導者級資格保持者)です。松尾先生に教えていただいた人は「かしこまりました」の一言をスッと発することが出来るようになります。そのような指導をなさる、優しくて品のあるお姉さんのような方です

原田 さとみ氏

自動車部品販売業の社長を26年間務め、その間に電話応対の重要性を痛感。自らも「電話応対技能検定(もしもし検定)」を受講。今も多くの経営者に対して、もしもし検定の有効性と魅力を伝えるために東奔西走しています。

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