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企業ICT導入事例

ICT導入事例 -浅草中屋(中川株式会社)-

プロモーション

公開日:2016/09/28

「祭用品」という限られた市場--- ICTを活用し、売上・利益率改善と集客力向上

祭に用いる伝統的な装束「祭用品」を専門に、インターネットやカタログ、実店舗などのチャネルで販売しているのが、創業以来100年の老舗「浅草中屋」です。同社では一時低迷した業績をICTで立て直し、実店舗への集客増にも成功しました。

祭の本場・浅草に拠点を構える100年超の老舗の「祭用品」商い

▲代表取締役社長・中川 雅雄氏

日本を代表する「三社祭」は浅草神社の祭ですが、その真向かいにあるのが、祭用品専門店「浅草中屋」本店です。1910年に衣料品店「中屋」を創業して以来の100年を超す老舗で、1970年に現在の場所で本社・本店を設け、1988年、3代目を承継したのが現社長の中川 雅雄氏です。同社が扱う祭用品は、袢纏(はんてん)、腹掛、股引、鯉口シャツ、ダボシャツ、帯、足袋、巾着袋など多岐にわたります。

「当社は、企画・製造・販売を自社で行うSPA※で、半分以上がオリジナル商品です。製造は国内と海外35カ所の工場に委託しています。また実店舗2店のほかにカタログ通販、インターネット通販、デパート販売、各地催事場での販売と、販売チャネルが5通りあります。私が経営を継いだ1994年から20年をかけて6倍の売上規模にのばしました。その後インターネットの普及に伴い、同業者との競争も激しくなり、2009年頃から売上の減少が続き、3年ほど停滞が続きました。経営を立て直すためにICTの利用方法を見直すことにしたのです。結果、業績を回復。実店舗での販売客数も増加しました」(中川氏)

すべての情報を連動させ、リアルタイムに対応できる体制に

業績を回復したICT活用とはどんなものだったのでしょうか?

「特定市場相手の商売ですが、私は早くからアパレル企業が行っているビジネスモデルを念頭に置いてきました。ですからコンピューター導入やカタログ販売も、インターネット通販も業界に先駆けました。しかし、それらがバラバラに機能していたための欠点も多かったのです。例えば、取引量が増えて店舗分と通販分の在庫が分かりにくい、個別のお客さまへのタイムリーなマーケティングができない、などの課題が生まれたのです」(中川氏)

中川氏は、2011年頃からITコーディネータや中小企業診断士の助言を受けてICTの見直しと業務改革に取り組んできました。その内容をまとめると四つのポイントになります。一つ目は、基幹システムと顧客情報、在庫、出荷などの情報を連携させてリアルタイムで把握できるようにしたこと。仕入や工場など取引先とも連携しています。二つ目は、データベースやウェブなどのサーバーを社外に切り出し、人件費や管理費を削減したこと。三つ目は、通販用ホームページやメルマガなどを見直して、お客さまごと、地域や季節ごとに祭用品を紹介する情報発信を始めたこと。そして四つ目は、組織と業務の改革です。新たにシステム課と物流課を設け、営業部門にeコマース担当とウェブ担当を置きました。そして月に2回、担当セクションの人間がIT戦略を話し合う「eコマース会議」も開催するようにしたのです。

結果として、業務の流れが迅速・的確になり、取引先への発注も計画的になって、インターネット通販の実績も徐々に向上してきました。社員たちもICT活用の習熟度が高まり、モバイル端末で外出先からも経営データが把握できるようになりました。

店舗とインターネットの連携を強めるために細かな情報発信とシミュレーションを実施

こうして2012年頃から客単価、利益率とも回復基調になってきましたが、注目すべきは本店と仲見世にある実店舗への来客数も増えたことです。

▲誂えシミュレーターでオリジナルの木札や提灯などが、インターネットで手軽に作成できる「中屋ファクトリー」

「当社の通販サイトでは、季節や各地の祭に適したセールや送料割引の掲載や、祭装束の着こなし方を載せるなど、きめ細かく情報発信しています。祭の写真募集やスタッフブログ、ロケーションを活かした浅草ライブカメラ中継(YouTube配信)なども盛り込んでいます。また、経産省ものづくり助成金で『中屋ファクトリー』を立ち上げ、開発した『誂(あつら)えシミュレーター』も組み込みました。祭用品の多くは誂え品ですから、木札や提灯などに名入れする際にできあがりを確認できます。このような情報やシミュレーションに興味を持ち、実際に店に来て商品に触れてみれば、品質もサービスも良い店だと納得していただけます」(中川氏)

  • ▲祭衣装や小物を中心に、さまざまな祭用品をリアルな店舗とオンラインショップなどで販売。浅草の名物店として人気を集めています

    みこしの担ぎ手は体力だけでなく、足袋や腹掛、ダボシャツなど衣装の消耗も激しいのですが、それだけに品質が良くて丈夫なものを、実際の目で確かめて購入するのだそうです。

江戸情緒や祭文化へのさまざまなコンテンツが経営を支える

同社のホームページには、「江戸東京人セミナー」というインタビューによる音声番組も公開されています。これは都内の有名老舗の主人らに話を聞くシリーズです。また「いい祭りニッポン」というコンテンツには、全国各地の祭が地域と季節別に紹介されており、それぞれの祭の縁起や楽しむポイントなどが要領よく解説されています。

最後に、同社の今後の展開についてもお聞きしました。

「今、日本の祭は、担い手不足。衰退する祭がある一方で、有名な祭には集客が増えるといった傾向があるようですが、祭用品の市場はこれ以上拡大することはないでしょう。当社が生き残るには、品質の良いもの、ご希望に叶うものを、迅速・確実に提供するしかありません。お客さまの動向をICTの活用でリアルにつかみ、PDCAを回しながら改善してコストを削減し、もっと筋肉質の企業体質になりたいと考えています」(中川氏)

※ SPA:Speciality store retailer of Private label Apparel の略。製造小売ともいう。企画から製造、小売までを一貫して行うアパレルのビジネスモデルを指す。

会社名 浅草中屋(中川株式会社)
創業 1910年(明治43年)5月
設立 1950年(昭和25年)12月
所在地 東京都台東区浅草2-2-12
代表取締役社長 中川 雅雄
事業内容 祭用品の小売、通信販売
URL http://www.nakaya.co.jp/

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