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企業ICT導入事例

-株式会社福しん-
創業理念「お客さまの声を聞く」を重視したネット時代の口コミマーケティング 記事ID:D20026

東京・池袋を拠点に首都圏で31店舗を展開するラーメン・定食の中華チェーン「福しん」は、口コミ管理ツールを導入し、顧客とのコミュニケーションを積極的に推進しています。「お客さまの声を聞く」を創業以来の経営理念に掲げる、同社営業部企画課広報課長の宮下雄一氏に、福しん流の口コミマーケティングについて話をうかがいました。

今も昔も変わらない顧客の声を聞く大切さ

営業部 企画課 広報課長
宮下 雄一氏

 ラーメン・定食の中華チェーンを営む「株式会社福しん」は1964年の創業以来、顧客の声を重視する経営を推進してきました。そのため、これまでハガキやアンケート用紙、電話などで寄せられた声を、業務改善に結びつけてきたと言います。

 「創業者はとにかく現場第一、顧客第一の人物で、引退してからも頻繁に店に足を運びお客さまの生の声を聞いていました。その精神は各店舗にも引き継がれており、ハガキで寄せられたご意見に対して店舗責任者が丁寧に返信するなど、顧客第一のビジョンは当社の企業文化といっても過言ではありません」(宮下氏)

 同社がアナログによる情報収集から脱却し、デジタル化を進めたのは2018年からのことでした。Googleが提供している無料の情報管理ツール「Googleビジネスプロフィール(当時はGoogleマイビジネス)」に全店をオーナー登録し、ICTを活用したお客さまとの新しい関係構築に乗り出しました。

 「Googleビジネスプロフィールの活用で、店舗に対する口コミや評価がスピーディーに得られるようになり、コメントへの返信や内容に対するレスポンスが大変スムーズになりました。当社では常時2名の担当者が顧客対応をしていますが、従来のホームページのお問い合わせフォーム、電話、店頭配布のアンケートハガキなどのツールに比べ、お客さまの意見がリアルタイムに得られ、迅速な対応ができると、現場の評価も上々でした」(宮下氏)

 しかし同時に、チェーン展開を推進する「福しん」と、サービスとの相性の限界も見えてきたと宮下氏は語ります。

 「同サービスは、1店舗に1プロフィール存在するため、当社の場合は31店舗でそれぞれ別の管理が必要でした。そのため、例えば31店舗全店共通のイベントを告知する際にも、同じ内容の告知を31回入力しなければならず、煩わしさを感じることが度々ありました。口コミ投稿の確認も同様で、31店舗別々に見ていく必要があったため、どうしても見逃しが発生してしまい、今後のチェーン店数の増加を考慮すると、根本的な解決を図る必要があると強く感じていました」(宮下氏)

口コミ管理ツールの導入で店舗の一括管理と省力化を実現

 Googleビジネスプロフィールの活用で感じていた課題を解決するため、同社は口コミ管理ツール「口コミコム」を導入しました。これは、世の中のさまざまな地図アプリや口コミサイトなどにアップされている情報を収集し、店舗情報の一元管理や分析などが行える多機能ツールです。

 同社では現在、口コミコムを介してGoogleマップとデータ連携し、31店舗の定期的な一括情報発信などを行っています。また、オンタイムでの口コミ投稿管理も行っており、業務の省力化と正確性の向上を実現しています。ほかにも、店頭に設置したQRコードのアンケート(画像参照)と連動させるなど、よりリアルなデータ収集も行っています。

QRコードの設置など、投稿スタイルのウェブ化により寄せられる顧客からの声は大幅に増加した。※QRコードは実際のものとは異なります

 これらの取り組みにより、宮下氏はお客さまの声の重要性はもちろん、タイムリーなキーワードを使った情報発信の効果も実感したと言います。

 「初夏を迎えた頃、競合他社に先駆けて『冷やし中華始めました』の告知を展開したところ、いきなり各店のGoogle検索件数が増加して驚かされました。この時、タイムリーなキーワードを使って季節商品をオンタイムで発信することの大切さを学びました。また、コロナ禍の初期、席と席の間のパーテーションの設置が遅れていた店舗に対して、お客さまから厳しいご意見をいただいたことがありました。この時もリアルタイムで口コミをチェックしていたおかげで即刻対応することができましたが、お客さまからのご意見にリアルタイムで向き合うことの重要性を実感しました」(宮下氏)

デジタルでも欠かせない人の温かさを感じる交流

 「福しん」の口コミ管理ツールには、毎月約150通のコメントが寄せられています。内容は味の評価に関するものから店舗への提言などさまざまですが、同社では管理ツールの定型返信フォームは一切使用せず、担当者がすべての投稿に対し自分の言葉で返信(図参照)しています。

図:担当者が心をこめて投稿した返信の実例

 「返信する際はプラスアルファの情報提供を心がけるなど、AIの定型文では対応不可能な、温かさが伝わる返信を心がけています。厳しいご意見の場合も同様です。例えば『××店の責任者である〇〇が確認いたします』など、誰がどう対応するのかをできるだけ具体的に示し、お客さまからの信頼感の醸成に努めています。最近では、問題点を指摘し低評価をつけられたお客さまが当方の返信を読まれて再来店し、指摘した点が改善されていたと高評価に更新してくださる例も見られます。当社担当者の手作りの返信コメントに対する追記も増え、口コミ欄が顧客と担当者との文通の場と化したケースもあります。口コミ管理ツールの導入で実現したお客さまとの新しいコミュニケーションは、『福しん』ファンの増加に確実につながっていると思っています。その上、店舗サービスやスタッフのモチベーション向上にも明らかに貢献しています」(宮下氏)

 「お客さまの声を聞く」に徹した口コミ管理ツールを使いこなして成果を生んだ同社ですが、今後はツールに搭載されたさまざまな分析機能を活用していきたいと宮下氏は抱負を語ります。

 「『口コミ相関分析』『検索ワード分析』『アンケート分析』『★の数分析』など、さまざまな機能を有効活用していくのが、次の目標です。例えば、前述した『冷やし中華始めました』の告知のような投稿機能の活用についても、当社はまだ十分に活用できていないと思っています。そのため、口コミコムのカスタマーサービスのサポートを得ながら各種分析機能を活用して、よりタイムリーなキーワードを利用し、MEO対策を行い、来店促進につなげていきたいと思っています。そしてより多くのグルメサイトとのデータ連携を実現したいですね」(宮下氏)

より正確な発注業務をAIの導入で実現させる

 「福しん」では現在、発注業務のAIへの移管を試験中で、近い将来の導入を計画しています。これは全メニューの一食当たりの消費食材量を登録し、レジと連携させることで使用食材量を自動で算出し、翌日の必要分を一括発注するシステムです。現在、閉店後に各店舗責任者がすべての食材消費量を集計し、セントラルキッチンに送っている手間が省けるため、店舗責任者の業務削減に貢献すると期待されています。

 「AIの理論在庫と店舗の実在庫の相違や、作り手による食材使用量のブレなど、まだまだ確認作業は必要ですが、より適正な発注数値が算出されることで、業務削減だけでなくフードロスはもちろん原価削減の実現も期待されています」(宮下氏)

 口コミを有効活用して顧客とのより深い信頼関係を築きたいと考える企業にとって、同社のような人の温かみを感じさせる口コミマーケティングは、大きなヒントになりそうです。

※MEO
MapEngineOptimization(マップ検索エンジン最適化)の略称で、Googleマップでの検索結果において上位表示させること。
会社名 株式会社福しん
創業 1964年(昭和39年)11月
本社 東京都豊島区目白5丁目31番3号
代表取締役 高橋 順
資本金 5,000万円
事業内容 飲食店の運営、飲食店向けコンサルティング、中華食材の販売、不動産事業
URL https://www.fuku-sin.co.jp/
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