企業ICT導入事例

-株式会社千趣会-
ビッグデータを分析し、最適な買い物体験の提供へ

通信販売事業ならではの情報収集

 “ウーマン スマイル カンパニー”をビジョンに、カタログやオンラインショップなどさまざまな販売チャネルでサービス、商品を提供する大手通信販売会社の千趣会。同社では約1,200万人に及ぶ顧客管理を中心に、カタログ発行や商品管理に活用するためのデータウェアハウス(関連性を分析するために大量のデータを保存するデータベース)を運用しています。店舗を構える小売業とは異なり、通信販売事業では「誰が何をいつ買った」という情報が入手しやすいことから、1995年という早い時期に導入しました。

プロファイリングからライフスタイルに沿った提案

▲ベルメゾン事業運営部
事業戦略チーム
マネージャー 西口 浩司氏

 「当社がシステムを導入した時期は、ちょうどOne to Oneマーケティング(顧客一人ひとりの好みや価値観、購買履歴に合わせて展開するマーケティング手法)が注目され始めた時期でした。お客様の詳細なプロファイル情報を取得し、それを基にライフスタイルに沿った形で適切にカタログを発送するといった目的に利用してきました」(ベルメゾン事業運営部 事業戦略チーム マネージャー・西口 浩司氏)

 同社は現在、顧客のライフスタイルにあわせて14種類のカタログを制作しています。カタログは視認性が高く、顧客ニーズは根強いものがあります。一方で発送コストなどの負担が大きいことから、同社ではオンラインショップへの誘導を進めてきました。

 ところがオンラインショップの急成長に伴い、新たな課題が発生するようになりました。オンラインショップ上で顧客の行動などを記録したWebログのデータが急増し、従来のシステムでは分析処理が追いつかなくなったのです。

 「例えば、キャンペーンを実施したときにお客様単位の動きを分析したくても、パフォーマンス不足やストレージ容量不足などから思うような結果が得られませんでした」(西口 浩司氏)

大容量ストレージに価値あるビッグデータ

 そこで同社は、2012年に分析用システムの刷新を決断。パフォーマンスの向上、ストレージ容量の増強を図るなど、分析環境を充実させました。パフォーマンスは従来の約何十倍も高速化しています。西口 浩司氏が感じているシステム刷新の効果は、それだけではありません。

 「従来はストレージ容量の都合上、廃棄せざるを得なかったデータをためておけるようになり、可能性が広がりました。実はここが重要です。“ビッグデータ”への取り組みでは、何のデータをためるべきか、そのデータを何に使うべきかなどを先に考えがちです。そうではなく、ビッグデータの本質はとにかくデータをためることです。活用はそのあとに考えてもいいのです」と西口 浩司氏は語ります。データさえあれば、分析ニーズが新たに発生しても柔軟に対応できるというわけです。

ビッグデータがもたらす費用対効果

 2013年9月に運用を開始した新システムでは、顧客情報や購買履歴などの情報に基づく需要予測に加え、サイト閲覧履歴などのWebログを活用した精度の高い顧客行動予測により、“買い物が楽しくなる”オンラインショップの仕組み作りを進めています。また、分析結果をカタログの種類や発行時期の計画立案に応用することにより、さらなるサービス向上とコスト削減の実現を目指していく予定です。

会社名 株式会社千趣会
設立 1955年11月9日
所在地 大阪府大阪市北区同心1丁目8番9号
代表取締役社長 田邉 道夫
資本金 203億円(2012年12月末時点)
主要事業 カタログ事業、頒布会事業、ブライダル事業、法人事業、その他事業

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