企業ICT導入事例

-株式会社髙島屋-
“一元化された情報のビッグデータ”で精度の高い分析の実現へ

日本全国に20店舗を展開する国内屈指の百貨店・髙島屋は、同社が発行するクレジットカード会員、および店舗に来店する顧客を中心に500万件以上の顧客情報を有しています。その顧客情報に紐づけられた購買記録を活用することにより、ダイレクトメール(DM)の発送や売場のお客様の心をつかむための顧客関係管理(CRM)など効果的な販促活動を目的に活用されているのが「顧客情報システム」です。

顧客情報システムの刷新

▲IT推進室 IT推進担当 課長
塩谷 由紀 氏

 2011年9月、髙島屋は同システムの刷新に取り組みました。きっかけは、商品コードの統合化でした。髙島屋ではそれまで、全店の商品コードが完全に統一されていませんでした。またクレジット、友の会、ギフト、おせち受注、オーダー受注など別々のサーバで顧客情報が管理されているため、システム間のデータ連携が困難で、効果的な販促活動を行うにあたって、さまざまな弊害がありました。

 以前の顧客情報システムは「顧客管理」「CRMアクション」「DM抽出」「顧客×商品分析」の4つのデータベースに分かれていました。それまで顧客情報を分析するには夜間バッチでデータ連携を行わなければならず、情報が1日遅れになっていました。さらに分析用サーバーが老朽化し、データ処理によっては1日かかることにもあり、改善の必要性を感じていました。また商品単品分析も別のデータベースにありました。そこで、商品コード変更のタイミングに合わせて、顧客情報システムも刷新することにしたのです」(IT推進室 IT推進担当 課長・塩谷 由紀氏)

商品コードと顧客情報の一元管理

▲営業企画部 営業企画担当 次長
滝川 育代 氏

 新システムでは、基幹系やPOSシステムを含む全社の情報システムを一新し、5つのデータベースで構成されていた顧客情報と商品情報を統合して、統合データウェアハウス(DWH、関連性を分析するために大量のデータを保存するデータベース)を構築しました。これにより、商品コードと顧客情報の一元管理、DM発送先の効果的な抽出、随時実行できる分析機能などを実現しました。合わせて高性能ハードウェアを導入したことにより、分析処理の性能が飛躍的に向上しています。

 「以前のシステムなら分析処理に1日かかることもありました。それが新システムでは約30分になり、経営陣から売り場担当者まで、必要な情報を必要なときに迅速に提供できるようになりました」(営業企画部 営業企画担当 次長・滝川 育代氏)

売り場を横断した情報確認

 例えば、店舗の情報端末では、来店した顧客の購買情報が随時確認できるようになっています。紳士服や婦人服といった売り場を横断して情報を確認できるようになったことから、これまで以上に重要顧客に対する手厚いフォローが可能になっています。また、売り場のマネジャーは情報端末から重要なお客様がどのブランドを買っており、販売員が誰かということも把握できるため、日々の販売戦略としても活用されています。

 データを蓄積するストレージ容量も大幅に増強されました。従来は3年間だった売上明細の保管期限が10年間に拡大させ、より精度の高い分析処理を今後は行えるようになります。例えば、家具などの長期で利用する商品を購入した顧客に対してタイミングよくDMを送るなど、顧客満足度の向上に向けた新たな価値創造を実現する販売戦略の立案に期待が高まっています。

更なる高度化を目ざす

 同社が今、全社を挙げて注力しているのが、店舗やインターネットなどの接点を融合し、顧客に接点を意識させない「オムニチャネル」です。その実現にはあらゆる顧客情報を集約したビッグデータを分析し、最適な顧客体験を提供するのが不可欠です。そのため髙島屋では今後も顧客情報システムの機能強化に取り組んでいく計画です。

会社名 株式会社髙島屋
設立 1919年(大正8年)8月20日
所在地 大阪府大阪市中央区難波5丁目1番5号
代表者 鈴木 弘治
資本金 560億円(2013年2月末時点)
グループ店舗 国内20店舗、海外3店舗
※国内の2店舗と海外の1店舗は、持分適用会社となります。
主要事業 百貨店事業、法人事業、通信販売事業、グループ事業

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