電話応対でCS向上コラム
-フリーランス-第75回 お客さまの声に学ぶ、心を届ける電話応対
記事ID:C10143
安心を生んだ、一言の重み
「安心して話すことができました」「自然とたくさんお話ししてしまいました」これは、以前勤めていたコールセンターで、お客さまからいただいた言葉です。この一言をきっかけに、マニュアル通りの正確な対応だけではなく、安心感や信頼を届けることの大切さを、あらためて実感しました。電話という顔の見えないコミュニケーションでも、相手の心に届く応対はできるのだと教えていただいた経験でした。
現在私は福祉業界で働きながら、電話応対の指導にも携わっています。かつてスーパーバイザーとして現場を見ていた頃、応対の質に悩むスタッフと向き合う中で、「より良い応対とは何か」を自分自身でも深める必要があると感じ、電話応対コンクールに参加しました。お客さまから学んだことを自身で試し、現場に還元したいという思いが、指導者級資格の取得にもつながっていきました。
CS向上に欠かせない“インプロ力”
CS(顧客満足)を高めるためには、「傾聴」と「相手の思いや意図を引き出す力」が欠かせません。マニュアルは重要な土台ですが、すべての状況に対応することは難しく、現場では柔軟な応対が求められる場面が多くあります。そうした時に必要になるのが“インプロ力”です。応対中に臨機応変に言葉を選び、状況に合った対応を組み立てていく力です。
このインプロ力を養うには、商品やサービスの知識だけでなく、人に興味を持ち、相手がどんなことに関心を持つのかに常にアンテナを張ることが大切です。さらに、日常会話の中で言い換えを意識したり、相手の立場に立って表現を考えたりすることも、良いトレーニングになります。
お客さまの反応が教えてくれること
応対の評価は、話し手の意図ではなく、受け手であるお客さまがどう感じたかに表れます。だからこそ私は、学びの源は常にお客さまの反応や言葉の中にあると感じています。印象的な一言や沈黙、安心した笑い声など、どれもが気づきや振り返りのきっかけになります。
これからも、お客さまの声に耳を澄ましながら、自分自身の応対力も、誰かに届ける指導も、少しずつ磨き続けていきたいと考えています。

中野 幸治氏
山口県で電話応対指導者として活動。ホテル業・コールセンター業で培った20年の経験を活かし、応対品質向上のための指導を行っている。
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