電話応対でCS向上コラム

-株式会社プロフェッショナルアカデミー-
第73回 電話応対で信頼を築き、CS 向上を実現する

記事ID:C10137

予期せぬチケット問題と初期対応

 1998年6月、フランスで開催されたサッカーワールドカップにて、観戦チケットが手配できていないという事件が起きました。これは、当時私が勤めていた旅行会社にとっても予期せぬ事態でした。私のお客さまも新婚旅行としてサッカー観戦ツアーで渡仏する予定でしたが、残念ながらチケットは取れなくなったのです。当然お客さまから厳しいクレームをいただきました。私は電話でお詫びをし、その後すぐに直接お詫びに伺いたかったのですが、会ってくれませんでした。その日から毎日2回、お詫びと状況説明の電話をかけ続けることにしたのです。

毎日の電話で信頼を築く

 最初は無愛想な対応が続きましたが「電話を通じてお客さまの心に寄り添い続けよう」と心に決め、諦めずに毎回丁寧に説明し状況をお伝えしました。2週間が経過したころにはお客さまの反応も少しずつ変わっていき、3週間後、ようやくお客さまと直接お会いすることができたのです。お会いした際「こんなにしつこく電話をかけてくる人はいないよ。でも、良い意味でね」とおっしゃっていただきました。この言葉をいただいた時、毎日かけていた電話が、お客さまとの信頼関係を修復してくれたのだと実感しました。顔の見えない声だけの対応でしたが、何かできることをしたいという思いがお客さまに届いたのだと安堵しました。

電話応対を通じて得られた感謝の言葉

 最終的にチケットは入手できませんでしたが、お客さまから出国前に「親身に対応していただき本当にありがとうございました。フランスの新婚旅行を楽しんできます」と連絡をいただきました。帰国後には「サッカー観戦ができないのなら、行かないほうがいいのではと思っていたけれど、フランスでいろいろな経験ができて楽しかった。本当に行ってよかったよ、ありがとう」と感謝の言葉をいただけたのです。
 この経験を通じて、私は電話応対がいかに重要であるかを痛感しました。電話でのコミュニケーションは顔が見えないため、お客さまの表情や感情が直接分かりにくく、より一層、言葉選びや伝え方が大切になります。毎回の電話で「思いやり」を持って接することで、お客さまは次第に耳を傾け、信頼関係を築くことができたのです。

思いやりの心を持った応対でCS向上を目指す

 電話は、お客さまに最も直接的にアプローチできる手段の一つです。思いやりの心を持って応対することで、CS向上を目指していくことができると思っています。私は、この経験を通じて電話応対がもたらす信頼や関係構築の力を深く理解しました。これからも、電話を通じてお客さまとの絆をより深めていきたいと考えています。

阿蘇 裕恵氏

株式会社プロフェッショナルアカデミー 電話応対技能検定指導者級資格保持者。現在、これまでの経験を活かし、電話応対研修や新入社員研修など人材教育の講師として活動しています。

「次回の講師は、ActiveManagement株式会社の田中 映理子さんです。電話応対技能検定の指導でもご活躍されています。何事にも丁寧に取り組まれ、凛とした立ち居振る舞いがとても素敵な方です」

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