電話応対でCS向上コラム

第20回 言葉以外のアサーションを知ろう

言葉による表現法が分かり、アサーティブな考え方やアサーション権への確信が持てても、それに非言語レベルのアサーションが伴わないと、真のアサーションとは言えません。私たちの表現は非常に幅広いものですが、どの表現も使い方によって非主張的にも、攻撃的にも、そしてアサーティブにもなります。今回は、態度や動作、言語を超えた表現などについて検討していきましょう。

非言語的表現は、時に言語より強力なコミュニケーション手段になる

言っていることとやっていることが一致しないと、それを見た相手は矛盾したメッセージに混乱したり、理解に苦しんだり、信用できない気持ちになったりします。つまり、アサーションは、言葉による表現と言葉以外の表現が一緒になって、有効な自己表現になるということです。非言語的表現は、時に言語よりはるかに強力なコミュニケーションの手段になるのです。非言語上のアサーションとは、態度や動作、言語を超えた表現などをいいます。

非言語アサーションには「視覚的なもの」と「聴覚的なもの」がある

非言語アサーションは、大きく分けると、視覚的なものと、聴覚的なものがあります。視覚的なものとしては、視線、表情、姿勢、動作、人と人との距離、身体的接触の仕方、服装などがあります。一方、聴覚的なものには、声の大きさ、話し方の流暢さ、速度、調子、明確さ、余分な音の有無、反応のタイミングなどがあげられます。情緒の表現は、言語でも表現しますが、非言語的な要素が大きく関わってきます。以下、その要素を見ていくことにしましょう。

視線、姿勢、手や腕の動作もアサーションの重要な要素

視線は、アサーションの重要な要素です。時々相手の目を見たり、話している口元に視線を移したりして、相手を目で確認しながら話すことは、相手との関係を心地良いものにしようとする意志を表現します。姿勢も重要なアサーションの役目をしますので、両足をしっかり地に着けて、胸を張って立ちましょう。手や腕の動作にも注意が必要です。手を胸や口元に当てていると、非主張的なイメージを与えます。逆に、手や腕を自由に動かして話をすると、自信があり、自由な感じをもたらします。

アサーションに大きな影響がある「話し方」

アサーションに最も大きな関わりを持つのが声でしょう。非主張的な人は、小さな、高い声で話す傾向があります。声の大きさ、話すスピードはもちろんのこと、話し方全体もアサーションには大きく影響します。難しく、華麗な言い回しをする必要はありませんが、簡潔で、率直な表現は必要です。また、「あのー」「そのー」「えーと」などの余分な音が多すぎたり、「私が間違っているかもしれませんが…」などの自己否定的な前置きをすると、「どうぞ無視してけっこうですよ」と暗に言っていることにもなり、相手から軽視される可能性があります。

非言語上のアサーションは、文化の違いを考慮に入れることが大切

非言語上のアサーションを考える上で、もう一つ重要な視点は、文化の違いです。非言語的表現は、文化によって意味が異なります。握手の際に、ギュッと握られて「攻撃的」と感じる日本人と、柔らかく握られて「この人は自分に関心がない」と誤解するアメリカ人の違いなどが、その例です。非言語的な表現法は、国、地域、組織風土、家庭などで異なります。文化の違いを認め合い、理解していくこともアサーションなのです。

※アサーションは、「もしもし検定」のカリキュラムに導入されています。

平木 典子氏

日本電信電話ユーザ協会 電話応対技能検定委員。立教大学カウンセラー、日本女子大学人間社会学部心理学科教授、跡見学園女子大学臨床心理学科教授を経て、統合的心理療法研究所(IPI)顧問。専門は臨床心理学、家族心理学。日本カウンセリング学会理事。

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