電話応対でCS向上コラム

第17回 メンテナンスのアサーションとほめ言葉

前回は、人間関係を維持・改善する日常生活のメンテナンスには、「挨拶」や「思いやり」、「感謝の声かけ」が大切であることを紹介しました。私たちの毎日の生活はメンテナンスのアサーションがあって、スムーズに流れるのです。今回は、「挨拶」などと並んで、人間関係を維持、促進する上で大切な「ほめる」ことについて勉強していくことにしましょう。

私たちの日常の中で、「ほめ言葉」は心の潤滑剤

人はお互いに慈愛、支援、いたわり、慰め、励ましなどの言葉をかけ合い、心身の無事を祈り、確かめ合って生きています。その中で、大切なことに「ほめる」と「感謝」があります。私たちは誰でも、心豊かに生きたいと思っています。心に染みるほめ言葉や、厳しくても心に響く一言は、一日を、時には一生を豊かにしてくれます。私たちの日常の中で、ほめ言葉は心の潤滑剤なのです。

「称賛」と「賞賛」の違いとは

「ほめる」には、「称賛」と「賞賛」の2種類があります。称賛は「良いな」と思ったことを言葉で伝えることで、賞賛は褒美や賞金、賞状を与えることで表現されます。つまり、称賛は状況に関わりなく自分が良いと思ったらできますが、賞賛は他者より優れているという状況がなければできません。「自分の子どもはほめられない」と思っている親などは、賞賛だけをほめると思っているようです。しかし、称賛できる人は、「そのネクタイ良いですね」とほかのネクタイと比べてほめるようなことはしません。小さなプラスに気づいて、それを口に出して伝えることがほめることなのです。そのメッセージは、あなたと相手の親密さを深めるきっかけになります。

心をほぐし、気持ちを和らげ、元気づけてくれる積極的な思いがある

このように、ほめることが私たちの人生を豊かにしてくれる特効薬であるにも関わらず、私たちは心を込めたほめ言葉を使うのが下手です。照れてしまったり、恥ずかしがったりして、感謝の気持ちも感嘆の言葉も出し惜しみしてしまうことが多いのです。厳しく批判するのも、私たちの力を湧き出させる刺激ですが「…したらもっと素晴らしくなる」とプラスを示してくれると、先が見える思いがするものです。

乱用は気持ちが伝わらない上に、軽々しく聞こえるから注意が必要

人間関係のメンテナンスには欠かすことができない「ほめ言葉」ですが、やたらとほめ言葉を乱用すると、気持ちが伝わらず、軽々しく聞こえることがあります。あなたのほめ言葉が、心のこもらない、言葉だけのリップサービスになっていないか時々チェックすることも重要です。「あなたには力がある。すごい。だからこれをやってください」といったニュアンスのほめ言葉には、善意と好意を装った操作のニュアンスがあり、条件づけ、紐づきの感心です。裏心があるという意味では、攻撃的でさえあるのです。

自分の積極的な気持ちを表現すること、温かい気持ちを表せる、そんな心のやりとりとなるほめ言葉を探し、伝えられるようになることが大切です。

※アサーションは、「もしもし検定」のカリキュラムに導入されています。

平木 典子氏

日本電信電話ユーザ協会 電話応対技能検定委員。立教大学カウンセラー、日本女子大学人間社会学部心理学科教授、跡見学園女子大学臨床心理学科教授を経て、統合的心理療法研究所(IPI)顧問。専門は臨床心理学、家族心理学。日本カウンセリング学会理事。

関連記事

入会のご案内

電話応対教育とICT活用推進による、
社内の人材育成や生産性の向上に貢献致します。

ご入会のお申込みはこちら