企業ICT導入事例

-株式会社岩手銀行-
大災害時でも利用できる通信手段の重要性

株式会社岩手銀行
総合企画部 広報CSR室 調査役
勝部 隆太郎 氏

 2011年3月の東日本大震災以降、企業のBCP(事業継続プラン)対策の見直しは、経営の緊急課題となっている。この震災で、一部支店の津波による流出など大きな被害を被った岩手銀行も、BCP対策を再検討。その一環として、今年春、NTTドコモの衛星携帯電話「ワイドスターⅡ」を導入した。

 「当行は、万一の事態でもシステムが止まることがないよう、本店には自家発電装置を設置し、不測の停電などに備えていました。しかし、東日本大震災の影響は、そうした事前の想定を超えていたのです」(岩手銀行総合企画部広報CSR室調査役・勝部隆太郎氏)

 震災発生直後、日本全国で電話が混線し、固定電話、携帯電話とも、非常にかかりにくくなった。そして岩手県では、これに停電が加わり、外部の状況がまったくつかめないという状態に陥ったのだ。

 「本店では、自家発電装置による電力供給で、テレビを見ることはできました。しかし、外から入ってくる情報は、そのテレビのほかラジオが放送する内容だけ。電話が通じないため、いったい県内はどのような被害状況なのか、当行の支店や行員がどうなっているのか、わからない状態が続いたのです」(勝部氏)

 こうした経験から、岩手銀行は、BCP対策における通信手段の確保の重要性を再認識した。そしてさまざまなソリューションを検討した結果、同行は衛星携帯電話の導入に踏み切ることになる。

 「衛星携帯電話を県内の要衝となる支店に配置すれば、電話や携帯電話といった通信が途絶しても、安否確認ができると考えたのです。ほかにも専用線によるテレビ会議や無線通信も候補に挙がりましたが、地上施設や電力に依存するものは大地震や津波の前には無力です。でも衛星携帯電話は、バッテリーを内蔵し、いざとなったら持ち出して使えますから」(勝部氏)

 そして「ワイドスターⅡ」を選ぶ決め手となったのは、安定かつ容量の大きな回線数と、一般的な携帯電話と同じ使い勝手だったという。

 「ワイドスターⅡの料金体系は2タイプありますが、当行では基本使用料が低廉な『タイプM』で契約しています。毎月のテストは、基本料金に含まれる無料通信分1,050円分で十分カバーできています」(勝部氏)

 岩手銀行では、年に1回全行を挙げて「緊急時対応訓練」を実施している。次回の訓練では、この「ワイドスターⅡ」も加わり、より実践的な内容になることであろう。

NTTドコモの衛星携帯電話「ワイドスターⅡ」

会社名 株式会社岩手銀行
設立 1932年5月2日
所在地 岩手県盛岡市中央通一丁目2番3号
代表取締役頭取 高橋 真裕
資本金 12,089百万円 (2013年3月31日時点)
事業内容 金融業

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