企業ICT導入事例

-株式会社ヌボー生花店-
生花店の業務変革に取り組み、働き方改革とCS向上を実現

記事ID:D20025

長野市を拠点に生花店を展開する株式会社ヌボー生花店では、従業員のライフステージに合わせた働き方の実現が課題となっていました。そこで同社が取り組んだのが、リモートワークとクラウドツールを組み合わせた在宅勤務による働き方改革でした。同社がどのように取り組んだのか、代表取締役社長の山﨑年起氏にうかがいました。

ライフステージが変わっても働き続けられる会社に

代表取締役社長 山﨑 年起氏

 株式会社ヌボー生花店は、長野市内に3店舗の生花店を構える企業です。1988年の設立以来、生花ギフト事業、空間装飾事業、ウエディング装飾事業などを展開しています。従業員の9割が女性という同社では、結婚・出産といったライフステージの変化に伴う退職が多く、その対応が課題となっていました。同社代表取締役社長の山﨑年起氏は、働き方改革に着手したきっかけをこう振り返ります。

 「7年ほど前のことです。長年勤務し、司令塔のようなポジションにいた女性社員から退職の申し出があったのです。彼女は結婚を機に引っ越すので、仕事を続けることができないとのことでした。しかし、当時はリモートワークをサポートするサービスも出てきたころでしたので、そこに何か解決策があるように感じていました。特に彼女はバックオフィス系の業務を担当していたため、リモートワークが可能なのではと考え、彼女に残ってほしいと話しました」(山﨑氏)

 7年前は、コロナ禍を経た現在ほどリモートワークが普及しておらず、正直手探りだったと山﨑氏は話します。それでも、リモートワークを実現する技術やツールを調べて検証しながら、少しずつ課題を解決していきます。ライフステージの変化に影響を受けることの多い女性でも、「ヌボー生花店ならば働き続けられる」といったモデルケースを着々と作り上げていったのです。

リモートで店舗を支援する支援事業部が誕生

支援事業部チームと店舗の打ち合わせは随時オンラインで行われている

 リモートワーク環境を構築するにあたり最初に取り組んだのが、すべての業務の洗い出しとリモートワークが可能な業務を抽出することでした。

 「リモートワークに置き換えられる業務はたくさんありました。その中の経理など一部を除いてはほとんどが紙ベースだったため、最初の数年間は少しずつ業務のデジタル化を進め、例えば会計・財務、請求・入金管理、給与・勤怠といったバックオフィス系の業務をリモートに移行していきました。その結果、4名で構成される支援事業部というバックオフィス系のチームができました」(山﨑氏)

 支援事業部ができたことで、例えば出産後など店舗で働くことが困難な状況でも働き続けられる場所が生まれました。一方、店舗ではバックオフィス系の業務負担が軽減されたため、本来の接客業務により集中できるようになりました。現在、支援事業部のメンバーは、長野市と松本市に1名ずつ、長野県外に1名、海外に1名となっています。リモートワーク環境が構築できたことで、バックオフィス系の業務に関しては居住地の制限がなくなり、広く優秀な人材を確保できるようになったともいいます。

 バックオフィス系の業務を中心に働き方改革を進めてきましたが、改革はさらに進化し、顧客との接点にまで及んでいます。例えば、顧客の購買情報(POS)はスマレジを使って取得し、メンバーズカードに紐づけて運用されています。また、社内コミュニケーションではクラウド型ビジネスチャットツールが使われています。このツールは顧客や生花の生産者も参加できるため、生産者が顧客の声を直接聞くことができ、コミュニケーションの輪が社外にまで広がっています。

働き方改革からCS向上に意識がシフト

電話応対の品質向上を目的に、支援事業部によるコールセンター化を推進中

 働き方改革を実現した同社の取り組みは、さまざまな成果を得ています。生花業界全体が厳しい状況の中、社員1人あたりの平均給与は、2017年に比べて1.3倍になりました。コロナ禍に先立ち、クラウドツールを活用するノウハウがあったので、ツールの進歩に伴い、企業としての競争力も高まりました。そして、業務変革に対する意識が取り組み前とはまた違う形に変化してきたと山﨑氏は話します。

 「リモートワーク環境の整備により、業務の効率化や働き方改革は進みましたが、その一方で、アナログ的な接客の重要性にもあらためて気づきました。たしかにコロナ禍でデジタルを活用した非接触のコミュニケーションが注目されましたが、逆にお客さまはもっとアナログ的な接客やつながりを求めているのではないかと考えたのです。例えば顧客情報はツールで徹底的に管理しますが、そのデータをお客さまの満足につながるように活用しなければ意味がありません。もし、過去の来店目的や購入金額などを踏まえた上で、店頭でお客さまの思いをくみ取る一言があれば、お客さまの満足度を上げられるかもしれません。現在、ICTを活用した無人販売機などが話題になることがありますが、お花という“人の想い”が込められる商品だからこそ、DXを推進しながらも、あらためて人と人との関係性にこだわるべきではないかと考えるようになりました」(山﨑氏)

ノウハウを提供し生花業界全体を盛り上げたい

 今後の展望について、山﨑氏はまず電話応対の品質を向上させるための施策を考えています。

 「お客さまから店舗にかかってくる電話を、支援事業部がコールセンターのように一括で受けるようにできないかと考えています。現在、電話については各店舗のスタッフが店頭で受けていますが、パソコンで顧客情報を参照しながら臨機応変に応対するといったことは困難です。しかし、支援事業部ならばそれができますので、より適切な応対ができるでしょう。そうすれば、人によってバラつきのあった応対品質も向上させることができるのではないかと考えています。この試みは現在1店舗でトライアルしており、2023年中をめどに全店舗に広げる予定です」(山﨑氏)

 もう一つの展望は、同社と同じような経営課題を持つ全国の生花店に、同社がこれまで実施してきた取り組みのノウハウを提供していくというものです。

 「我々が持っているノウハウを全国の生花店に広げていき、業界全体の活性化につなげていきたいという思いがあります。現在はコンサルティングのような形と業務提携のような形で考えており、試験的ではありますが、実際に進めているところです」(山﨑氏)

 ちなみに、社名の「ヌボー生花店」はフランス語で「新しいもの」「新しいこと」を意味する「ヌーボー」が由来となっています。

 「社名は創業者である両親が命名したのですが、ボジョレー・ヌーボーなどのヌーボーを言いやすく変換してヌボーとしたそうです。そこには『新しいもの』として、『新鮮なお花を届けたい』という思いがあり、もうひとつ『新しいこと』として、『ほかの会社とは異なる新しいことにチャレンジできる会社にしたい』という思いも込められています。今回の一連の取り組みは、生花店として新しいことにチャレンジしていると言えますので、結果的に、創業者の思いを形にしたということになるかもしれません」(山﨑氏)

 ヌボー生花店は、従業員の退職の申し出をきっかけに、働き方改革やCS向上の取り組みを推進し、成果を上げてきました。このような取り組みは、人手不足や顧客満足度を課題とする企業にとって大いに参考になるのではないでしょうか。

※スマレジ
iPhoneなどのスマートフォンやiPadなどのタブレット端末を用いたPOSレジ。
会社名 株式会社ヌボー生花店
設立 1988年(昭和63年)4月
本社所在地 長野県長野市北尾張部715-7
代表取締役社長 山﨑年起
資本金 1,000万円
事業内容 生花ギフト事業、空間装飾事業、ウエディング装飾事業、葬祭装飾事業、グリーンレンタル事業、Café事業
URL https://nubow.co.jp/
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