企業ICT導入事例
-株式会社ブイキューブ-会社と遠隔地をウェブ会議でつなぎ「いつでも、どこにいても、仕事ができる」を実現
自分たちがほしかったから、ユーザー視線で開発・改良した
▲代表取締役社長 CEO・間下 直晃氏
近年、企業においてウェブ会議が注目されています。本社と支社、国内と海外拠点、技術開発部門と製造拠点など、離れた場所での会議や打ち合わせを実現するツールとして、あるいは、在宅勤務を可能にするシステムとして、導入する企業が増えています。
ウェブ会議サービスの国内市場で、圧倒的なシェアを誇るのが株式会社ブイキューブ。専用のハードやソフトを必要とせず、廉価な初期費用とランニングコストでウェブ会議サービスが利用できます。
「ソフトウェアの受託開発(相手先企業からの注文を受けてシステムを開発すること)をメイン業務としていた時代に、海外の取引先との連絡のためにテレビ会議が必要となりました。当時の導入費用は数百万円から一千万円で、とてもそんな資金はなく、だったら自分たちで作ってしまえ、というのが発端でした」(間下氏)
その後は、操作性や画質・音質にこだわり、現在ではパソコンのみならず、モバイル端末からもウェブ会議サービスを利用できるようになっています。
2009年にはアジア市場に向けた営業展開を開始します。この間、国内でのウェブ会議の市場シェアで「ASPタイプ※1」、「SIタイプ※2+ASPタイプ」の両分野においてNo.1を達成しました。
経費節減や自然災害が、ウェブ会議の普及を後押し
2008年のリーマン・ショックから、2011年の東日本大震災を経て、アベノミクスが発表される2012年後半まで、日本経済は低迷しましたが、この間も、同社のシステムは社会を支える一助となりました。
「多くの企業では経費節減で出張を伴う営業が切り詰められ、大震災後は交通手段も制限されました。会えない、行けないという状況下で、コミュニケーションの確保が課題となり、その解決策としてウェブ会議が注目され、需要拡大につながっていきました」(間下氏)
商談にエンジニアを遠隔参加させ、スピーディな契約につなげる
▲国内外にある多数の拠点から参加者が一堂に会したように、お互いの表情を確認しながら会議の開催が可能です
人材難、コスト削減圧力など厳しい経営環境の中で戦う中小企業にとって同社のコミュニケーションツールは強い味方になっています。例えば、取引先との関係性を強めるために、営業現場で活用するケースです。
製品やサービスの販売後にサポートが必要な企業の場合、販売後の訪問コストを考えると遠隔地からの引き合いを断らざるを得ないことが多々あります。売上機会の損失ですが、固定費となる営業所はもちろん、信頼に足る代理店も簡単には増やせません。そうした企業がウェブ会議サービスを導入し始めています。低コストで顧客との継続的なコミュニケーションが可能となるからです。
また、ある企業では、遠方の取引先との商談にウェブ会議サービスの活用を検討していましたが、当初はオンラインでの商談に不安がありました。しかし、実際に使ってみると移動時間が削減されるため商談回数や1回あたりの商談時間が増え、むしろ信頼関係が強化されることが分かりました。画面を通じて顔が見え、必要な資料もその場で送信できるため訪問と変わらない密度の濃い商談ができるのです。
別のある製造業は、ウェブ会議サービスの活用で、技術者を商談に同席させることが容易になったといいます。通常、技術者同行営業は、スケジュール調整や人的コスト面で社内調整が難しいものです。とはいえ、技術者が同行すれば、商談相手の理解が進む契約をスムーズに進めることができます。ウェブ会議サービスを使えば、商談の場に、遠隔地にいる技術者を画面上で参加させることが可能となります。
在宅勤務、海外からの業務指示……。場所にとらわれない働き方を作り出す
人材の採用・活用にもこのシステムは新しい価値を提供します。ウェブ会議サービスで自宅と会社がつながれば、子育てと仕事の両立、在宅勤務など、新しい働き方が可能になり、人材の採用にも大きな力を発揮するはずです。市場の成長のカギを握るのは、中小企業におけるウェブ会議サービスの使われ方にかかっています。
「当社ユーザーの中小企業経営者の方々からは、家族で長期休暇が取れるようになったという反響が届きます。旅先でもタブレットやスマートフォンから接続できるので、毎日1~2時間もアクセスすれば、後は仕事を離れて休暇を楽しむことができるのです」(間下氏)
マザーズへの株式上場に先立ち、間下氏はシンガポールに移住。今もそこで、アジア戦略の陣頭指揮をとります。「いつ、どこにいても仕事ができる」というツールを販売している以上、それを実証するという意味合いもあるそうです。中国、ベトナム、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア…。市場の成熟を待つのではなく自ら市場を創成し、アジアの成長と発展を取り込みながら同社を世界的な企業に成長させる。そのためにウェブ会議サービスのさらなる普及に努めています。
※1 ASPタイプ:クラウドタイプ。ASPとはアプリケーションサービスプロバイダーの略で事業者がインターネットを通じてアプリケーションを提供するサービス。
※2 SIタイプ:オンプレミス(自社運用)タイプ。オンプレミスとは、企業などが、サーバーやソフトウェアなどの情報システムを自社の設備で運用すること。
会社名 | 株式会社ブイキューブ |
---|---|
創業 | 1998年(平成10年)10月 |
所在地 | 東京都目黒区上目黒2-1-1 中目黒GTタワー20F |
代表取締役社長 CEO | 間下 直晃 |
資本金 | 19億600万円 |
事業内容 | ビジュアルコミュニケーションツールの企画・開発・販売・運用・保守、 企業などへのビジュアルコミュニケーションサービスの提供 |
URL | http://jp.vcube.com/ |
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