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ICTコラム

第2回 テレワークによる在宅勤務の労働時間管理は、ルールで縛るのではなく、勤務環境を整備すべき

労務相談や社会保険などの手続き、給与計算といった企業の人事労務に関する業務全般をサポートしている社会保険労務士。「働き方改革」が求められる昨今では、テレワークの導入に関する相談が増えています。今回は、社会保険労務士の視点でテレワーク導入時の留意点をご紹介します。

「働き方改革関連法」の施行により、勤怠管理はシステム化が不可欠になっている

 私たちは、社会保険労務士法人として、労務相談や社会保険などの手続き、給与計算といった人事労務に関するあらゆる業務をサポートしています。最近では、「働き方改革」に関する相談やテレワークの導入支援、それに伴うシステム導入支援などの業務が増えてきました。2019年から施行されている「働き方改革関連法」(図1参照)に関する相談は、コロナ以前から多くありました。この法律では、「時間外労働の上限規制」、「年次有給休暇の確実な取得」が義務づけられており、企業側は労働時間や残業時間を正確に管理したり、有給休暇を確実に取得させる必要が出てきました。タイムカードなどの紙で勤怠管理をした場合、出社しなければタイムカードに記録することはできませんし、時間外労働や有給休暇取得日数をリアルタイムに把握することはできません。そこで、勤怠管理などのシステムを導入する企業が増えています。出勤・退勤時にボタンを押すだけで時間が管理できたり、有給休暇の付与日数や取得日数が管理できます。また、企業が認めた場合、子どものお迎えなどで離席する時は休憩ボタンを押すだけで、時間や場所にとらわれずに勤務時間を正確に把握することができます。今日は出社、明日は在宅という場合でも、一つのシステムで対応できるので、テレワークが進むと勤怠管理等のシステム導入が不可欠になるでしょう。

コロナ禍で加速するテレワーク。在宅勤務者の「残業時間管理」は各社共通の課題

 新型コロナウイルスの流行によって、一気にテレワークの相談が増えました。テレワークの一つである在宅勤務の残業時間をどのように管理すべきか、テレワークを全社員に適用すべきなのかなどの問い合わせが多いです。特に、在宅勤務の残業時間管理は、各社共通の課題といえるのではないでしょうか。考え方はいくつかありますが、管理職や社歴の長い社員など、職務や役割に責任が持てる社員に対しては、業務内容を厳密に管理する必要はないと思います。一方で、自宅ではダラダラ作業をして長時間労働になってしまう社員や、深夜に仕事をして朝は起きられない社員など、一定の条件を満たさない社員に関しては、何時から何時まで何をしたかという管理も必要ではないでしょうか。

代表の席から見た事務所風景

 弊社の事例ですが、テレワーク中はZoomなどのテレビ会議システムを終日オンにしています。手元までは見えなくても、席に座っているかどうかはモニターで確認できるので、上司が部下に話しかけたい時、本社に来た電話を転送したい時などにはとても便利です(上のモニター内写真)。また、在宅勤務者の表情やしぐさなどで悩んでいることが分かると、距離が離れていてもコミュニケーションがとりやすいという利点もあります。このように、管理がしやすい環境を整えることで、労務管理は出勤者も在宅勤務者も同じ条件で行っています。

アフターコロナは、自由な働き方を希望する社員が増加。会社に求められるのは柔軟な対応

 テレワークが一般的になると、会社に管理されない自由な働き方を希望する社員が増えると思います。例えば、業務委託は雇用とは異なり、時間や場所を選ばすに働ける一方で、業務に対する報酬や完全成果報酬型の契約になります(図2参照)。SEなどの専門職は、企業の雇用ではなく、独立した事業主としての契約を希望する社員が増えるのではないでしょうか。会社側は、社員からそのような希望を出された時に許容できるのか、それとも「うちに合わないなら辞めてください」と言うのか、いろいろな考え方があると思います。その際、最初から完璧な選択肢を求めるのではなく、柔軟に対応することが重要だと思います。弊社にも21人の社員がいますが、働き方はそれぞれです。例えば、週4日勤務の正社員がご両親を介護するために、週3日しか働けなくなってしまいました。本人はこれ以上会社に迷惑をかけられないから辞めざるを得ないと思っていたようです。ただ、20年以上勤めた優秀な社員であったため、週3日勤務で一日の労働時間を延ばすことを提案したところ、辞めずに続けてくれることになりました。総労働時間は減っていますが、時間内に今までの業務ができましたので、雇用を維持しました。

 テレワークが進むと、いろいろな働き方が出てくると思います。その際、「今まではこうだったから」と考えるのではなく、実現できる可能性を考えることが大事ではないでしょうか。

出口 裕美氏

社会保険労務士法人 出口事務所 代表 特定社会保険労務士

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