ICTコラム
家庭でも、ビジネスでも。さまざまなシーンで活躍しているサービスロボット記事ID:D40038
前号で解説した通り、日本におけるサービスロボットの開発は、1950年代から長い歴史を経て発展してきました。サービスロボットは今後、人間の生活を一変させる可能性を秘めています。キーワードは「人を支援する」です。第2回の今回は、現在活躍中のさまざまなサービスロボットを紹介します。
家庭で活躍するサービスロボット
まず家庭内のサービスロボット(以下、ロボット)から見ていきます。
代表格は清掃ロボットです。以前は「障害物に当たったら反対方向に行く」というのを繰り返すものが多かったのですが、最近ではAIによって自動的に部屋のマップを作成し、効率的に掃除をするようになっています。
また、カーテンロボットも存在します。カーテンの端っこを同ロボットに取り付けると、設定した時刻にロボットがカーテンレール上を左右に動き、カーテンを開閉します。
このほか、コミュニケーションロボットも無視できません。もともと「人との対話ロボット」という意味でしたが、昨今は「いかに人と相互に触れ合うか」が注目されています。有名なのはソニーの犬型ロボットである「aibo」ですが、GROOVE X社の「LOVOT」というロボットも人気です。LOVOTはゆるキャラがペットになった感じのロボットです。ペットが飼えない家庭などを中心に支持を得ています。
ソニーのペットロボット「aibo」
業務で活躍するロボット
次は業務利用のロボットについてです。今後しばらくの間はこの「業務利用」がロボットの主戦場になります。
最も多くロボットが利用されているのは物流倉庫です。棚を運ぶロボットが通販大手のAmazonを中心に多く利用されています。人が棚まで移動するのではなく、ロボットが棚を持ってきてくれるのです。それまでは商品を棚まで取りに行くため、作業員は毎日数キロもの距離を移動していましたが、ロボット導入により作業員が動く必要がなくなりました。物流ではこのほかにも、在庫確認ロボットや商品の運搬ロボットなどが多く使われています。
また、清掃ロボットも活躍しています。業務用清掃ロボットは家庭用よりも大きいのですが機能はあまり変わりません。吸い込むパワーやゴミを溜め込む容量が大きくなったものと考えればいいでしょう。コロナの影響で清掃員が出社できなくなったことを背景に、コロナ禍での利用が大きく伸びました。最近はバリアフリーの建物が増え、ロボットの動きやすい環境が整ってきており、清掃ロボットは今後数年間で「当たり前」になると予測されます。
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棚を運ぶロボット(青いロボットが棚を運び、人のいる場所まで移動する)
医療向けロボットもコロナ禍で躍進しました。Intuitive Surgical社の「ダヴィンチ・システム」という手術用ロボットは、医者が遠隔から操作して手術を行うロボットです。このような遠隔操作型ロボットを「テレプレゼンスロボット」と言います。医療向けではそのほかに、院内搬送ロボットも多く使われています。搬送する物は多岐にわたり、入院患者用の食事や薬、書類などが自律運搬されています。
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手術用ロボットのイメージ
昨今、急速にロボットを活用し始めたのはフード業界です。配膳ロボットは食事をテーブルまで自律的に配膳し、調理ロボットはオーダーされた食事を自律的に作ります。スパゲッティや蕎麦を茹でるロボットは人間が使うストレーナー(茹でる時に使う、ざる)を使って茹でたり揚げたりします。そのほか、ピザを焼くロボット、クレープを作るロボットなどもあります。調理業務はいくつかの業務工程に分けることができ、工程の多くをロボット化できますので、今後はますます活用されていくことでしょう。
業務利用のロボットは上記で挙げた業界のほかに農林水産業、建設業などでも活発に利用され始めています。前号でも述べましたが、ビジネスシーンでのロボット活用は生産効率を大きく向上させ、働き方を大きく改善します。また家庭内ロボットは人々に、家庭における時間的、心身的な余裕を与え、結果的に家庭の外で働ける人の数と生産性を向上させます。つまりロボット活用は経済活性の鍵であると言えるのです。
伊藤 デイビッド 拓史氏
特定非営利活動法人ロボットビジネス支援機構 副理事長 兼 専務理事。一橋大学大学院卒(MBA)。富士通株式会社、富士通インド(Fujitsu India Limited)でITシステムの国内/国際案件に従事。富士通総研、デロイトトーマツコンサルティングファームにてITアドバイザリーとして活躍。その後、経営補佐、ビジネスアドバイザリーに従事。現在は、ロボットビジネスアドバイザリーとして、多くのロボット導入・開発プロジェクト案件を手がける。
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