ICTコラム
第22回 企業の成果に貢献するウェブサイト発注のコツウェブマーケティングの表玄関であるウェブサイト。このクオリティはウェブマーケティング全般、企業活動全般に大きく影響を与えます。
今回は、ウェブ解析士・ウェブ制作ディレクターの立場から、
○ウェブサイト制作の裏側では何が行われているのか
○良いウェブサイトを発注するコツ
○ウェブサイト制作費を抑えるコツ
についてご説明します。
ウェブサイト制作の基本フロー
ケースバイケースですが、下記の流れを基本とすると安全です。
-
ウェブサイトに盛り込みたい内容=コンテンツと、ウェブサイトに持たせたい機能を協議。
-
サイトマップと構成(設計図)を作成。
-
トップページのデザインを作成し、トーン&マナー※を決定。
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制作進行→文字校正→動作チェック→完成。
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ウェブサイトのアクセス解析を定期的に行い、都度ブラッシュアップ。
制作チームの作業と費用
最初に制作チームはクライアントからウェブサイトに盛り込むべき内容をヒアリングします。そして制作チームはヒアリング内容を精査すると同時に競合他社のウェブサイトをチェックし、比較優位に立つ表現・コンテンツを考えます。アイディアがまとまったら、ウェブサイトの全体像をサイトマップに、各ページの文章・画像の配置を構成に落とし込んで資料化します。
デザイン作成に入った際は、同年代・同属性をターゲットとする商品・サービスのウェブサイトを多数チェックし、ターゲット層に評価の高いデザインを分析し、取り込んでいます。
良いウェブサイトを発注するコツ
- ○何をもって“良い”とするのかを明確にする
- “良い”の基準は多数あり、企業活動に見合う基準を選択する必要がありますが、グランドルールは企業の成果に貢献することです。
良いウェブサイト、企業の成果に貢献するウェブサイトを作成するポイントは、貴社の従業員で顧客との接点を持つ皆さまが握っています。ヒアリングの際は、社内の様々な立場の方から意見を出してもらい、何が成果の向上につながっているのかを発見できることが重要です。 - ○競合・ベンチマークを明確化する
- 競合のウェブサイトと比較された場合に、自社のウェブサイトが選ばれることが極めて重要です。
制作会社は客観的視点でビジネスを俯瞰することはできますが、特定の業界それぞれの事情・状況を詳細に把握することは難しいため、狙うべき競合を見誤る場合があります。狙うべき競合は、クライアント側から提示したほうがより成果を出す傾向にあります。 - ○作成された構成・デザインのチェックポイント
- 下記4点が満たされているかをチェックしましょう。
①自社が打ち出したいイメージが一目で感じられるか?
②ターゲット層が自分に向けられたメッセージだと感じるようになっているか?
③優先的に見せたいものが、苦労せずに目に入るか?
④ユーザーに「資料請求」「購入」など必要な行動を起こさせる、モチベーションを与える流れになっているか?
制作費を抑えるコツ
ウェブサイトの制作費は、ほぼ全てが人件費です。不要な工程を減らす程、制作費を抑えることができます。
- ○必要なものと不要なものを明確にする
- “あった方がいい”ものは多数ありますが、これらを導入するほど費用は増加します。”なくてはならない”ものだけに絞ることが重要です。
営業メンバー・接客メンバーの意見を集約し、価格の強調・耐久年数のアピールなど、現場が優先的に掲載してほしいと思っていることをまとめておきましょう。 - ○不確定要素を減らす
- 制作会社としては、予測される作業日数の最大値で見積もりを行います。実際値と最大値の差が大きいほど、不要な費用が発生してしまうことになります。
制作に入る前の段階、コンテンツと機能について協議している段階で、意思決定が明確であるほど、制作会社は費用を抑えたご提案が可能となります。 - ○緊急対応を減らす
- 緊急対応は制作側に大きな負担をかけます。所属メンバーだけでは手数が足りず、社外メンバーに協力を求めるようなことがあれば、さらに追加費用が発生します。
- ○少しずつ中身を進化させていく
- ウェブウェブサイトは運用していく中で進化していくものですので、公開直後に最大のパフォーマンスを発揮することは、基本的には困難です。アクセス解析を定期的に行った上で、問題点の改善やコンテンツの追加など、成果向上のため継続的な取り組みを必要とします。この部分を見落とすと、せっかく作ったウェブサイトが効果を発揮しないというケースを招きかねません。
制作側と良い関係を
貴社と制作会社が長い付き合いに発展し、制作側が貴社のビジネスを熟知するようになると、製作会社の可動領域は大幅に広がり、
-
良いウェブサイト・ページが短時間で作成できるようになる。
-
成果につながるタイミング・切り口での施策が提案できるようになる。
など、貴社内のベテランスタッフの方のような、柔軟な動きができるようになります。
良いパートナー関係の構築を、心よりお祈り申し上げます。
※トーン&マナー:ブランディングポリシーにもとづき、印刷物やウェブサイトなどの一貫性を保つためのルール。具体的には書体・色調・キャラクター等を定めて運用する。

橋本 昇平氏
株式会社表現社 代表取締役。
総合広告代理店の営業からキャリアをスタートし、時代の流れに沿ってウェブサイト制作・SEO・SEMと職域を拡大。ウェブマーケティングのトータルコーディネートを内制で行う「株式会社表現社」を結成し、手段を選ばない売上向上に挑戦し続けている。
ウェブ解析士マスター。2級Webデザイン技能士。
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