ICTコラム
第45回 知らない間にウェブ広告で発生しているかもしれないブランド毀損広告の掲載面をコントロールしにくいウェブ広告で起こりうるブランド毀損
年々テクノロジーの発達とともに便利になっているウェブ広告を多くの企業が自社サービスのPRとして活用しています。以前のように多額の広告費を必要とせず、少額予算でも広告出稿が可能な媒体が多くでてきています。
少額で広告配信を行うことができる主要な媒体としては、Google・Yahoo!・DSPなどのようにアドネットワークを活用した広告配信を導入しているものが挙げられます。このような媒体は、少額で手軽に始められる一方で配信面のコントロールが難しいことが特徴です。そして、アドネットワークで広告配信を行っている媒体は、配信面のコントロールが難しいことからブランド毀損を招く可能性があることをご存知でしょうか。
ブランド毀損の事例
では、どんな時にブランド毀損が起こりうるのでしょうか。
例えば、自動車事故の記事に自動車メーカーの広告が掲載されていた場合、ユーザーはその自動車メーカーに対してどのような印象を受けるでしょうか。
また、アダルト・暴力的な内容のコンテンツにアナタの会社の広告が掲載されるとどうでしょうか。ユーザーは、アナタの会社に対して好印象を受けるでしょうか。
アドネットワークを使った広告配信では、このような意図しないコンテンツに広告が配信されることは多々あります。
ブランド毀損を防ぐ為に必要な対策
ブランド毀損を防ぐ為には、ブランドセーフティを意識し、適正な配信先に広告配信を行うようにする必要があります。
では、どのように適正な配信先に広告配信を行うのでしょうか。
一つ目は、元々多くの媒体に備わっているブラックリスト機能を活用しましょう。媒体によって定義は異なりますが、ブラックリスト機能を活用することでアダルト・暴力的なコンテンツなどのように社会的に好ましくないページへの広告配信を抑制することができます。
ただ、社会的に好ましくないコンテンツへの配信を抑制できる一方、企業ごとで異なる不適切コンテンツへの配信は抑制することができません。その為、媒体のブラックリスト機能とは別に企業ごとにブラックリストを作成し、配信除外をそれぞれの媒体に行う必要があるでしょう。
二つ目は、ホワイトリストとして配信するコンテンツを指定することです。この方法では、安全な配信先に広告を配信することができる一方で配信できる広告のボリュームが極端に減少する為、「想定よりも広告がでない」「クリック単価が非常に高い」などのデメリットも発生しやすいので、ご注意下さい。
三つ目は、PMP※(プライベート・マーケット・プレイス)を活用して広告を配信することです。PMPとは、コンテンツの質が担保された優良媒体を集めた広告配信の仕組みである為、広告の配信先を把握しやすいのが特徴です。
自社のブランドを守るには自社の自助努力も必要
ブランド毀損が発生すると自社の営業活動に多大な影響を与えます。その為、ブランド毀損を発生させない為にブランドセーフティを意識する必要があります。システムでブランドセーフティを補完することもできますが、企業によってブランドセーフティの基準はことなります。
例えば、自動車メーカーであれば自動車のリコール記事に広告を掲載するとユーザーの不信感を招く恐れがある為、そういったコンテンツでの広告掲載はしたくないと判断する可能性が高いと考えられます。
また、医療関係であれば、医療事故に関するコンテンツへの掲載はユーザーの不信感を招く恐れがある為、そういったコンテンツでの広告掲載はしたくないと考える可能性があると思われます。
このように業界によってユーザーにネガティブイメージを与えるコンテンツが異なってまいります。しかし、媒体のほうでは業界ごとにブラックリスト対応をすることが難しい為、ブランドセーフティの取り組みについては、企業それぞれで対策を練る必要があるでしょう。
※PMP:あらかじめ出稿先を限定して配信できるデジタル広告配信の方式。
身吉 恭幸氏
2016年にフリーランスとして独立し、翌年の2017年に株式会社BOPコミュニケーションズを設立。運用型広告に特化した広告代理店として、主にBtoC商材(サービス)を提供している企業の集客支援に従事。集客の他にも解析ツールを活用したサイト分析にも従事。取り扱い媒体としては、リスティング広告・Facebook広告・Instagram広告・Twitter広告・LINE広告・Amazon Advertising・各種DSPなど。
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