ICTコラム
第46回 店舗集客のためのGoogleマイビジネス活用方法実店舗への集客において、Google検索とGoogleマップの重要性は年々高まっています。スマートフォンの浸透によって人々は隙間時間にお店の情報を調べ、また外出先で必要な店舗を探すようにもなりました。このような時代背景の中、Googleの検索結果やGoogleマップ上に、店舗の情報を適切に表示させることは非常に大切です。そのためには、登録するだけでなく、しっかりとPDCAサイクルを回していくことが大切です。
ここでは、弊社が実際に経営している『029吉祥寺食堂』の事例を通じ、Google検索やGoogleマップ経由でより多くのお客さまを獲得するための、Googleマイビジネスの使い方をお伝えします。
Googleマイビジネスの活用方法
1.ホーム画面で集客経路の全体像を把握
ログインして最初の画面にて、集客状態の全体像を確認できます 。以下がログインして最初の画面の全体像になります。
右上にあるパフォーマンス項目にて、過去28日間の表示回数を確認してみましょう。検索経由とマップ経由、それぞれでの店舗情報の表示回数が把握できます。地域紙に掲載したなど、施策をした際に閲覧数が増えているかどうかの確認を通して、オフライン施策の有効性を間接的に評価することにも利用できます。
▲Googleマイビジネス 画面右上にある「パフォーマンス」閲覧数の表示
次に、真ん中の検索数をクリックして内訳を見てみましょう。
▲Googleマイビジネス 画面右上にある「パフォーマンス」検索数の表示
直接見つけたユーザーというのは店舗名や住所などを検索して閲覧した人になります。よって直接見つけたユーザーが増えているということは、店舗の認知度が広がっていると考えられます。またリピーターの方が予約や店舗の混雑状況をチェックしている可能性もあります。月に1度の頻度で調べ、増加傾向にあるのか大きなトレンドを把握していきましょう。同時に、行った施策に対する結果の振り返りにも活用しましょう。なお、どんな検索語句で調べられているのかという詳細情報は、インサイトにて確認できます。
▲Googleマイビジネス 左メニュー「インサイト」をクリックした際の表示
一方で、新規お客さまを獲得するためには『地域名+ランチ』『地域名+定食』『駅名+焼肉』といった検索語句で表示されることも必要です。これら間接語句での表示を増やすためには、地域名や駅名を含んだ形でアクセス方法を掲載する、地域情報の記事を書くといった施策がおすすめです。また地域情報のまとめサイトに掲載をお願いするものアリです。狙った検索語句ですでに表示されている競合などのサイトを参考にして、自社の魅力を伝える記事を書いてみましょう。そして記事を執筆したら、狙った間接語句で表示回数が増えているのかを確認です。
▲Googleマイビジネス ホーム画面をスクロールすると表示される同業他社投稿の一例
ほかにも、最初の画面で確認できる重要な情報として、同業他社の投稿があります。近接の競合店舗がどのような投稿をしているのかを確認し、集客で他社にまけないような自社独自の投稿を実施していきましょう。期間限定のキャンペーンや新商品など、タイムリーな投稿は効果的です。
2.詳細に分析するためのインサイト活用
左メニューにあるインサイトを使えばさらに詳細分析が可能です。こちらの項目で確認できるのは以下の8種類になります。実際の管理画面では「ビジネスの検索に使用された検索語句」といった表現になっていますが、ここではビジネス=店舗ということで馴染みやすい表現で記載していきます。
①店舗の検索に使用された検索語句
②ユーザーが店舗を検索した方法
③ユーザーが店舗情報を見つけたGoogleサービス
④ユーザーの掲載情報に対する反応
⑤ユーザーが店舗までのルートを検索した地域
⑥ユーザーが電話をかけたタイミングと回数
⑦店舗が混雑する時間帯
⑧店舗の写真の競合と比較しての閲覧状況
では、これらをどのように使うのか説明していきます。
・ユーザーが店舗をみつけたGoogleサービス
こちらの項目では過去四半期の表示回数のトレンドを確認することができます。検索とマップでの表示回数がトレンドで分かるため、店舗の集客力が強化されているのか判断できます。例えば地域紙に広告を掲載した時には、施策をやりっぱなしにせずに、こちらの機能で効果を検証してみましょう。
・ユーザーが店舗までのルートを検索した地域
こちらの項目では、ユーザーが店舗までのルートをどの地点から検索したのかを確認することができます。お店に来るお客さまは、どのエリアから来店してくれているのかを把握することで、施策アイデアが生まれることと思います。お店からの距離が近いにもかかわらず、お客さまの少ないエリアには集客強化のための施策を検討してみましょう。地域紙への掲載といったオフラインの施策もアリですし、配信エリアを指定してのウェブ上のバナー広告なども有効です。そして大切なのは、これら施策をした後に、狙った効果がでているのか確認することです。
・ユーザーが電話をかけたタイミングと回数
こちらの項目では、過去四半期にユーザーの電話回数を、時間帯と曜日で集計することができます。例えば、店舗の休業日に電話が多いのであれば機会損失を抑えるために転送設定を行う、常時電話が多ければオンラインでの予約システム導入を考えるといった形でアイデアを考える時に有用です。
・競合と比較しての写真の閲覧状況
過去四半期のオーナー自身で投稿した写真と、お客さまが投稿した写真、それぞれの閲覧状況を競合と比較して分析することができます。お客さまが投稿する写真をコントロールすることは難しいため、状況把握レベルにとどめます。一方のオーナー自身で投稿する写真はコントロールできますので、どのような写真を掲載すると多く閲覧されるのかを把握して、自社の魅力がより伝わる写真を定期的に投稿していきましょう。
3.クチコミの状況把握と対応
お客さまのクチコミを一覧で見ることができます。高評価のクチコミを通して、お客さまが感じる自社の魅力を振り返ってみましょう。そして、その強みをウェブサイトに掲載することで、店舗に来てくれる人が増えることもあり得ます。同時に、これらクチコミから、店舗作りに活かせる貴重な要望を吸い上げることもできます。
ここで特に見過ごしてはいけないのが低評価のクチコミです。どのような点でお客さまに満足いただけなかったのかを分析して、その対策を行いましょう。そして、低評価のクチコミに対して返信し、真摯な対応をすることが大切です。不手際に対しては謝罪と対応策を伝える、誹謗中傷に近いコメントに対しては店舗としての考えを毅然と伝える必要があります。これらのやりとりを含めて、ユーザー全員が閲覧可能だということを忘れないようにしましょう。
まとめ
Googleマイビジネスに登録することは重要ですが、それ以上に、分析して施策に活かすことが大切です。月に1回は確認して、施策の効果検証と新たな施策の立案に活用ください。
平岡 謙一氏
株式会社アクシス最高執行責任者。WACA認定ウェブ解析士マスター(中部支部長)、Google Adwords検索広告上級資格。大手電機メーカーにてSEとして、海外新興市場でのマーケティングに9年間従事後、独立。リスティング広告、アフィリエイト広告、SEOを得意分野にしている。
関連記事
- 電話応対でCS向上コラム(306)
- 電話応対でCS向上事例(254)
- ICTコラム(121)
- デジタル時代を企業が生き抜くためのリスキリング施策(3)
- 2024年問題で注目を集める物流DXの現状とこれから(2)
- SDGs達成にも重要な役割を担うICT(3)
- 人生100年時代をICTで支えるデジタルヘルス(3)
- 働き方改革と働き手不足時代の救世主「サービスロボット」の可能性(3)
- ICTで進化する防災への取り組み「防災テック」(3)
- ウイズ&アフターコロナで求められる人材育成(3)
- AI-OCRがもたらすオフィス業務改革(3)
- メタバースのビジネス活用(3)
- ウェブ解析士に学ぶウェブサイト運用テクニック(46)
- 中小企業こそ取り入れたいAI技術(3)
- 日本におけるキャッシュレスの動向(3)
- DXとともに考えたい持続可能性を図るSX(3)
- 「RPA(ソフトウェア型ロボット)」によるオフィス業務改革(6)
- 「農業×ICT」で日本農業を活性化(3)
- コロナ禍における社会保険労務士の活躍(4)
- コールセンター業務を変革するAIソリューション(3)
- ICTの「へぇ~そうなんだ!?」(15)
- 子どものインターネットリスクについて(3)
- GIGAスクール構想で子どもたちの学びはどう変わる?(3)
- Z世代のICT事情(3)
- 企業ICT導入事例(176)
- ICTソリューション紹介(83)