ICTコラム

第43回 12倍のジム体験予約数を獲得!データから見えるウェブサイト改善策

長野県内で本格的な加圧トレーニングのジムを運営しているG社。ウェブサイトから集客をしたいと言うことで弊社にて制作を行いましたが、公開当初はうまく効果が現れませんでした。それから実際に成果を継続的に出すまでの戦略、改善事例をご紹介します。

ウェブサイトを制作したからといってすぐに効果が現れるわけではない。

 まずウェブ制作会社のディレクターとして皆さんにお伝えしたいことは、ウェブサイトは公開してからが初めてスタート地点に立つのであって、ウェブサイトの公開は決してゴールではないこと。つまり運用フェーズに入り、実際にデータを集めた上で、データを基に問題点・課題を見つけていくことがウェブサイトで結果を出すために必要なことです。

 もちろん制作前にも戦略を考えた上で、デザインを起こし、ウェブサイトを実装・公開していくわけですが、弊社の事例で言うと、公開時の戦略が当たるウェブサイトは3割程度です。つまり約7割は戦略がうまくいかず、二の手、三の手を考えて改善することがほとんどです。当然、2回目、3回目の戦略の方が成功確率が高くなっていきます。なぜならGoogleAnalyticsやサーチコンソールといったアクセス解析のツール上でデータが蓄積され、数字に基づいた改善が行えるためです。

公開前の戦略は空振り・・・実際に解析を行って気づいた事実とは?

 「加圧トレーニング」と聞いて皆さんはどのようなターゲットを思い浮かべるでしょうか?筋肉ムキムキのストイックなトレーニングをする20~40代くらいの男性を想起する人は少なくないでしょう。私たちも制作当初の戦略として、「加圧 ○○市」、「加圧トレーニング ○○市」と言うキーワードでの流入を期待し、おおよそ20~40代の男性をターゲットとして、ページのデザインも男性向けにスポーティでパワフルなイメージを訴求して作成しました。その結果、公開後3ヶ月間は鳴かず飛ばず、フォームからの体験予約申込も1件と全く成果を残せませんでした。

 そこで検索キーワードからどれくらい流入しているか、サーチコンソールのデータを確認していきました。そうすると、なんと「加圧トレーニング ○○市」と言うキーワードの検索順位は、平均3位前後までは上がっていましたが、そもそも検索件数自体が少なく、訪問数も月に10前後と、明らかに母数が足りませんでした。(Googleキーワードプランナーで検索件数の調査はしていたのですが、地方だと人口が少なく、Googleキーワードプランナーで推定される検索件数の予測精度が低いため、実際の数値を確認すると言う意図もありました)

 またユーザー属性を見てみると男性より女性の方の流入が多く、年齢層で言うと30~50代が多いと言う事実も分かりました。

 「これは30~50代の女性に対して、もっと検索件数が多いキーワードと地域名での上位表示を狙わないといけない」と考え、改善策を練りました。

データに基づいた改善、徐々に効果が現れ始める。

 具体的には、検索キーワードを見直し、「パーソナルトレーニング」と言うキーワードからの流入を強化させました。理由としては、「女性が人目を気にせずトレーニングができる環境は魅力的なのでは?」と言う仮説と「加圧トレー二ング」より「パーソナルトレーニング」の方が約10倍の検索件数があったためです。このキーワードをページタイトルやディスクリプションに含め、ページ自体にもキーワードを散りばめながら、「パーソナルトレーニング」を推す形でコンテンツの見直しを行い、さらにはデザインもスポーティでパワフルなイメージから軽やかでスタイリッシュな印象のデザインに変更を行いました。

 すると、公開後3ヶ月で1件の体験予約申込しかなかったサイトが、4ヶ月目で3件、5ヶ月目で2件、6ヶ月目で6件と徐々に成果が見え始めてきました。

 実際に流入キーワードの検索順位やクリック数を確認してみると、「パーソナルトレーニング ○○市」は12位→3.8位/クリック数2→25、「○○市 パーソナルトレーニング」は9.3位→3.5位/クリック数7→37と目に見える形で数値が改善されていました。

あくまで仮説は仮説。当たらないこともあるので大事なのはPDCAを繰り返すこと。

 今回の事例は一発目の改善で効果は出ましたが、当然戦略が外れることもあります。だとしたらもう一度戦略を練り直せば良いのです。1回目より2回目、2回目より3回目の方がより精度が高くなってきます。

 大切なことはデータを見て、仮説を立て改善策を実行すること。そして愚直に改善を繰り返すことです。ここにウェブマーケティングの本質があると思います。

本山 太志氏

青山学院大学卒業。ECサイトのWebデザイナーを経て、現在は受託制作をメインに行うイー・オフィスのWebディレクター。
中小企業のWebサイトの立ち上げから運用に従事。
医療系のクリニック、治療院、エステ、小売店、自動車整備工場などの店舗型ビジネスやBtoBビジネスサイトの制作・運用実績が豊富。

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