ICTコラム
第14回 プロジェクト管理ツールで仕事の“見える化”を促進日々発生するウェブサイト更新やプロジェクト進行、そしてウェブ改善などの件で社内外のメンバーとメールで連絡するケースは多くあります。しかし多岐にわたる用件のメールを整理して迅速に対応することは、担当する業務が増えるほど困難になりがちです。そのような時、プロジェクト全体の業務効率化に役立つのがプロジェクト管理ツールです。
メールによるタスク処理
近年はさまざまな組織に属するメンバーが案件ごとに存在し、どの話題をどの組織のメンバーに伝えるか情報が錯綜するケースも見受けられます。また日々発生するタスクの進捗を管理するためにメールの文面を一通ずつ読んで判断することが多く、管理者の作業負担が増大する傾向がありました。
プロジェクト管理ツールの概要
プロジェクト管理ツールの全体像としては、“スペース”と呼ばれる空間を使用し、ユーザーを一人ひとり登録します。そして、“プロジェクト”という枠ごとにユーザーを紐づけています。
上の図の例では、プロジェクトAは赤さん、紫さん、橙さんだけが閲覧できます。プロジェクトBは大勢の人が参加している大型プロジェクトです。プロジェクトは「ウェブサイトリニューアル」や「ブログの運用・更新」、「新規事業立ち上げ」など、一緒に仕事を進める人を一括りに入れます。
そして各プロジェクトの中には、その仕事を進めるための細かなタスクを“課題”として登録していき、その課題を各自が実行していくことでプロジェクト全体の進捗が一目で確認できるようになります。
プロジェクト管理ツールの使い方
今回はプロジェクト管理ツールの中から「Backlog」をベースにご説明します。操作はとても簡単です。一つのプロジェクトに属するメンバー間にメールを送る操作と同じように、プロジェクト管理ツールにあるウィンドゥに件名や課題の内容を記載します。
上の図のように、「件名」「本文」「宛先」「ファイル添付」「Cc」を入力するだけで課題を立てることができます。課題を立てた後は時系列に沿ってメッセージや添付ファイルなどやり取りの全てを課題内で確認できるようになります。
メールより便利なプロジェクト管理ツールの機能
プロジェクト管理ツールがメールよりも優れている点として、
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メールのやり取りを探す手間が省ける
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カテゴリ分けすることで、関連性のあるメールを探す手間が省ける
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進行の優先度を整理する手間が省ける
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課題の期限を別のツールで管理する手間が省ける
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添付ファイルのあるメールを探す手間が省ける
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一度投稿した課題の内容を後で編集できる
などが挙げられます。
ダッシュボードで課題を一覧確認
メールで仕事を進める場合、自分の抱えている課題やプロジェクトの進み具合、ほかのメンバーの進行状況は、ほぼ全てを自分の頭の中で把握しているのではないでしょうか。そして稀に、やるべき仕事を忘れていたり、優先順位がつけられなかったりしているのではないでしょうか。ダッシュボードで仕事の進捗を一覧で確認することで、仕事を効率的に進めたかどうかを見つける手助けになります。
プロジェクト管理ツールでは、自分の課題が一覧化された状態で表示されるダッシュボードというページがあります。ダッシュボードには課題の優先度や状態、期日が表示されますので、業務開始時に仕事の進行スケジュールを考えたり、仕事の優先度を素早く把握できます。
属するプロジェクトごとに最新の更新状況もタイムラインで表示されますので、どのメンバーがどの課題を進めているか、進めたかどうかも一覧で確認することが可能です。自分以外のメンバーが課題を更新した場合もメールで知らせてくれるので、常にプロジェクト管理ツールを見張っている必要はありません。
投稿する時のルールをメンバーに明示しましょう
導入時に使い方のルールを統一することで、プロジェクト管理ツールをより効率的に使うことができます。
例えばメールで仕事のやり取りをしている際に、「見積の件」でやり取りを重ねているうちに、「次回の打ち合わせの件」や「別の問い合わせの件」を同じメールの返信で進めてしまうことはないでしょうか。話題が変わることで、時にはやり取りの内容がCcに入っているメンバーには不必要な情報になったり、宛先に含めるメンバーが変わってしまうなどの問題が発生します。それはメールにおける「やり取りのルール」が明確になっていないために起こることです。
プロジェクト管理ツールを利用する時は、プロジェクトに関係するメンバーに対して課題を投稿するルールを明示することが重要です。それにより以後の課題の探し方や検索性が統一化され、プロジェクト全体の効率化につながります。課題に含まれる情報をいかに検索しやすくするかが最初の取り決めにかかっています。
具体的には以下のようなルールを、最初の課題として投稿することをお勧めします。
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一つの課題には一つの用件のみ
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課題には必ず担当者を設定する
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担当者は必ず課題に回答する
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担当者を変更する
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課題を作った人が課題を完了する
初歩的な使い方の紹介でしたが、これだけでもメールでのプロジェクト進行よりも数段効率的に進行管理できるようになると思います。
今回は「Backlog(http://www.backlog.jp/)」を元に紹介しましたが、ほかにも「Redmine」や「JIRA」などさまざまなツールがあります。ぜひ一度使ってみてはいかがでしょうか。
伊勢 真氏
株式会社トラス取締役。
WACA認定ウェブ解析士マスター。大手通信企業のポータルサイトの運用の総指揮として、アクセス解析やWebディレクションに6年間従事。現在は前述のサイト運用を後任に任せ、Webとマーケティングの知見を活かし、大企業から中堅中小企業問わずにコンサルティングや企業研修の講師を務める。
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