電話応対でCS向上コラム
-株式会社MAYA STAFFING-第78回 お客さまと織りなす会話 ~気づきがもたらす成長~
記事ID:C10152
私が勤めるコールセンターでは、インターネット回線の設置に関するお申込みやお問い合わせ対応を行っています。特に繁忙期には、1日に数千件ものお電話をいただくこともあり、多くのお客さま応対を行っています。
私は長年、応対品質を専門に担当しており、さまざまなお客さまとコミュニケーターの会話をモニタリングし、評価・フィードバックを行ってきました。
「気づきから学ぶ」変化のきっかけ
コールセンターに長年勤務されているKさんという優秀なオペレーターがいました。Kさんは誰にでも明るく、はきはきとした口調が印象的な方でした。生産性は常に高水準で、業務スピードにも優れていました。しかし、応対品質については少し苦手意識があるとのことで、担当SVから相談を受けていました。
ある日、そのKさんのモニタリングを行った時のことです。Kさんの音声を聞いて「雑ではないが、どこか事務的で余韻が残らない」と感じたのです。笑声はあり、スクリプトにも忠実で正確性は申し分ないのですが、会話のキャッチボールが少なく、お客さまとの対話というより“処理”に近い印象を受けました。
「お客さま視点」での気づき
そこでKさんとの面談を実施し、まずは日頃の高い生産性に対して感謝を伝えた上で、普段の応対で意識していることを尋ねたところ、応対品質に悩みを抱えていることも打ち明けてくれました。ここからKさんの本質的な変化が始まりました。
私はKさんに、実際の音源を「自分の視点」と「お客さまの視点」に分けて聴いてもらい、自己評価をしてもらいました。
その中でKさんは、「自分では普通に応対していたけれど、お客さまはもっと深く聞きたかったように感じました」と、お客さまの視点に立つことで初めて“応対の奥行き”に気づいたようでした。
「変化と成長」
その後、Kさんは応対の中に「お客さまの気持ちを汲み取る」言葉を取り入れて「会話」を意識し続けました。本人も驚いていたのは「質問が増えたのに、応対時間はほとんど変わらなかった」という結果です。これは、生産性と応対品質の両立ができた成果でした。
「意識が変われば行動が変わる、行動が変われば習慣が変わる」恩師の座右の銘でもある、ウィリアム・ジェームズの名言を思い出しました。
Kさんの変化を通して、改めて「気づきの大切さ」や「相手に寄り添った会話の大切さ」を学びました。
今後も私は「気づき」を応対指導の根幹に据え、「会話することの意味」を伝え続けていきたいと思います。
中村 明博氏
株式会社MAYA STAFFINGドコモ光営業部主査。コールセンターでの就業経験も今年で20年目を迎える。電話応対技能検定指導者級の経験を活かしながら主に応対品質を担当し、新人育成から研修、電話応対コンクール・電話応対技能検定の指導に携わる。昨年度は、企業電話応対コンテストでも審査委員を務めた。
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