電話応対でCS向上コラム
-オフィスKEI株式会社-第77回 つながる想い、電話応対で築く信頼
記事ID:C10149
住宅機器メーカーのコールセンターで給湯機器のカスタマーサポートの仕事をしていた時のことです。お客さまからの不具合のお問い合わせは、単なる技術的な問題解決に留まらない、多くの学びの機会を与えてくれました。
「不安」に寄り添う
特に印象的だったのは、お客さまの抱える「不安」の深さです。「お湯が出ない」という状況は、単に生活の質を低下させるだけではなく、衛生面や精神的なストレスにも直結します。お客さまは、給湯器の専門知識がない中で、目の前の現象に戸惑い、不安を感じていらっしゃいました。こうしたお客さまの心情に寄り添うことの大切さを、電話口でのお客さまの声のトーンや言葉から強く感じました。
寒さ厳しい夜のことでした。小さなお子さまがいらっしゃるご家庭から「お湯が出ない」と切羽詰まったお電話がありました。私はまず、「お子さまもいらして大変お困りですね。ご不便おかけして申し訳ありません」と、お客さまの状況を察した言葉をかけました。そして、お客さまがご不安にならないように対処法をゆっくりと、分かりやすい言葉でご案内しました。結果的にごく簡単な操作で解決したにもかかわらず、お客さまから「安心できました、本当に助かりました」と感謝の言葉をいただきました。この経験からも、技術的な解決策を提示する前に、お客さまの心情に寄り添い、ご不安を取り除くことが真の問題解決につながることを改めて確信しました。
理解が信頼を生む
お客さまは、時に、私たちが想定していない機器の使い方をされ、トラブルを悪化させてしまうことがありました。こうした状況では、つい「それは違います」と指摘しがちですが、一方的な指摘は信頼関係をこじらせます。私自身も、苦い経験からそれを学びました。だからこそ、私はまずお客さまの意図を理解する努力をしました。この経験は、「信頼とは」を考える機会にもなりました。
電話応対からの学び
お客さまへの対応を通じて、私は単に知識を深めるだけでなく、お客さまの目線に立ち傾聴する、察することの重要性を深く学びました。この経験を活かし、センターにQA※を立ち上げ、応対品質に関わってきました。これらの経験は、技術的な知識以上に、社会人として不可欠なスキルとして、私の大きな財産になっています。現在は、講師として電話応対の指導に携わっていますが、「お客さまの心情に寄り添う」ことの大切さを伝え続けています。
- ※ QA
- Quality Assuranceの略で、工場で作られた製品の性能や機能が期待される品質基準を満たしているかチェックして保証する役。

山口 秀江氏
オフィスKEI株式会社。電話応対技能検定指導者級資格保持者。前職のコールセンターでのサポートや育成、運営経験を活かし、講師として電話応対全般、マネジメントに携わる。電話応対技能検定の講習・検定実施、企業電話応対コンテスト審査委員、電話応対コンクールの研修・指導や審査委員を務める。
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