電話応対でCS向上コラム

-株式会社ラハマン農園-
第59回 見えなくても、伝わる

記事ID:C10091

 電話応対業務に携わり、約20年が経ちました。初めてヘッドセットを身につけて、コールセンターにかかってきた電話を取った時は、手と声が震えていたことを思い出します。そんな私でも業務に慣れてきて、電話応対が楽しいと感じ始めた時に、自分の応対を見直すきっかけになった出来事が起きました。

あんた本当に俺の話を聞いているのか?!

 ある日、私はいつも通りヘッドセットをつけ、今日一日の目標の対応件数を自身に課し、仕事に就きました。その日の朝一番に取った電話は、クレームの電話でした。
 私は正直「目標の件数があるから、早く終わらせたい」という思いがよぎりましたが、相手の男性のお客さまは、大変な剣幕で怒鳴り、それどころではなくなりました。
 私は焦りながらも、パソコンで内容を入力して、前回の問い合わせ履歴を画面に表示させたり、次にご案内する内容を調べたりなど、必死で応対していました。すると、お客さまがひとしきり話された後に「あんた本当に俺の話を聞いているのか?!さっきからパチパチうるさいんだよ!」とおっしゃったのです。もちろん相槌を打ちながら応対していたのですが、軽快に打つキーボードの音が、さらにお客さまを不快にさせてしまったのです。私はものすごく恥ずかしくなりました。まるで今の自分の姿を見られているようでした。すぐにキーボードから手を離し、丁重に謝罪し、応対を終えることができました。

自分でも納得

 後日、その応対の通話録音を聞いたところ、キーボードを打つ音が大きくて、お客さまに丸聞こえだったほか、私が打っていた相槌は「お客さまに向き合った音」ではなく、パソコンに向き合い、事務的で気持ちがこもっていない音でした。そこにキーボードのパチパチする音が加われば、その対応に(いら)つかない人はいないはずだと、自分でも納得し、猛省しました。

見えないからこそ

 電話応対は音声だけなので、お客さまに私たちの姿や様子は見えません。しかし、見えないからこそ、お客さまは電話から聞こえてくる声と音で、電話の向こうにいる私たちの状況や向き合う姿勢まで読み取るのです。一生懸命応対していたつもりでしたが、それは、対応件数をこなす応対でしかなかったのでしょう。
 “見えなくても、気持ちが伝わる”。このことを常に忘れず、電話応対では、対面の時以上に声に気持ちを込めて話すようになり、「心」を伝える応対の大切さを学びました。大切なことを気づかせてくれたお客さまには、今でもとても感謝しています。

「次回の講師は、つながり計画代表の中野英行さんです。電話応対技能検定指導者級資格保持者(16期生)。電話応対のみならず、社内のコミュニケーションの活性化を図るための、LEGOブロックや音楽を使ったワークショップなどを展開し、幅広く活躍されています。博学で、ユーモアあふれる偉大な方です」

ラハマン 暁子氏

株式会社ラハマン農園販売部部長兼取締役。電話応対技能検定指導者級資格保持者(20期生)、第7・8期指導者部会委員。長年コールセンターで電話応対コンクール・電話応対技能検定(もしもし検定)の指導に携わる。現在は、自社農園で栽培した農産物を直販する部門で、スタッフの教育・指導を行いながら、電話応対を始めとするビジネスマナーやもしもし検定を、学校や地域に普及する活動も行っている。

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