電話応対でCS向上コラム

-佐川急便株式会社-
第45回 感動を生む電話応対

記事ID:C10047

 佐川急便株式会社は、皆さまにご利用いただいている宅配便をはじめ、輸送に関する事業を展開しています。私が所属する「カスタマーサービス課」では、お荷物に関するお問い合わせを法人のお客さまから個人のお客さままで幅広く対応しています。

お荷物に込められた思い

 これは入社して3年目位の時の出来事です。ご高齢の女性から、「贈り物で届いたカーネーションの花が折れてしまっている」とのお問い合わせを受けました。贈り物であり、お預かりした状態でお届けできなかったことが非常に申し訳なく、丁重にお詫びしました。
 発送元である花屋さんにお詫びし、同じ商品の発送が可能か確認した上で、贈り主のお客さまに改めてお詫びのご連絡をし、同じ商品の再発送について説明しました。すると、「同じ商品であっても、自分の目で見て、お花を選んで贈りたいです。もう一度選ぶので時間をいただいてもいいですか」とおっしゃったのです。この言葉に大きな衝撃を受けました。お荷物一つひとつに背景があり、それぞれに深い思いがあることを改めて感じ、その責任を痛感しました。そして、贈り主のお客さまがお届け先のお客さまのことをとても大切に思っている気持ちに感動しました。

お客さまからの「ありがとう」

 その後、お届け先のお客さまに、今の状況と贈り主のお客さまの思いを伝えたところ、お客さまが泣いていることが電話口からでも分かりました。「息子の元お嫁さんからの母の日の贈り物であり、毎年カーネーションを受け取り、御礼の品を送るだけの会話もない関係が何年も続いている」と話してくださいました。その話を伺い、お荷物の状況とともにお二人の気持ちをしっかり伝えようと、新しいカーネーションをお届けするまでの間、双方のお客さまと細かく連絡を取り、その都度双方に状況を話しました。
 新しいカーネーションのお届けも済んだ数日後、お届け先のお客さまから、「今回を機に、元お嫁さんと連絡を取るようになりました。気まずい関係が解消できました。一度花は折れてしまっていたけれど、佐川急便さんでよかった。あなたが対応してくれてよかった。本当にありがとう」とのお電話をいただきました。涙が出るほど嬉しかった瞬間でした。

お客さまのドラマに感動を

 この出来事は、私のお客さま対応における礎となりました。お客さまにはそれぞれ背景があり、ドラマがあります。そして、お客さまの気持ちを汲み取ることができる電話応対だからこそ、お客さまのドラマに少しの感動を生みだすことができます。電話応対が持つ力=応対者の人間力でもあります。少しでも多くの感動を生み出せるよう、自分自身を成長させるとともに後輩の育成に尽力してまいります。

次回の講師は、ケーブルテレビ株式会社の三澤 教子さんです。電話応対コンクール全国大会の優勝経験を活かし、社内の電話応対技能検定指導をはじめ、社内研修や人材育成など指導者としてご活躍中です。優しさと強さを兼ね備えた素敵な女性です。

篠原 夏江氏

佐川急便株式会社 東関東支店 茨城営業所 カスタマーサービス課所属。社内の電話応対技能検定指導、社内電話検証の採点などを担当。電話応対技能検定指導者級資格保持者。第52回、53回、55回電話応対コンクール全国大会優秀賞。今期(第8期)電話応対技能検定指導者部会委員長。

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