電話応対でCS向上コラム
第5回 細やかな気配りを研修内容に反映私にとっての「お客さま」は、研修のご依頼をいただく方です。今までたくさんのお客さまにお目にかかってきましたが、特に私が“学び”をいただいたお客さまを、今回紹介したいと思います。その方は、1981年に歯科診療所を開業され、現在は世界各地に歯科診療所をお持ちの医療法人の理事長です。
患者さんへ「ようこそ」を伝えられる環境整備を大切にする
理事長は、各診療所をめぐる時、まず玄関周りの植木をご覧になるのですが、新芽が不揃いに伸びているのを目にすると「なぜ植木の管理ができていないのですか、今日は建物の中まで見る必要はありません」と一言告げ、そのままお帰りになります。また、診療所の待合室は私の家の面積より広いのですが、患者さんのために備えてある本の背表紙が日焼けしているだけでその本の買い換えを指示されます。これは、今もなお徹底していることであり、患者さんへ「ようこそ」を伝えられる環境整備を大切にしているからこその対応なのです。
理事長は、私に研修を依頼する以前から、常に訪れる患者さんの目線で各診療所を細かくチェックされていましたが、さらに患者さん側から見たチェックを私に望まれ、研修を依頼されたのです。
これほど気配りが行き届く理事長が満足なさる内容のチェックやコメントをするには、講師の私自身がチェックするべきポイントにどれだけ気づくことができるかが重要です。
私は理事長から研修のご依頼をいただいて以来、自分の目や耳を肥やし、知識を深めるための時間を作るように努めました。美術館や音楽会に積極的に出かけ、ホテルをめぐったり、あえて研修とは関係のない分野の本も意識して読みました。そして、自宅でテレビをつけたままにしておく時間を作り、思わぬ角度の情報や言葉が耳に入ってくることにも気づかされました。
笑顔を絶やさない接遇応対研修
理事長は、研修前日や当日になると、必ず担当者を通して「松尾先生、研修よろしくお願いします」という電話をくださいます。それは、理事長が国内に限らず外国にいる時もです。このような気配りをいただく度に、お声がけをいただいた嬉しさを肌で感じ、そして研修に参加されるスタッフ全員が「研修に出て良かった」と感じられる研修をしなくては、という強い気持ちに自然と切り替わるのです。
笑顔や身だしなみはもちろん、研修では患者さんとのコミュニケーションにポイントを置き、性別・年齢別・状況設定別のロールプレイングを進めています。
理事長の「患者さんに軸足を置く」という理念は、現在まで一貫しており、決してぶれることがありません。私はこの紙面に書ききれないほどの理事長からの学びを通して、「研修参加者一人ひとりの心により近づく」ことを意識しながら、満足していただける研修を目指しています。
松尾 友子氏
現在、電話応対技能検定指導者級資格保持者。元日本航空客室乗務員。厚生労働省「若年者就職基礎能力修得のための基準策定委員会」元委員。
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