企業ICT導入事例

-株式会社リクルート-
「Airペイ」の仕組みと、そのメリットとは

記事ID:D10010

スピーディで便利、かつ割引やポイントなどのメリットがあるキャッシュレス決済は、その利用率が年々高まっています。しかし一方で「どうやったら導入できるか分からない」「費用や手数料が心配」という経営者の方もいらっしゃるでしょう。そうした不安を解決する決済サービス「AirPAY(以下、Airペイ)」を運営する株式会社リクルートの塩原 一慶氏に話をうかがいました。

—Airペイの概要について教えてください。

 「Airペイ」は、クレジットカード・電子マネー・QRコード・ポイントに対応する決済サービスです。iPadまたはiPhoneと専用カードリーダーが1台あれば、全35種の決済手段に対応し、お店のキャッシュレス化が実現します。

—具体的には、どのように使うのでしょうか。

 iPad、iPhoneとカードリーダーを、Bluetooth(※)による連携で組み合わせて使います。お会計の際、まずiPad、iPhoneでアプリを立ち上げ、金額を入力します。次にクレジットカードの場合はカードリーダーにカードを挿入し、暗証番号をご入力いただくか、ディスプレイにサインをしていただきます。タッチ決済が可能なクレジットカードや、電子マネーの場合は、カードリーダーの読み取り部にタッチしていただき、処理音が鳴ると決済が終了です。実際に使っていただくと非常にスピーディで、かつ非常に簡単であることがお分かりいただけると思います(図1)。

手持ちのiPad/iPhoneの利用が可能、月額費用も0円

—加盟店のメリットについて教えてください。

 端的に申し上げて、初期費用、ランニングコストとも安く、かつ手間なくキャッシュレス決済を導入できることです。例えば、ご商売をされている方がクレジットカードの加盟店になる場合、カードのブランドごとに審査があります。さらに審査に通っても、決済のための専用端末の導入に少なくない費用がかかりますから、複数のクレジットカード決済に対応すること自体、ハードルが極めて高かったのです。
 しかし「Airペイ」は、これ一つを導入いただくことで、複数のクレジットカードでの決済が可能になるほか、先に申し上げたように電子マネーやQRコード、さらに我々が別ソリューションとして提供しているポイント決済にも対応します。決済のためのアプリは無料ですし、iPadやiPhoneはお手持ちのものをご利用いただけます。「キャッシュレス導入0円キャンペーン」をご利用いただけば、iPad、カードリーダー含め初期費用0円での導入も可能です。
 ランニングコストではまず、月額費用がかかりません。そして決済手数料は3.24%または3.74%と、一般的な手数料水準に比べ、非常に低廉です。
 また弊社から加盟店への振込手数料も0円で、売上の振込みは、メガバンクのご利用であれば月6回、それ以外の金融機関でも月3回ですので、お店のキャッシュフローに大きな影響を与えることがないこともメリットと言えるでしょう。
 さらにオペレーションそのものもiPadもしくはiPhoneの操作に限られるため、アルバイトの方でも使いやすくわかりやすいというところもポイントになると思います。

多彩な決済サービスへの対応がお客さま満足の向上に

— 低廉とはいえ、決済手数料を気になさるお店の方も多いのではないでしょうか。

 現金での決済と比較したとき、ポイントが貯まることや決済が手間なくスピーディであることに魅力を感じ、キャッシュレス決済をお使いになるお客さまの比率は年々高まっています。また実際に導入いただいたお店からも「キャッシュレス決済をお使いになるお客さんがこんなにいたんだ」という声をいただきます。お客さまの立場に立つと、レジで「カード使えますか」と聞くのはやはり恥ずかしさがあり、確認することなく現金で支払っていた方もいらっしゃったでしょう。つまり、それまでの現金決済のみの対応では見えなかったお客さまのニーズが“見える化”したということです。
 また「カードが使えますか」と聞かないまま、入店をためらったお客さまもいらっしゃったはずです。「Airペイ」の導入が進むことで、店頭にあるステッカーなどを見て「ここならクレジットカードでも電子マネーでも使える」とわかり、お客さまは安心して来店できます。
 もうひとつ、多くの決済手段に対応することは、お客さま満足の向上にもつながると考えています。ポイントや支出の管理などで、支払い手段をひとつにまとめたい、またキャンペーンにあわせて支払い手段を選びたいお客さまにとっては「そのお店でどれが使えるか」は重要です。そうした側面からも、多くの決済手段に対応する「Airペイ」をご利用いただくことはお店にとって大きなメリットがあると思います(図2)。

目指したのは「お客さまをお待たせしない決済」の実現

— 開発の動機や、開発にあたってのご苦労をお聞かせください。

 現在、いろいろな決済手段がありますが、支払うお客さまにとっては「お店ごとに何が使えるのかわかりにくい」という不便がありました。またお店にとっても、新たな決済手段に対応するたびにレジまわりに端末が増え、物理的なスペースを圧迫するだけでなく、取り扱いが面倒になります。そうした不便をなんとかしたいというのがそもそもの動機です。
 さらにグローバルで見たときにキャッシュレス決済は日本が大きく遅れている領域で、まだまだ伸びしろがあると思っていました。今後キャッシュレス化の波が本格化したとき、オールインワンで対応できる端末があれば、そこにビジネスチャンスがあると感じたのです。
 苦労した点はいくつかありますが、わかりやすい部分では、いかに決済をスムーズかつスピーディにするかというところです。我々のカードリーダーは1台でタッチ、スワイプ、挿入してのIC読み取りという3方式に対応する利便性を備えていますが、開発当初はタッチのときにスワイプ側で磁気センサーが反応したり、電波が干渉したりといった問題があり、その解決に苦労しました。
 また決済の際、カードをカードリーダーにタッチする、挿入するタイミングで、必ず待ち時間が生じます。この時間でリーダーはセンターと通信し、認証するわけですが、この時間が長いとお客さまのご不満につながります。開発においては、リーダー内部での処理時間、アプリ、サーバーのデータベースなどあらゆる部分でチューニングを行い、待ち時間の短縮に努めました。

お店とお客さまの双方に「便利」を実感してもらえるサービスを

今後の展望について教えてください。

 我々は「Airペイ」を含む「Airビジネスツールズ」を通じ、“商うを、自由に。”というビジョンを掲げています。POSレジの基本機能が無料で使える「Airレジ」、受付管理アプリ「Airウェイト」などで、規模や業種を問わず、お店の困りごとを解決し、生産性向上、お客さま満足向上を実現したいと考えているのです。
 もちろんキャッシュレス決済ひとつをとっても、リテラシーに明るいお店の方もいらっしゃいますが、そうでない方が少なくないのも事実です。ただ闇雲に新たなサービスを出していくのではなく、そうしたリテラシーの高い低いにかかわらず、違和感なく使っていただけるようなサービスとしていくことが、我々の目指すべきところであり、そうした取り組みを通じてお店のデジタル化を支援していく存在になりたいと思います。
 今後もお店、お客さまの双方に「これ便利だね」と実感していただけるサービスの提供を目指し、進んでいきたいと思います。

※Bluetooth:近距離無線通信の規格の一つ。情報機器やオーディオ機器などを無線で接続し、機器間で音声やデータをやり取りすることができる。

塩原 一慶氏

株式会社リクルート
SaaS領域プロダクトマネジメント室
決済プロダクトマネジメントユニット
ユニット長

株式会社リクルート

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