企業ICT導入事例

-NTT東日本関東病院-
スマホのアプリ「妊婦手帳」でどこでも手軽に“妊娠”を学ぶ

出産医療機関の減少による医師の負担増と、高齢出産に伴う妊婦さんの不安。NTT東日本関東病院ではICTを活用し、負担増と不安を同時に解消する試みに取り組んでいます。

【導入の狙い】医師の負担軽減と妊婦さんの不安払拭
【導入の効果】妊婦さんと病院、双方にメリットを創出

▲産婦人科 主任医長・杉田 匡聡氏

 現在、出生数が減少したことで、分娩を担う医療機関の数は減少傾向にあります。

 「街の病院でお産を診るところはごく少数になり、総合病院や大学病院などが、地域の出産医療を一手に引き受けているのが現状です。また高齢出産の増加でお産の難易度は高くなり、医師の責任も大きくなっています」(杉田氏)

 こうした出産医療の環境の中で、まずは「妊婦さんにもっと手軽に、妊娠についての知識を持ってもらえたら」と杉田氏は考えました。

妊婦さんの多くが持つスマホに注目

 「当院では妊娠や分娩についての情報を記した『マタニティブック』を配布しています。しかしこの冊子はやや大きく、持ち歩くには適していません。そこでこの冊子をアプリ化し、スマートフォン(スマホ)で手軽に読んでもらえるようにしたいと思ったのです」(杉田氏)

 そのアイデアにNTTドコモが賛同し、プロジェクトがスタートしたのが2013年春。夏には試用版をもとに、病院スタッフや妊婦さんによる実証実験も行われました。

 「コンテンツの中身やデザインについて検討を重ね、同年12月に正式版を公開しました」(杉田氏)

 こうして完成したアプリ「妊婦手帳」は、起動すると、トップ画面に妊娠の週数と、その時期の胎児の状態が分かるコラムが案内されます。「よくあるQ&A」では、楽しみながら妊娠や出産、身体についての知識が得られるよう、配慮されています。

スマホの通信機能を活かし、双方向性を実現

 スマホの通信機能を使い、妊婦さんと病院との双方向性を実現したのも、「妊婦手帳」の大きな特徴です。

 「アプリ『妊婦手帳』に登録した病院は、アプリと連携したサポートサイトの利用が可能となります。医師はこのサポートサイトの管理画面を通じて、妊婦さんの書き込んだメモなどを確認可能です。これにより、診察の際の伝え忘れが防げますし、診察前にそのメモを確認することで、貴重な診察時間を有効に使うことができます」(杉田氏)

医療分野でのICTのさらなる活用を進めたい

 このように十分な機能と使いやすさ、そして無料で使えることが高い評価を受け、「妊婦手帳」は同種のアプリの中でトップクラスのダウンロード数を続けています。

 「アプリと電子カルテとのデータ連係など、まだこれからも課題は残っていますが、私たちはこの『妊婦手帳』を足がかりに、医療分野でのICTのさらなる活用を進めたいと思っています」(杉田氏)

 必要なデータをスマホで事前に収集し、短時間の診察で適切な診断と治療が受けられる。そんな時代がもう、すぐそこまで来ています。

組織名 NTT東日本関東病院
設立 1952年(昭和27年)1月
所在地 東京都品川区東五反田5-9-22
病院長 亀山 周二
従業員数 医師340名(非常勤含む)、看護師707名(非常勤含む)
業務内容 医療業務全般
URL https://www.ntt-east.co.jp/kmc/

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