企業ICT導入事例

-青梅商工会議所-
防災アプリ開発により、情報の“見える化”を実現

【導入の背景】災害時における早期・全体像の把握が消防団の課題
【導入の効果】全体像を把握できることで各団員は取るべき行動の判断が可能に

消防団が抱えていた課題

▲事業部 部長・山崎 克己氏

 火災や地震、津波などの災害のとき、消防署員とともに消火活動、避難誘導などの任にあたる全国各地域で活動する消防団。その消防団のひとつ、東京都青梅市の青梅消防団は、スマホアプリ『防災アプリ FIRE CORPS め組』を開発・導入しました。

 「消防署員は交代制で消防署に常駐し、火災発生の連絡で直ちに現場に直行します。一方で消防団員は、ふだんは別の仕事に就き、火災などでの招集があった場合に職場や自宅から出動するわけです。もちろん、招集があっても仕事場を離れられないこともありますし、またどこか遠くに出かけていることもあるので、団員すべてが必ず揃うわけではありません」(事業部 部長・山崎 克己氏)

課題解決のためにICTを活用

▲事業部 オープンシステム課・梶山 雅由氏

 山崎氏が消防団員だった16年の間には携帯電話も普及し、出動する団員同士でコミュニケーションを取れるようになりました。また自治体から携帯メールで火災情報を連絡するシステムも実用化されました。しかし消防団員を的確に配置し、消火活動を行うには、それでもまだ不十分な仕組み(システム)だったといいます。

 「そこで考えたのが位置情報を把握できるICTの活用です。具体的には、スマホのGPS機能を利用した、消防団員が自由に活用できるソリューションを作れないかということでした。こうして、『防災アプリ FIRE CORPS め組』の開発が始まりました」(山崎氏)

 この『め組』の開発は、山崎氏が勤務する青梅商工会議所の手で行われました。

 「『め組』の開発においては、山崎の意見を参考にしつつ、私も開発担当の一員として携わりました。自分自身は消防団員の経験がないので手探りの部分もありましたが、最終的に充実したものができあがったと自負しております」(事業部 オープンシステム課・梶山 雅由氏)

各々の団員の位置、火点、水利点の“見える化”を実現

▲『防災アプリ FIRE CORPS め組』

 この『め組』の概要と特徴を、梶山氏にご紹介いただきました。

 「最大のポイントは、自治体が運用する災害情報メールから住所を自動的に抽出し、地図表示できることです。地図には水利、つまり消火用の水をどこで取れるかも表示するので、消防団は的確な位置どりができます。次に、それぞれの団員の位置と『火点に向かう』『詰所に向かう』などの行動が他の団員に伝えられることです。こうして全体像が把握できるため、各団員は自分がすべき適切な行動を判断できます。また訓練モードやコミュニケーション機能により、消防団の訓練や日常の活動でも十分役立てていただけると思います」(梶山氏)

利用が拡大すれば地域の防災力の強化に

 この『め組』の導入から間もない2014年4月、青梅市で火災が発生しました。狭い道に囲まれた現場では、『め組』の地図表示機能が大いに役立ち、効率的な消火活動が実施できたとのことです。

 「普段からスマホをお使いの消防団員の方が、『消防団』で検索してこのアプリを見つけ、使いやすそうだし使ってみようかなと、多くの方に感じていただき、利用が今後さらに拡大してくれればと思います。また、ICTの利活用に大変興味がありますので、本誌についても今後、利用者、開発者として、導入実績を参考にさせていただけたらと思います」(梶山氏)

『防災アプリ FIRE CORPS め組』は、すでに多くの地域でも利用されています。ICTの展開力を感じます。

組織名 青梅商工会議所
設立 1954年(昭和29年)4月
所在地 東京都青梅市上町373-1
会頭 舘 盛和
事業内容 システム開発、商工ニュースの配信、中小企業の経営全般のサポート
URL http://www.omecci.jp

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