企業ICT導入事例

-株式会社オーイーシー-
コスト削減を目的に、自治体向けクラウドサービスを提供

大分県におけるICTのリーディングカンパニーである株式会社オーイーシー。「弊社のルーツは、1966年に創業した大分電子計算センターという会社です。当時はコンピュータの業務利用の黎明期であり、ここ大分でも地元企業が協力し、共同でコンピュータの利活用について考えようという動きがありました。そこで、アステム、トキハ、大分放送、西日本電線、大分合同新聞、大分銀行などの出資で、弊社が設立されたのです。以来、これまで公共システムや税務関係のプログラムの受託制作を手がけてきました。1987年には、本社をこの大分ソフトパークへ移転。1990年に社名もオーイーシーへと変更、現在に至っています」(代表取締役社長・加藤 健氏)

【事業内容】システムソリューションおよび総合情報サービス
【開発の狙い】大分県内の自治体に、コストの引き下げのためクラウドを使いシステムの共同利用提供
【今後の展望】大分県以外の自治体へのさらなる導入拡大

【事業内容】現在、得意とする分野を教えてください。

▲代表取締役社長・加藤 健氏

 「やはり自治体向けの情報システムですね。弊社はそうしたシステムを、大分県内の自治体様にご提供、広くご利用いただいてきました。さらにこうして積み上げた実績により、現在は大分県外の全国の自治体にもご利用いただけるよう働きかけを続け、京都府や佐賀県、香川県などでご採用いただきました。弊社ではこうした活動をさらに効率化するため、大分県内の自治体向けシステムの保守運用サービスは分社化し、弊社自体は県外向けセールスに注力しているところです」(加藤氏)

大分県内で培った技術、ノウハウは、他県のシステムでも生きるのでしょうか?

 「各自治体の業務に求められている機能は基本的に同一です。また総務省はシステムの共同利用を強く指導されています。ただ実際のところ、自治体ごとにやり方が異なる部分があるのが実情ですね。弊社はそうした部分を、自治体様の仕様に合わせて作り替え、納品しています。ただ今後はできる限りのシステムの共通化が望まれるところだと思っています」(加藤氏)

【開発の狙い】そうしたシステムの共通化を考える上で、クラウドを使ったサービスにも取り組まれているわけですね。

 「大分県内の自治体様に、クラウドを使いシステムを共同で利用し、コスト引き下げをご提案したのです。これはまず総務省からの補助金交付を受けた実証実験として行われ、大分県からも共通化への強い働きかけがありました。その結果、大分県内では18の自治体様のうち12の自治体様で利用が実現しています」(加藤氏)

そうした共同利用の実現には、“平成の大合併”というタイミングも影響したのでしょうか?

 「そうですね。平成の大合併が行われた背景には、財政事情の厳しさもありました。しかし合併ですぐにそうした問題が解決したわけではありません。そんな中、総務省による補助金の話もありました。そこで大分県にも総務省の進める開発実証に手を挙げていただいたというわけです。おかげさまで共同利用が大きく進みました」(加藤氏)

システムの具体的な構成内容について教えていただけますか?

 「まず基本となるのが大分県庁と自治体を高速ネットワークで結ぶ『豊の国ハイパーネット』の存在です。これも平松前知事が立ち上げたネットワークで、各自治体は、自治体および県庁を結ぶ高速かつセキュアな専用線を無料で使えます。弊社は県内にあるデータセンター内に『豊の国IaaS(インフラストラクチャ・アズ・ア・サービス)』を用意し、その上にVMware※による仮想化環境を構築、プライベートクラウドとして、自治体向けシステムを運用しています。各自治体は、ここに豊の国ハイパーネット経由で接続し、利用するのです」(加藤氏)

  • ▲豊の国IaaSイメージ図

  • ▲同社が提供するサービスのパンフレット

  • ▲エントランス

クラウドを共有することで、コスト低減を実現しているのですね。

 「先ほど申し上げたように、自治体の業務はどこも基本的に共通で、求められるシステム像もほぼ同一です。しかしそれを各自治体が個別に構築、利用する形態では、システムへの投資は重複し、また設備の維持負担もそれぞれに発生します。このようにクラウド上で動くシステムを共同利用することで、そうしたムダを省くことができます。さらに『豊の国IaaS』では、自治体向けシステムのほか、民間企業向けクラウドサービスも提供しています。こうして性格の異なるシステムを複数動かすことでピークを分散し、さらなるコストの低廉化を実現しています」(加藤氏)

そうした共通化は、将来的に法令や制度上の要請での修正にも柔軟に対応できますね。

 「はい。また近い将来予定されているマイナンバーの導入についても、スムーズに対応できるのではないかと思っています」(加藤氏)

【今後の展望】今後の業務展開についても教えていただけますでしょうか。

 「クラウドによるシステムの共通化がより広範になれば、その使いやすさや低コストが、住民のメリットにつながると思っていますので、これからも引き続き、大分県内にとどまらず、各自治体への採用を働きかけていきたいと思っています。またご存知のように、東日本大震災で、堅牢なデータセンターやクラウドによるデータ保管の有用性が大きくクローズアップされました。ここ大分県も南海トラフ地震の影響が懸念されています。県内については、今後システムを導入される予定の2~3の自治体も含め、そうしたセキュリティ面についても十分なお手伝いをしていきたいと思っています。もちろん、責任は重大ですが、それだけにやりがいを感じつつ、業務を遂行していく所存です」(加藤氏)

最後になりますが、所属している「日本電信電話ユーザ協会」に対して期待することや、要望などはありますか?

  「最近は地域重視とよく言われますが、クラウドという基盤の上に情報データが蓄積され、これをスマホやタブレット等で活用するなど、地域の文化やそこに暮らす人々の役に立つことにICTが貢献できる環境が整ってきたと思います。ICTが地域に密着することで、豊かな生活、文化の創造に貢献していく新たな取り組みを今後もご紹介していただければと思います」(加藤氏)

※ VMware:Windows/Linuxなどで動作する、PC/AT互換機エミュレータ。UNIX互換OS上でWindowsを動作させたり、その逆を行ったりすることができる。

会社名 株式会社 オーイーシー
設立 1966年(昭和41年)4月
本社 大分県大分市東春日町17-57 ソフトパーク内
代表取締役社長 加藤 健
資本金 6,500万円
事業内容 システムソリューション、システム開発サービス、ネットワーク構築、アウトソーシング
URL https://www.oec.co.jp/

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