企業ICT導入事例
-株式会社クロスキャット-オープンソースでクラウドを構築し、低コストで充実のサービスを提供
1973年に創業し、今年40周年を迎える株式会社クロスキャット。当初はシステムの制御まわりを主に手がけていましたが、その後、汎用機という大型のコンピュータに組み込む業務システム分野に進出しました。「金融機関を中心とするお客さまにご愛顧いただき、現在も大手銀行さま、クレジットカード会社さま、損害保険会社さま、そして官公庁さまと幅広くお取引させていただいております。現在、これら業務システムと並ぶもう一つの軸として育てているのが、アプリ開発、販売の分野です」(代表取締役社長・井上 貴功氏)
御社が手がけているのはクラウドを使ったSaaS型勤怠管理システム「CC-Biz Mate」、予算管理ソリューション「CC-Budget Runner」などですね。
▲法人ビジネス事業部 事業企画推進部 部長・小倉 功氏
「金融機関向け、官公庁向けのシステムは、やはり大規模で、保守運用が占める割合も大きくなります。それに対しアプリ開発や販売は、目まぐるしく進歩していくテクノロジーを、アイデアと技術力を生かしどう活用していくかという面白さがあります」(法人ビジネス事業部 事業企画推進部 部長・小倉 功氏)
これらふたつについて、開発の動機はどういうものだったのでしょうか?
▲ 同社が提供するクラウドサービスのパンフレット
「実はどちらも、まず『自分たちが使いたいもの』というところからスタートしています。つまり、弊社で内製し、機能をブラッシュアップしたソリューションを、社外に販売しているのです。当初はどちらも自社管理設備で動くシステムとして構築しましたが、市販化においては、導入しやすさと安価なコストを実現するため、クラウドで展開することといたしました」(小倉氏)
▲導入イメージ
では、まず「CC-Biz Mate」の特徴から、簡単にご紹介いただけますか?
▲代表取締役社長・井上 貴功氏
「『CC-Biz Mate』は、主に弊社の仙台支店で開発された勤怠管理システムです。本社と同じシステムを支店でも導入することは可能でしたが、やはり100名程度という支店では、本社のシステムが大規模すぎて、あまり使い勝手がよくなかったのです。そこで規模に合わせた勤怠管理システムとして構築しました」(井上氏)
「機能の上での特徴は、スタッフの稼働、そしてプロジェクトの進捗の“見える化”です。弊社のようなシステムインテグレーション事業も含め、あらゆる分野の事業で『いまプロジェクトがどうなっているか』を把握することは非常に重要です。従来のマネジメントでは、進捗状況確認のための作業が繁雑で、その把握はせいぜい週単位、月単位というものでした。つまりプロジェクトの進行に問題があっても、それが顕在化するまでにタイムラグが発生していたのです。しかし『CC-Biz Mate』では、現場のスタッフが入力した情報を上長がひと目で確認できるため、日々プロジェクト全体の進捗、スタッフの稼働状況を把握できます。進捗の遅れの兆候もすぐに察知して対応できるのです。またお客さまから状況報告を求められたときも、感覚ではなく、デジタルな裏付けのある情報を元にした正確な報告が可能です」(小倉氏)
そのほか、機能で注目すべき部分はありますか?
「モバイルへの対応です。弊社はお客さまのオフィスに常駐し、働くスタッフを多く抱えておりますが、そうしたスタッフも携帯電話やスマートフォンで『CC-BizMate』にアクセスできます。上長は『CC-Biz Mate』を通じて社外で働くスタッフの勤務状況もわかるので、過重労働を防ぐ気配りなど、適切な対応をとることができます」(小倉氏)
次に「CC-Budget Runner」について、ご紹介いただけますか?
「企業にとって予算編成業務は経営管理のPDCAサイクルをサポートする重要なサイクルとなっています。しかし、予算管理に専任のスタッフを配置し、専用のアプリケーションを使えるのは大企業だけで、中小規模の企業では、Excelベースで管理しているところがほとんどです。『CC-Budget Runner』は、そんな中堅企業の予算管理をサポートするに特化した予算管理ソリューションです。もちろんExcelにはExcelなりの便利さがありますが、Excelでは部門を横断するような費用の管理や、過去のデータの蓄積からトレンドを判断するような使い方には向いていません。また二次的な資料を作ろうと思っても、そのためにマクロ※1を組むなどの手間が発生します。部署ごとに上がってくる予算をマージ※2して、もし修正があれば差し戻して……という作業の手間も膨大です。しかし『CC-Budget Runner』は、そうしたマージの必要もなく、また各部門で上がってきた予算を部門を横断して科目ごとに把握したり、科目ごとの比較を部門別に確認するのも容易です」(井上氏)
「また『CC-Budget Runner』は細目入力の機能を持っています。単に予算編成を便利にするだけでなく、その細目を付け合わせることで高精度な予実管理が可能になるのです。これも、Excelベースでは実現が困難な機能です」(小倉氏)
「CC-Budget Runner」に、そのほかの特徴はありますか?
▲社屋外観
「使いやすさと低価格化のため、クラウドを利用していることは先に申し上げました。それに加え、開発にはオープンソースを積極的に用いることで、さらなる低コストを実現しました」(小倉氏)
「リリースからまだ間もない製品ですが、今後もお客さまの声をうかがい、改良を続けていきたいと思っています。また中小企業向けの業務アプリをリリースされている同業他社さまからも、『CC-Budget Runner』の機能をそうしたアプリに統合できないかというご要望もいただいています。そうしたアライアンスも視野に入れ、商品開発を進めていきたいですね」(井上氏)
「これまでお送りいただいていた冊子は、総務に届いていたものの、社内で閲覧されることはほとんどありませんでした。しかし今回の取材を機に、今後は社内でも閲覧できる環境を整えていきたいと思っています」(井上氏)
※1 マクロ:パソコンで、複雑な操作の手順をあらかじめ登録し、必要な時に実行させる機能。
※2 マージ:複数のデータを比較し、決まった手順や規則に従って1つにまとめること。
会社名 | 株式会社クロスキャット |
---|---|
設立 | 1973年(昭和48年)6月 |
本社 | 東京都品川区東品川1-2-5 |
代表取締役社長 | 井上 貴功 |
資本金 | 4億5,900万円 |
事業内容 | システムソリューションシステム開発サービス BIビジネススタッフサービス |
URL | http://www.xcat.co.jp |
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