企業ICT導入事例
-川崎重工業株式会社-BCP対策を積極的に取組む
経営企画部・リスク管理課課長 品田 義弥 氏
輸送機器、精密機械、ガスタービンなどを手がける川崎重工業株式会社は、神戸本社をはじめ、兵庫県に数多くの事業所や工場を持つ。これらの中枢が、1995年、阪神淡路大震災に見舞われたことは、同社のBCP(BusinessContinuityPlan/事業継続計画)を積極的に取り組む契機となった。
「あの大震災では、工場が大きな被害を受けただけでなく、兵庫県明石市にあった情報システムも被災。復旧にほぼひと月を要したのです」(経営企画部・リスク管理課課長品田義弥氏)
同社は、兵庫県に事業基盤が集中していることを考慮し、本社機能を神戸本社、東京本社の双方に二重化することで、ダメージの軽減、そして業務の指揮系統を強化した。同時に、従業員の安否確認体制も一新した。
「阪神大震災のときは、通信網の途絶で、従業員の安否確認に大きな労力を必要としました。そこで、ICTを使った『安否確認システム』により、迅速な確認作業ができるようにしました」(品田氏)
同社が初の安否確認システムを導入したのは、2004年。そして2010年、システムをNTTコミュニケーションズが提供する「Biz安否確認/一斉通報」に刷新する。
「初代の安否確認システムは、こちらの要望により、さまざまにカスタマイズしました。しかしそのため、新型インフルエンザの流行時に即応して、システム機能を追加していくことが困難となっていました。そこで、より使いやすいシステムはないかという調査を進め、最終的に『Biz安否確認/一斉通報』へと切り替えました」(品田氏)
こうした安否確認システムは、企業のBCPにおいて、必要不可欠なもの。しかし、導入するだけでは不十分だと、品田氏は語る。
「弊社では、システムに搭載されている一斉通報機能を、通常の社内行事にも使うなどして、従業員によるシステム利用の習熟に努めていきたいと考えてます。また毎年1度、グループ会社を含め、従業員約31,000人を対象に、利用テストも行っています。直近のテストでは、99.7%の従業員の安否を4日間で確認することができました」(品田氏)
こうした努力は、2011年3月の、東日本大震災で実を結んだ。従業員の安否を速やかに確認できたほか、被災した東北エリアの事業所、そしてそこに勤める従業員個人個人の被災状況把握にも効果を発揮、迅速な対応策策定ができたという。
「しかしその一方で、震災にともなって生じる通信網の途絶というインフラ障害にも直面することになりました。こうしたインフラ面は、弊社だけでどうこうなるものではありません。弊社に信頼性の高い通信網を提供してくれているNTTグループとともに、よりより解決策を探るべく、進んで行きたいと思います」(品田氏)
会社名 | 川崎重工業株式会社 |
---|---|
設立 | 明治29年10月15日 |
東京本社 | 東京都港区海岸一丁目14-5 |
神戸本社 | 神戸市中央区東川崎町1丁目1番3号 |
取締役社長 | 長谷川 聰 |
資本金 | 104,484百万円 |
事業内容 | 国内外の100に及ぶ関連企業とともに“技術の企業集団”川崎重工グループを形成 |
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