ICTコラム

世界的にも注目を集める デジタルネイティブの若者たち
「Z世代」の定義と特徴とは?

Z世代のICT事情

公開日:2021/11/15

近年、1998年以降生まれの大学新卒者が続々と仕事に就き始めています。彼ら彼女らは「Z世代」と呼ばれ、生まれた時からデジタルに囲まれ、初めて持ったデジタル端末がスマートフォンという環境で育ってきました。これからの社会の中心を担うことになる彼ら彼女らのものの考え方、ICT活用法、今後の社会への影響を3回にわたって考えていきます。

ICTの申し子、デジタルネイティブスマホネイティブの若者たち

 ここ最近、「Z世代」という言葉をよく耳にされる方も多いと思います。今、この「Z世代」と呼ばれる若者たちが世界中で注目を集めています。「Z世代」とは日本では、今年23歳になる1998年以降に生まれた世代のことを指し、生まれた時からICTと接してきた世代です。コミュニケーション方法や価値観がほかの世代と異なり、デジタルとの親和性も高く、“デジタルネイティブ”“スマホネイティブ”とも称されます。
 長らく日本では、若者といえば「ゆとり世代」のようなことを言われていましたが、実は2006年からの第一次安倍政権の時にゆとり教育が見直され、「ゆとり世代」ではない世代が誕生しました。「ゆとり世代」=若者というのは遠い昔で、実はこの世代はすでに、中年に差し掛かっているのです。そして、この次に登場したのが「Z世代」と呼ばれる世代です(図参照)。

 このような“世代論”は、かなりの年齢幅の人々を同じ括りにするため、大雑把で科学的ではないのですが、あながち外れてもいないのが面白いところです。特に日本の場合、人種や言語、宗教などがそこまで多様ではない上に、国土があまり大きくないなどの理由から、ある程度年代で区切っても違和感がない部分もあります。「バブル世代」は……など、ざっくりと使う分には結構当たっていると感じたこともあるのではないでしょうか。
 ちなみに日本では「ゆとり世代」の後の世代のことを、「脱ゆとり世代」「ポストゆとり世代」などと言ってきましたが、なかなか浸透はしませんでした。そんな中、アメリカの世代論で10年くらい前から話題を集めるようになってきたのが「ジェネレーションZ」です。それまでのアメリカでは「ジェネレーションY」「ミレニアル世代」※が消費ターゲットを担ってきましたが、その世代も年齢が上がってきたこともあり、新しい世代として「ジェネレーションZ」が大変注目を浴びるようになってきました。この「ジェネレーションZ」と「脱ゆとり世代」は数年のズレはありますが、かなり近い世代のことを表していたため、日本語に言い換えて使われるようになったのが「Z世代」。アメリカの世代論をそのまま日本に持ってきた形です。

SNS上では圧倒的なリーダー

 アメリカでこの世代が注目を集めてきた理由の一つに、人口が多いことがあります。2020年に行われたドナルド・トランプ氏が落選した大統領選では、初めて選挙に参加する「Z世代」の一票が勝敗を左右するのでは? と話題にもなりました。やはり、人数が多いだけに影響力があります。ちなみに人口が多いのはアメリカだけではありません。東南アジアの平均年齢は20代ですし、中東やアフリカ、ヨーロッパだって若者は多いのです。実は世界は今、人類史上初めてと言ってもいいくらい若者で動いている、“若者の世紀”と言えるのです。少子高齢化が進む東アジアにいるとどうしても気づきにくいのですが、グローバルで考えると、どの国でもすごく重要なターゲットが「Z世代」になっています。
 そして、日本を含むこの世代の最大のポイントはSNS人口が多いところです。人口の多いアメリカでは当たり前ですが、日本でも成人年齢に差し掛かった人口的に最小の世代ですが、SNS上では最多人口を誇っています。SNS上で圧倒的なリーダーなのがこの世代なのです。ここ数年、企業にとっての一大テーマが、広報宣伝のため自社商品を拡散することですが、この世代でファンを増やしていかないとSNS上で情報が広がりません。そこに、これまで若者のことをあまり見てこなかった日本の企業も気づき始めました。

「Z世代」は世界共通の呼称

 「Z世代」の大まかな特徴を挙げてきましたが、結局のところほかの世代と大きく違うのは、初めて世界共通の世代呼称が使われていることだと思います。そしてそれは日本やアメリカだけではなく、ヨーロッパや中東などでも使用されています。今までは“世代論”というと、やはり国別にターゲット研究を行う必要があるくらい、お国事情が大きく関係していました。ところがこの世代になって、世界中の若者がInstagramやTwitter、TikTokなどSNSを通じて同じ情報に触れるようになり、価値観がすごく似てきて、若者たちの感覚が一気に近くなってきました。それは当たり前のことです。世界中でかなりの長時間、同じものを見ているわけですから。企業からすると、「Z世代」は世界共通でターゲットにできる世代なのです。もちろん、国によっての違いが残されている部分もありますが、共通項の価値観の部分だけで商品を開発して、同じものを売れる時代になってきたのです。そう考えたら「Z世代」という世代呼称が世界的に取り入れられたのも、とても理にかなった話だと思います。
 そのような「Z世代」は、具体的にどのようなSNSを使用しているのか、情報に対してどのような考えを持っているのか……そのあたりは次回から詳しくお話しさせていただければと思います。

※ ミレニアル世代:カナダの作家ダグラス・クープランドが、1991年に発表した、ベトナム戦争後に生まれた若者たちの生き方を描いた小説『ジェネレーションX~加速された文化のための物語たち』に由来。Xに続き、その次にあたる2000年前後(ミレニアム)に成人した世代を指す。

原田 曜平氏

マーケティングアナリスト。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂に入社。ストラテジックプランニング局、博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダーに。若者向けのマーケティングや商品開発に携わり、2003年JAAA広告賞新人賞受賞。博報堂退社後は信州大学特任教授、若者研究・メディア研究を中心に、次世代に関わるさまざまな研究を実施。テレビをはじめメディアのコメンテーターとしても活躍中。著書多数。近著に『アフターコロナのニュービジネス大全新しい生活様式×世界15ヵ国の先進事例』(小祝 誉士夫共著ディスカバー・トゥエンティワン刊)など。

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