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ICTコラム

第2回 AI導入で変わる、コールセンター運営とオペレーターの働く環境

 前回は、AIの音声対応とチャットでの質問・応答についてお伝えしました。今回は、お客さまとオペレーターの応答内容をAIがテキスト化、要約し活用するソリューションについて、NTTコミュニケーションズ株式会社へのインタビューを通じ、レポートします。

避けて通れない「通話のテキスト化」がオペレーターの大きな負担に

─コールセンターの運営における「電話応対以外の作業負荷」について教えてください。

加納:コールセンターではクレームの共有、FAQの作成、SV(スーパーバイザー)によるオペレーターの応対品質チェックや管理部門によるコンプライアンス違反チェックのための「通話後の応対ログの書き起こし」、つまり音声を聞いてのテキストファイル作成作業が、日常的に行われています。

─この作業は、コールセンターの運営にどのような影響を与えているのでしょう。

加納:まず現場の負担増です。こうした書き起こしは、通話時間の倍以上の時間が必要になり、オペレーターはその作業中、受電ができません。人手不足が常態化しているコールセンターでは、大きな負担になるだけでなく、クレーム電話の内容を書き起こすオペレーターは、お客さまからのきつい言葉をもう一度聞き直すことになり、精神的にもかなりハードな作業です。

今枝:また応対ログを要約する場合、オペレーターの経験やスキルによって、作業時間もその品質も異なるため、作業者により時間がかかったり、要約の内容が不明瞭であるケースもあります。そのため、SVが改めて通話音声を聞き直し、対応内容を確認する作業が発生する場合もあります(図1参照)。

音声のテキスト化からその要約までAI+クラウドで実現

─こうした課題を、どのようなICTで解決できるのでしょう。

加納:応対ログの書き起こしは、AIとクラウドを組み合わせ、通話音声ファイルからテキストファイルを自動的に生成する「COTOHA Voice Insight®」が実現できます。

今枝:一旦書き起こされたテキストは「COTOHA ®Summarize」で要約可能です。コールセンターの対応ログの要約に適したプランをまもなくリリースする予定です。

─「COTOHA Voice Insight®」の内容を簡単に教えてください。

加納:現在提供中の「バッチプラン」では、通話終了後、オペレーターが音声ファイルをVPN※1経由でクラウドに送ると、AIが音声を解析し、通話実時間+αでテキスト化します。音声ファイルのテキスト化が終了するまで、ほかの電話に対応することも可能となり、業務効率化が図れます(図2参照)。

─「COTOHA® Summarize」はどういった機能を持っているのでしょう。

今枝:音声テキストから、重要な部分を抜き出す抽出型要約と、重要な部分を基に新たに文章作成する生成型要約の二つの要約方法を提供しています。要約することで、次に同じお客さまからお問い合わせがあった時の履歴参照や、社内で応対内容を確認する際、全文を読み下すより時間がかかりません。またAIが統一的な基準で作業を行うため、品質のばらつきが発生しないというのも大きなポイントです(図3参照)。

クラウドを利用するため社内設備への大きな投資は不要

─導入にあたっての注意点について教えてください。

加納:「COTOHA Voice Insight®」のバッチプランは音声データの時間を単位とする段階制で、最小単位は100時間分とし、それ以上はお客さまのニーズにあわせたプランを展開しています。導入にあたっては、セキュリティを確保するため、NTTコミュニケーションズのVPNのご利用が必要で、より認識精度を高めるため、お客さまの声とオペレーターの声を分けて録音できるステレオ2chの通話録音装置を推奨しています。

今枝:「COTOHA®Summarize」のコールセンター向けプランは、すでにリリースしている自然言語処理・音声処理API※2プラットフォーム「COTOHA ®API」の機能として追加提供する予定です。クラウドで動くソリューションですので、お客さま側に特別な準備は必要なく、すぐにご利用いただけます。

今後も改良を重ね、質の高いコールセンター運営を支援

─今後の展望について教えてください。

加納:この春、新たなプランを二つリリースする予定です。一つ目はお客さまとオペレーターとの会話をリアルタイムにテキスト化する「リアルタイムプラン」、さらに通話内容を分析しお客さまの満足度を判定したり、応対内容に必要な重要事項やFAQをモニターに表示したりするなど高度な機能を持つ「音声マイニングプラン」です。

今枝:「COTOHA®Summarize」のコールセンター向けプランはご利用者の声をうかがいつつ、機能を高めていきたいと思っています。私たちはコールセンターに寄せられる声は“宝の山”だと思っていますが、それがお客さまとしてなかなか活用できていない状況です。AIをはじめとするICTにより、そうした状況を解決し、質の高いコールセンター運営を支援したいというのが私たちの願いです。

導入事例 株式会社NTTネクシア

SVの作業負荷を大きく軽減し、オペレーターの教育、育成が効率的に

  • 北海道事業部
    高度電話カスタマセンタ
    DX推進PT
    (左より)
    龍田 静香氏
    部長 目抜 勉氏
    瀬川 千晶氏

     全国に26のセンターを運営する当社では、オペレーターの応対品質向上のため、SVによる応対ログのテキスト化と内容確認を続けていましたが、それが大きな負担となっていました。そこで「COTOHA VoiceInsight®(バッチプラン)」を2019年秋より試験的に導入し、AIによるテキスト化を検証し、手応えを感じたことから、2020年より本格導入に踏み切りました。オペレーターからは「直感的で使いやすい」と好評です。またSVからも「短時間でテキスト化できるので、負担減になったほか、研修に使う『良い応対例』も数多く用意することが可能になり、より充実した指導ができるようになった」という声を聞き、導入の手応えを感じています。その一方で、認識精度を上げようと行った一部用語の辞書登録が、別の単語の誤変換につながってしまうなどといった事象も見られ、うまく使いこなすための工夫も重ねています。

※1 VPN:Virtual Private Networkの略。インターネットなどの公衆ネットワーク上に仮想的な専用ネットワークを構築し、その上で暗号化通信を行うことで、情報の盗聴や漏えいを防ぐ仕組み。
※2 API:Application Programming Interfaceの略で、ソフトウェアやアプリケーションなどを第三者が開発したソフトウェアと機能を共有できるようにすること。

今枝 尚史氏

プラットフォームサービス本部
アプリケーションサービス部
担当課長

NTTコミニケーションズ

加納 真波氏

プラットフォームサービス本部
アプリケーションサービス部
主査

NTTコミニケーションズ

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