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ICTコラム

第1回 AI導入で変わる、コールセンター運営とオペレーターの働く環境

ICTの発展は、さまざまなサービスや職場に大きな変革をもたらしています。そしてコールセンターもその例外ではありません。この連載では3回にわたり「AIの導入でコールセンター業務がどのように変わるか」を、コールセンターのAIソリューションを幅広く手がけるNTTコミュニケーションズ株式会社へのインタビューを通じ、レポートしていきます。

“人手不足”“スキル不足”への対応がCS向上のカギに

─現在、コールセンターが抱える課題について簡単にご紹介ください。

渡辺:少子高齢化やライフスタイルの変化による呼量増加により、人手不足が目立っています。一般的なお問い合わせについてはウェブサイトのFAQやチャットボット(自動会話プログラム)での解決が図れますが、複雑な問い合わせも増えてきており、その問い合わせに対応できるベテランの手が足りない状況が多く見られます。そうした技術を持つオペレーターの育成は難しく、応対品質のばらつきにもつながっています。さらにコロナ禍で対面を避ける行動が推奨され通販の利用が拡大するなど、電話の問い合わせは増加傾向にあります。(図1参照)

吉岡:また、お客さまのライフスタイルの変化により、コールセンターの営業時間外(例えば平日9時〜17時以外の時間帯)の問い合わせニーズも高まっています。

渡辺:こうした状況は「長い待ち時間」「いつも話し中」「営業時間内に問い合わせや受付ができない」といったお客さまの不満につながり、対策する会社としない会社ではCSに大きな差が出てくることになります。

音声で会話するAIが、お客さまの問い合わせに対応

─この課題解決のために、AIを活用する方法はありますか。

吉岡:当社で開発した「COTOHA Voice DX Premium™(以下Voice DX)」(図2左参照)は、AIが音声で回答するシステムです。AIによる自動応対ですので、オペレーターの人件費をかけずに24時間365日の稼働が可能で、コール数の繁閑にも柔軟に対応できます。また回答品質が一定なので、オペレーターのスキルによる品質のばらつきのようなことも発生しません。

─導入に向けてはどんなステップが必要ですか。

吉岡:まずはコールセンターの電話応対業務の中で、自動化の対象となる業務を選定します。選定後は、お客さまの問い合わせ傾向などを分析して、応対シナリオを作成し、実際に自動化して検証します。『商品注文』『資料請求』『訪問日時の変更』『よくある質問への回答』など、定型的であまり複雑でない問い合わせへの対応に効果的だと考えています。

複雑な日本語でも内容を理解し、短時間での応対を実現

─音声対応ではないAIにはどのようなものがありますか。

渡辺:文字によるチャットでお問い合わせに答える「COTOHA® Virtual Assistant (以下VA)」があります(図2右参照)。このシステムでは、お客さまの問いかけを高精度に理解した上で、必要な情報が不足している場合はAIが追加質問をしてお客さまの意図を判断し回答するので、機械的で不自然な会話が続くことはありません。

─音声応対のVoice DXとテキストチャットのVAは、どのように使い分けられるのでしょうか。

渡辺:まずはお問い合わせに対して、音声とテキストチャットのどちらが適しているのかということがポイントになります。また定型的な応対にはVoiceDX、ヒアリング項目が多い複雑な応対にはVAという使い分けも考えられます。

土肥:Voice DXとVAは現在“できること”が異なりますが、将来的には融合し、音声でもテキストチャットでも同レベルの自然な応対が可能になるよう、現在検討を進めているところです。
 人間が対応しなくてもいい応対をAIに任せることで、オペレーターが“本当に必要な業務”に専念できる環境をアシストできるものだと考えています。実際に導入いただいた企業からはオペレーターの専門性向上と効率運用が実現でき、お客さま満足度向上とともにコールセンターの三密対策や働き方改革などにもつながっているとうかがっています。

─ありがとうございました。

導入事例 COTOHA Voice DX Premium™

問い合わせ応対にAIを導入、オペレーターの資質を活かせる業務を拡張

  • NTTレゾナント株式会社
    パーソナルサービス事業部 ND部門
    担当課長 寺西 恭子氏(左)
    主査 小野沢 和哉氏(右)

     当センターは、インターネットプロバイダーOCN関連のお問い合わせを受け付ける総合窓口です。月間約10万コールを受け付けており、人手不足によるお客さまの待ち時間が課題となっていました。この課題を解決するために導入したのが、AIによる音声対応です。導入にあたり、AIによる受付比率30%、回答精度85%、解決率80%という目標を設定し、まずセンターの営業時間外に特定のサービスを対象に導入しました。当初はチューニング※3などに苦労しましたが、専門チームを作り、質問と回答の適切な組み合わせや言葉の揺らぎへの対応を進めることで、5ヵ月目くらいから精度が上がってきました。現在は、営業時間内もAIによる受付をご利用いただいています。

 こうしたAIの活用が「人間の仕事を奪う」という見解もありますが、当センターではAIを適切に管理メンテナンスする「ナレッジワーカー」という職種を新たに設け、オペレーターに活躍いただいています。また単純な質問はAI、複雑なものや営業・顧客開拓にかかわる案件についてはオペレーターが対応していくという“住み分け”を今後本格的に進めていきたいと思います。

※1 エスカレーション:上司などに業務上の判断や指示を仰いだり、対応を要請したりすること。
※2 オープンクエスチョン:会話術の一つで、二者択一で解答できる質問を避け、自由に発言できる聞き方。
※3 チューニング:情報システムやコンピュータ、ソフトウェアなどの設定や構成を調整し、目標の状態に近づけたり、性能を最大限引き出したりする作業。

吉岡 威氏

プラットフォームサービス本部
アプリケーションサービス部
第一サービスクリエーション部門
第五グループ 担当課長

NTTコミニケーションズ

土肥 美穂氏

プラットフォームサービス本部
アプリケーションサービス部
第一サービスクリエーション部門
第五グループ 担当課長

NTTコミニケーションズ

渡辺 早紀氏

プラットフォームサービス本部
アプリケーションサービス部
第一サービスクリエーション部門
第五グループ

NTTコミニケーションズ

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