企業ICT導入事例
-大阪商工会議所 経営情報センター-オンラインに設けた“出会いの場”で、ビジネスチャンスをプロデュース
予算や人的リソースがハードルとなり、新規取引先の開拓ができない中小企業は少なくありません。大阪商工会議所は、このような中小企業が「売り手」「買い手」になり、ネット上で商談可能な「ザ・商談モール」を開設し、取引活性化を支援しています。
【導入の狙い】費用のかかる見本市への出店や販促活動を行わず、インターネットの活用により、「買い手」と「売り手」をマッチングさせる。
【導入の効果】業種や地域を越えたマッチングを実現。また「モノ」と「ネットワーク」の結合で、中小企業の事業拡大に貢献。
全国約26万社から「買い手」と「売り手」を結びつけるオンラインの無料サービス
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▲大阪商工会議所 経営情報センター
部長 松井 伊代子氏全国をカバーする支店網がなく、また販促にかける予算も限りのある中小企業にとって、地域や業種を越えた新規取引先を見つけることは、容易ではありません。
「そうした中小企業の皆さまを支援するため、2000年に通商産業省(現・経済産業省)の補助金により構築された仕組みが『ザ・ビジネスモール』です。全国各地の商工会議所、商工会に加盟する企業はこのモールに情報登録が可能で、登録された情報や取り扱い商材は、どなたでも検索できます。また登録と同時に簡易的なウェブサイトも設定され、そこから自社のオフィシャルサイトへのリンクも可能です。現在、全国約26万の事業所にご登録いただいております」(松井氏)
この「ザ・ビジネスモール」の機能をさらに強化する仕組みも用意されています。それが「ザ・商談モール」です。
「『ザ・商談モール』は、自社が求める具体的な製品やサービスについての投稿に、興味を持った企業が『売り手』としてコンタクトできる、オンライン上の無料サービスです。通常、こうした買い手と売り手を結ぶ大規模なイベントは『見本市』ですが、出展には費用もかかりますし、売り手と買い手がうまく巡り会えるとは限りません。しかし、『ザ・商談モール』は自社の製品やサービスに合致する見込み客に、ネットを通じ、地域や業種の垣根を問わずアプローチすることが可能です」(松井氏)
海外の取引先からの「日本製品の引き合い」をオンラインで検索
建築資材の輸入販売を手がける株式会社グローバル・コンストラクションは、「ザ・商談モール」に“買い手”として参加しています。
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▲株式会社グローバル・コンストラクション
代表取締役 郡 文治氏「弊社は、海外から石材などを買い付け、日本の建築資材業者やデベロッパーなどに販売する会社で、アジアを中心とした世界各国に得意先のネットワークを有しています。実は海外の得意先から『日本の優れた製品を仕入れたい』という問い合わせが多く、そうした期待に応えるため、国内のメーカーや商社に取引をお願いすることもしばしばです。しかし、具体的な商談になると『実績のないところとは取引できない』『ご希望の数量は難しい』と言われるなど、多くの場合、なかなか前に進めない状況でした」(郡氏)
しかし「ザ・商談モール」を活用することで、こうした状況が解決したと、郡氏は語ります。
「インターネット環境さえあれば、仕事の合間に、また昼夜問わず利用が可能で、時間を有効に使えます。またオンラインでやりとりできるので、商談はスピーディになり、取引の可・不可が面談まで分からないといったことがなくなりました」(郡氏)
モールの掲示板機能により、商談を気軽にスタート
一方、“売り手”として「ザ・商談モール」を利用しているのが、株式会社ウエダ美粧堂です。
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▲株式会社ウエダ美粧堂 国際営業部
部長 ローゼン アダム氏「私たちは化粧用の筆という、非常にニッチな分野で事業を展開しています。国内の業界は非常に狭く、かつ各事業者はそれぞれ特定の化粧品メーカーとしっかり連携しているため、ある会社が取引先の変更を考えているといったニュースはその日のうちに業界全体に広がるほどです。このような事情により、業界内での新規販路の開拓には限りがあることから、『ザ・商談モール』で、業界外、さらには海外へのネットワークを持つ取引先を探し、事業の拡大を目指しているところです」(ローゼン氏)
またローゼン氏は、「ザ・商談モール」が備える機能が、スムーズな商談に役立っていると評価しています。
「モールの掲示板機能では、売り手の方はメールアドレスなどの記入が必須ではないため、気軽にご質問いただけます。また、見込み客と商談を進める上では『きちんと連絡がつくか』『会社が実在しているか』に注意を払う必要がありますが、このモールに参加しているのは商工会議所や商工会の会員に限られていることが、一番の安心感につながっています」(ローゼン氏)
今後はモールの機能をさらに強化。大阪・関西万博に向けた商機も視野に
そして両社とも「ザ・商談モール」でのさらなるビジネスの拡大に期待を寄せています。
「私は、できることなら取引先とは“気の合う仲間”という感覚で、ビジネスを進めていきたいと思っています。さまざまな企業が参加する『ザ・商談モール』は、そうした“仲間”を見つける絶好の場になると思っています」(郡氏)
「弊社の持つ製品と郡氏の持つネットワークが結びついたビジネスは、これまでの業界内での取引の枠を大きく越えた展開を見込んでいます。今後発展するであろうアジア市場への切り口として、ともに協力していきたいと思っています」(ローゼン氏)
大阪商工会議所は、この「ザ・商談モール」を含めた「ザ・ビジネスモール」のさらなる機能強化も予定しています。
「『ザ・ビジネスモール』の個別企業サイトは現在動画にも対応していますが、郡氏、ローゼン氏のような実際に使っている方の声を参考にしつつ、これからもより使いやすく、取引を支援できるような機能を盛り込んでいく予定です。また2025年の大阪・関西万博は、中小企業にも大きな経済効果につながると期待されています。万博に向けたビジネスチャンスもこのモールに取り込み、中小企業のさらなる事業拡大と発展を支援していきたいと思います」(松井氏)
ザ・ビジネスモール
商工会議所・商工会が運営するビジネス情報サイト。企業情報データベース検索、ビジネスマッチング、販路開拓、取引拡大、商談機会を提供する「ザ・商談モール」、店舗向けホームページの作成「BMテンポ」などのサービスを提供
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