企業ICT導入事例
-島根県松江市-プログラミング言語「Ruby(ルビー)※」を起爆剤に優秀な人材を集め、市の産業を活性化
人口減少問題への対応や産業振興への取り組みは、地方自治体の課題の一つ。松江市ではプログラミング言語「Ruby」を軸としたプロジェクトで、人材と技術の集積を図っています。
【導入の狙い】人口減少問題への対応と産業振興
【導入の効果】人材が集まり、Rubyプログラマの雇用を創出
松江市と「Ruby」の深いつながりに着目

▲松江市産業観光部 まつえ産業支援センター 主任・森脇 直則氏
「島根県松江市は、山陰地方を代表する都市ですが、全国的な人口減少問題への意識もあり、その対策を模索していました」(森脇氏)
この時、プログラミング言語「Ruby」を起爆剤に松江市の産業振興を図ろうというアイデアが、当時の担当部署の課長により提案されました。
「担当課長は、松江市に本社を置くネットワーク応用通信研究所に在籍するまつもと氏や同社社長の話を聞く中で、Rubyの有用性と将来性に強い期待を持ちました。そして松江市を『Rubyの街』とすることで能力ある人材を集め、その人材に注目した企業を誘致することが市の発展につながると考えたのです」(森脇氏)
担当課長は、その構想を「RubyCity MATSUE Project」としてまとめ上げ、市長に提案しました。
「このアイデアが市長を動かしました。また、平成17年の国勢調査で初めて人口減を記録したことも、プロジェクトスタートの大きな動機となりました」(森脇氏)
「Ruby City MATSUE Project」の拠点がオープン

▲松江オープンソースラボ(松江市開発交流プラザ)内
プロジェクトの拠点となるのは「松江オープンソースラボ(松江市開発交流プラザ)」です。
「ITというと、PCとインターネットがあれば良いと思われがちですが、実際には人と人とが交流し、学ぶ場が必要なのです」(森脇氏)
全国から人材が集まり、Rubyプログラマの雇用を創出

▲実績が認められ、「地域づくり総務大臣表彰」を受賞(平成24年度)
施設内で勉強会を重ねていくうちに、当地のIT企業がRubyを重視するようになり、全国各地からRubyのプログラマが松江市に集まってくるようになりました。
同時に松江市は、Rubyの利用を市内・県内に働きかけました。これが民間の事業者にRubyプログラマの雇用を創出し、それがさらに人材と技術の集積という好循環を生むことになりました。現在では、島根県外からも業務を受注する企業が増えているとのことです。
優秀な人材を発掘し、さらなる発展につなげたい

最後に森脇氏に、松江市での今後の取り組みや展望についてうかがいました。
「当初の狙いどおり、Rubyを中心としたIT産業振興の取り組みは、良い流れができつつあります。この流れをさらに本格的なものとしていくためには、人材の育成が重要です。今後は、中学校の授業にRubyを採り入れ、より若いうちにプログラミングの世界に触れる機会を設けることで、優秀な才能を発掘し、さらなる『Ruby=松江』の発展につなげていきたいと思っています」(森脇氏)
※ Ruby(ルビー):島根県松江市在住のまつもとゆきひろ氏が開発したプログラム言語であり、日本国内で開発されたプログラム言語としては初めて国際電気標準会議で国際規格に認証された。無償で公開されている上、ほかの言語よりもおよそ10倍早く、しかも簡単にソフトウェアが作れる。

組織名 | 島根県松江市 |
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所在地 | 島根県松江市末次町86 |
市 長 | 松浦 正敬 |
URL | http://www.city.matsue.shimane.jp |
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