企業ICT導入事例
-株式会社テーオーホールディングス-パッケージ化された基幹システムの導入で、各部門の業務フローを標準化
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企業の成長には、ICTの支援が欠かせません。また導入したシステムも、技術の発達や経営環境の変化により、修正や更新が必要になります。株式会社テーオーホールディングスは、こうしたシステム更新を機に業務フローの見直しを行い、さらなる成長の足がかりとしました。
ICTを活用したシステムの定期的な見直しが企業の確実な成長をサポート
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▲IT統制部
シニア・マネージャー
田澤 義直氏成長を続ける中堅企業にとって、ICTの効果的な活用は欠くべからざる課題です。そしていったん導入したシステムも、機器やソフトウェアの更新、新規機能の追加など、絶えず見直しが必要であることは言うまでもありません。北海道函館市に本社を置き、傘下の木材住宅事業、小売業などを手がける事業会社とともにテーオーグループを形成する持ち株会社、株式会社テーオーホールディングスは、そうした見直しをこれまで積極的に行ってきました。
「弊社のルーツは木材事業で、その後、事業分野を多方面に展開しつつ成長してきました。現在は木材事業と小売事業を軸とし、ケアサービスやスポーツクラブなど、生活者との接点となる分野に事業を拡大しています。このように拡大を続ける事業は、もちろんICTのサポートなしにはありえませんし、その定期的な見直しは必須です」(田澤氏)
システム更新を機に、従来の課題を解決し業務効率化を推進
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▲IT統制部
プロモーション課
マネージャー
柿崎 浩臣氏株式会社テーオーホールディングス傘下のテーオーデパートのシステム更新プロジェクトは、2015年秋にスタートしました。
「システム更新の直接的な理由は、2007年に採用し、使い続けていたACOS系メインフレームが老朽化して保守が難しくなってきていたことと、利用していたネットワークサービスの終了によるものです。また、新たなシステムの導入でセキュリティの向上を図ることも重要な要素でした。ただ設定されたタイムリミットはプロジェクト開始から約8カ月という、非常に短いものでした」(柿崎氏)
「時間の限られたプロジェクトでしたが、これを機に、従来のシステムで課題となっていた部分の解消も目指しました。実は従来のシステムは、現在一般的に使われているパソコンのように、デスクトップ上のアイコンをマウスで操作するGUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェイス)ではありませんでした。そのため経営判断や企画に活用するデータの収集と出力は、そのつど専門の担当者に依頼する必要があり、時間や手間がかかるだけでなく、業務を特定の人物に依存してしまうという点で、セキュリティ上のリスクとなっていたのです。また従来は自社内にサーバーを置いての運用でしたが、将来的なグループ全体のシステム一元化を踏まえ、クラウドでのシステム構築を前提としました」(田澤氏)
こうした構想のもと、同社はいくつかの候補を検討し、前提どおり、クラウドでの利用が可能な基幹システムパッケージソフトを選定しました。
「実は選択肢はそれほど多くありませんでした。多くのパッケージソフトは『販売管理機能』に重点が置かれていましたが、弊社はそうした機能に加え、独自発行の『テーオーカード』でクレジットやキャッシングサービスをご利用いただいているお客さまを管理する機能も必要としていました。そしてこの双方の機能を低コストで満たすものは、限られていたのです」(田澤氏)
教育期間のスケジュールへの組み込みが、スムーズな導入を可能に
ただ立ち上げから導入までわずか8カ月という短期間でのプロジェクトには、さまざまな苦労があったと言います。
「従来はある意味、それぞれの現場で発生する仕事に合わせてシステムを利用していたところがありました。そのため業務フローが部分最適であり、会社やグループ全体での統一感がなく、非効率的になっていたのです。システム更新にあたっては、こうした偏りを修正し、すべての部署で新システムを基準とする業務フローを採用することとしました。さらにホームセンター事業とデパート事業で異なる方式を採用していた原価計算手法も、システム更新を機に統一しました」(田澤氏)
「私たちIT統制部と各部署のリーダーが協力して、円滑な導入に向けて各部署の教育を行いました。こうした教育の時間をスケジュールに組み込んでいたことが、短期間での導入に大きく寄与しました」(柿崎氏)
苦労して実現したシステムの更新で、生まれたメリットとは
「先ほど課題として挙げたシステムの操作性については、重点的に工夫し、必要なデータを自在に取り出せる機能を実装しました。こうして従来の『担当者がいないとデータの収集と出力ができない』という時間的、精神的なハードルがなくなり、社員の発想によるタイムリーな企画立案や、スピーディな経営判断が実現したのです。また、これまでは各部署の担当者が“自分にとって使いやすい帳票”を求めたことから、帳票のフォーマットが200種類以上にも上っていました。そのため、見た目が違うだけでほぼ同じ内容の帳票があるなど、会議などでの情報共有の妨げになっていました。そこでシステム更新に合わせ、帳票をまず6種類に絞り、その後は『本当に必要なもの』だけを追加することで、フォーマットに規律を持たせました」(柿崎氏)
「業務フローの統一で、仕事の進め方そのものも業界標準に合わせることができました。またこれまで通例となっていたサービスを見直す契機にもなりました。例えば、クレジット部門においてお客さまの支払日を月4回に設定していましたが、はたしてこれが必要かどうかという議論をする契機となり、最終的に月1回に集約しました。これで分散していた業務をまとめることが可能となり、人的リソースに余裕が生まれました」(田澤氏)
新たなシステムのもと、さらなる事業分野の拡大を
最後に、今後の展望についてうかがいました。
「現在、導入からちょうど1年というサイクルを終え、社員も新たなシステムに慣れてきたところです。業務効率の向上により浮いたコストや人的リソースを今後の成長にどう役立てていくか、この1年を振り返りつつ検討したいと思います」(柿崎氏)
「近い将来には、ホームセンター、デパート以外の事業とのシステム統合が待っています。こうした事業間でさまざまなデータを統合し、グループ全体で“お客さまに最適なサービス”を提供していきたいと思っています。また、これまでは道南を中心とするお客さまへ良い商品やサービスを提供していましたが、今後はICTを活用し全国のお客さまへ当社のサービスや商品を提供していきたいと考えています。そうした事業展開においても、今回のシステムが大いに役立ってくれることでしょう」(田澤氏)
会社名 | 株式会社テーオーホールディングス |
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創業 | 1950年(昭和25年) |
所在地 | 北海道函館市港町3丁目18-15 |
資本金 | 17億7,564万円 ※2017年5月期 |
代表取締役社長 | 小笠原 康正 |
事業内容 | 流通事業、木材事業、住宅事業などの各種事業を展開 |
URL | https://tohd.co.jp/ |
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