企業ICT導入事例
-ViewSend ICT株式会社-“距離の壁”を超えて高度医療を実現する遠隔医療サービスをもっと身近に
地方の診療所にいる患者でも、ICTを活用することで大きな病院の専門医に診てもらえる仕組みが遠隔医療です。
現在では、利便性を向上させる各種支援サービスによってさらに普及し、海外でも在宅でも高度医療が受けられる日が現実になってきました。
【導入の狙い】遠隔医療システムを普及させて地方や海外でも高度医療を受けられる
【導入の効果】地方の診療所の医療レベルアップと経営改善。在宅医療も現実に
ICTの活用により急速に普及が進む遠隔医療
▲代表取締役・嗣江 建栄氏
日本では、1970年代から遠隔医療の研究が始まり、中山間地や離島と大学病院などを専用回線で結ぶ実験が行われてきました。以後、官民それぞれに実用化を推進してきましたが、特にインターネット環境が整備されてきた2008年頃から、総務省と厚生労働省が連携して進めた一連の地域ICT活用事業によって、国内各地域に遠隔医療の基盤が構築されました。そして現在はその急速な発展期といえます。
代表的な遠隔医療は、CTやMRI画像を転送して放射線医が読影する画像診断ですが、それだけではありません。手術中の病理診断、専門医同士のTV会議、患者と画面を通しての診断、健康管理や健康相談などにも活用の幅を広げています。
また、遠隔医療が生むメリットとしては、患者の身体的、経済的、時間的負担の軽減、検査から診断までの待機時間の短縮、セカンドオピニオンの提供、医療の質の向上、医療スタッフの育成などが考えられます。
「ICTを活用することで、医療過疎地でも高度な医療環境が得られる時代です。しかし、より普及させるには、さまざまな支援サービスも必要です。当社は、そのサービスを提供するプラットフォームとなることが使命だと考えています」(嗣江(しえ)氏)
画像情報プラス診断情報、さらに会計業務支援などのサービスを提供
▲救急医療現場などでは、スマートフォンで医療データが確認できます
日本では、CTやMRIなどの検査機器及びモニターや回線などはそれぞれの専門業者が提供しています。また、そこで使う医療画像情報管理システム(PACS)を提供するサービスや、画像診断する読影サービスの事業も生まれています。しかし、専門医の絶対数が不足し、その育成もなかなか進まない、電子カルテなどの診療情報や健康情報との連携が不十分、診療報酬手続きが煩雑などいろいろな課題もあります。ViewSend ICT株式会社は、こうした課題を解決するソリューション・サービスに取り組んでいます。
「遠隔医療に必要なハードやソフトの『道具』を整えるだけでなく、診断のレポート管理や診断料金の配分、支払代行など会計業務支援まで行うことで、地方診療所も大病院並みの医療ができて診療報酬も得られます。中核病院も多数の症例が扱えて専門家の育成にもつながり、医療の仕事に集中できます。活用しやすい環境を提供することで、遠隔医療を実施する事例はこの数年で確実に増え、診療所の経営改善につながった事例も生まれています」(嗣江氏)
さらに同社はこうしたシステムをグローバル医療に展開。ベトナムでは、中央病院に集中していた診断を地方病院でも可能にするプロジェクトで、仕組みとノウハウを提供しました。ほかにもマレーシア、バングラデシュなどでも実績を重ね、2014年からは嗣江氏の故国である中国でも、安徽省と遠隔医療に関する技術協力がスタートしています。
防災、救急さらに在宅医療にも、遠隔医療活用の場面が広がる
遠隔医療のニーズは防災や救急医療の分野でも高まっています。負傷者を重症度に応じて治療や搬送の優先度を決める時に、現場から画像を送って専門医に判断を仰ぐことができます。また、モバイル端末の本格的な普及によって、遠隔医療活用の場面も広がっています。医師が外出先からも、夜間でも診ることができ、専門医間あるいは医療機関同士の連携によるチーム医療が普及します。また、簡単なハンディ端末で介護ヘルパーが専門家に助言を求めることや、脳卒中で倒れた人への対応を家族にアドバイスもできるなどの変化も始まろうとしています。
「遠隔医療の進化は加速すると思います。それによって可能性も広がると同時に新しい課題が見つかり、場合によっては法的整備も必要になると思います。当社は時代の変化を見極めながら、サービスを充実させていこうと思います」(嗣江氏)
IoTやAI、ロボットの普及だけでは不十分。新たなビジネスに育てるための要件とは
今日、IoT(Internet of Things)によって、あらゆるモノやアクションがインターネットにつながり、そこに人工知能(AI)やロボット、モバイル機器を組み合わせたさまざまな「遠隔」システムが普及を見せています。医療や介護はもとより、エネルギーやセキュリティ、プラント、さらに農業や物流分野でも新しい取り組みが始まっています。しかし道具や仕組みが整備されてもそれだけでは十分でないことを、同社の事業は教えてくれます。
医療とは無縁の一般企業が、この潮流を踏まえつつ自社の事業の進化を実現するのに必要な要件を、嗣江氏はこうアドバイスしてくれました。
「人々が本当に使いやすいシステムを実現するには、周辺サービスが充実しなくてはなりません。そのサービスというのは、事業に関わるすべてのプレイヤーがWin-Winになれること。誰もが利益を得られ、社会に貢献できるビジネスモデルを作る工夫と勇気が必要ではないでしょうか」(嗣江氏)
会社名 | ViewSend ICT株式会社 |
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設立 | 2010年(平成22年)2月4日 |
所在地 | 東京都豊島区西池袋3‐1‐15 西池袋TSビル7F |
代表取締役社長 | 嗣江 建栄 |
資本金 | 2億5,749万円 |
事業内容 | 医療画像情報管理システム“PACS”の開発・製造・販売 遠隔読影支援システムの開発・製造・販売 在宅医療支援システムの開発・製造・販売 |
URL | http://www.viewsend-ict.co.jp/ |
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