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企業ICT導入事例

ICT導入事例 -株式会社小友木材店-

IOT

公開日:2016/04/25

ICTの力で、岩手から広げる林業の新しい可能性

世界で一番、「カッコいい」木材店。株式会社小友木材店のホームページを開くと、まず目に飛び込んでくるコピーが印象深い。30歳という若さで父から経営を受け継いだ小友氏は、ICTの力で日本の林業の未来にチャレンジしています。

木材を使ってくれる人と巡り合う ウェブを通じた情報発信の成果

▲代表取締役・小友 康広氏

「林業の可能性はまだまだある。そう感じていました」(小友氏)

先代経営者の父は「林業はもう無理」という危機感を持っていました。花巻にあった工場をたたみショッピングモール用地とし、不動産賃貸業を強化していったことも、そんな思いからでした。

多くの林業経営者の考え方は、今の取引先を守ることが中心。新しい顧客や取引先を開拓しようという発想がきわめて弱かったのです。

株式会社小友木材店が扱う木材は、建材となる針葉樹ではなく広葉樹。伐採した木の7~8割はパルプ材となって製紙会社に納品されます。残り2~3割は、岩手県の木材市場で売られたり、JRから枕木の発注があったり、それが取引先のすべてでした。

東京の大学を卒業後、都内のIT会社に就職し営業職で新規開拓を経験した小友氏は、世の中に広がっていないものを「どう売るか」の戦略は心得ていました。「新しく木材を使ってくれる人と巡り合うために」と考え、まずホームページを立ち上げ、Facebookを通じたコミュニケーションを重ねて、「岩手に面白いことを考えている若い林業経営者がいる」ことを発信し続けました。

「顔」が見えるコミュニケーション 広がりは、同志的な安心感から

「ホームページを作っただけで問い合わせが増えるわけではありません。その後の営業活動が大切です」(小友氏)

代表取締役となって以降、多くの林業人に次々働きかけ、アポイントメントを取り、実際に会って話をすることで人脈を広げ、そこから取引先を増やしていきました。

「ツールとしてのICTを使えるかどうか。例えば、ファックスではなくFacebookのMessengerでやりとりをする。若い世代に共通したコミュニケーション手法をうまく活用することで、同志的な安心感から、当社を選んでもらえるようになりました」(小友氏)

林業の専門的な情報をかみくだいて、分かりやすく発信する。そして、ウェブを通じて「顔」を見せることで、若い同世代のものづくりに関わる方々からの問い合わせが増えました。さらに、もう一つ大事なこと、それは「儲かる」を見せることでした。

「特にICTになじみの薄い世代は、『林業×ICT』で儲かる事実を伝えない限り、従来のやり方を変えたり、新しいことにチャレンジはしないと思います」(小友氏)

ICT活用で見えた「山見」のコスト 経験と勘に代わる、データの合理性

木材を伐採する現場にもICTを活用することで、小友氏は「林業×ICT」で儲かることを実証しました。

製紙会社を最大の取引先とする同社にとって、現場の作業は山の木を伐り倒し、丸太として製紙会社に売ることです。利益の大小は、伐採する木をいかに適正価格で山主から入手し、それを効率良く運び出せるかで決まります。どんな樹種がどれくらい生えていて、木材として伐採できるのかを見分け、山の「適正価格」を算出する仕事を山見(やまみ)といいます。同社でも70代の熟練者が、文字通り「経験と勘」でこの「山見」を行うのが従来のやり方でした。

「過去の台帳に残っていた試算額と実際の利益、見積と実績をデータベースに集計をかけたのです。その結果、利益が出た山と、出なかった山の差が一目瞭然、明確に分かりました。それは運び出す経費の差でした」(小友氏)

生えている樹種の判別での見誤りはほとんど利益に影響がなかった一方、木を運び出す段階で、見積段階よりも林道の確保が難しい場合に利益は大きく減少していました。これを数値として「見える化」したことで、誤った「山見」を減らし利益を上げることに成功したのです。

▲ICTの活用で、山から伐採した木を効率良く運び出せるようになって以来、同社の利益は確実に上がっています

テクノロジーの発展に託す 未来の林業の青写真

「実は、日本で最も死傷率が高い職業は林業で、一般的職業の約11倍にも上るのです」(小友氏)

日本の国土面積の約7割は森林です。先進国の中では、フィンランド、スウェーデンに次ぐ世界第三位の森林国にも関わらず、林業が職業として広がらない理由の一つはここにありました。これを、ICTの力で変えることができる、と小友氏は考えています。

「例えば、研究が進んでいるスマートチェーンソー※1が実用化されれば、安全な場所まで退避し、ボタンを押すことで木を倒すことができる。また、ドローンや自動運転の技術がさらに進歩すれば、従来はヘリコプターで搬出するしかなかった奥山※2からも、コストに見合った現実的なものになります」(小友氏)

自然環境に恵まれた日本人にとって、かつて森林との関わりは生活に密着したものでした。森林資源が豊かな日本に、こうしたICTの力で、生活の一部として林業を行う「兼業林家」が増えることを、小友氏は青写真として描いています。

「新しい森林との関わり方のハブになる、そんな会社にしていきたい」(小友氏)

世界で一番、「カッコいい」木材店。小友氏が抱くビジョンには、語り尽くせない可能性がみなぎっています。

※1 スマートチェーンソー:遠隔操作が可能な自動運転のチェーンソー。
※2 奥山:人里近くの里山に対し、人があまり入らない山のこと。

会社名 株式会社小友木材店
創業 1905年(明治38年)5月
所在地(本社) 岩手県花巻市花城町3-50
代表取締役 小友 康広
資本金 3,500万円
事業内容 木材素材生産事業(広葉樹専門)、不動産賃貸業、郵便事業
URL http://www.otomoku.co.jp

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