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企業ICT導入事例

ICT導入事例 -東信水産株式会社-

IOT

公開日:2016/03/28

ICT活用で鮮魚業界の改革にまい進する老舗鮮魚店

私たちの食卓に欠かせない「魚」。しかし、日本人の「魚離れ」はますます進み、魚の魅力をいかに消費者に喚起し、需要拡大に結びつけるかが鮮魚市場の課題になっています。そんな中、魚種の多さや、受発注単位の特殊性などからデータ管理が難しいと言われていた鮮魚分野にICTを導入し、売上を伸ばしているのが東信水産株式会社です。成功の要因には、創業70年に及ぶ老舗鮮魚店の持つ豊富な魚の知識と、データを「販売力」や「効率化」に変えるICTの力があったといえます。

【導入の狙い】ICTで鮮魚業界の改革を促すとともに人材育成、業界の活性化につなげる
【導入の効果】これまで難しかった鮮魚店へのICT導入を実現、売上向上、業務の効率化

魚離れが加速する中でも店舗改革や新しい生活提案で快進撃

▲「Toshin Kitchen」ではシーフードスタイリストが調理法を提案します

東信水産株式会社の創業は1949年。以来、新鮮な海の幸を「魚を楽しむ生活」とともに家庭に提供し続けています。現在、直営店1店を始め、百貨店、ショッピングモールなどを中心に計32店舗の鮮魚店を展開(平成28年3月現在)。取扱品目は、魚、貝、海藻合わせて500種類と他社を圧倒する品数で、売上高は約80億円に上っています。

魚離れの加速で苦境にあえぐ鮮魚業界の中で、快進撃が続く同社。背景にあるのは、単に魚を販売するのではなく、織茂氏によると「生活を提案する企業を指向したこと」にあります。アンケートなどから、単に「安い」ことや「新鮮」というキーワードが魚の需要につながるわけではなく、「調理時間」や「調理方法」の提案ができていないことが魚離れの原因の一つであると確信したと言います。そこで魚を料理したいと言うお客さまは多いと考え、魚の調理方法を教える「Toshin Kitchen」を鮮魚売場に併設し、料理、食育、接客のプロである「シーフードスタイリスト」という専門職が、素材とともに調理法も提案。同キッチンを導入した店舗では、瞬く間に売上増を記録したのです。

困難な鮮魚のコード化を成し遂げ、店舗運営、流通にICTを活用

▲iPadの活用により業務効率の向上、売上アップを実現しました

このように実際の店舗における改革や、新しい生活スタイルの提案で魚の消費増に成功した同社ですが、改革で重要な役目を担ったのがICTです。

「さまざまな業種において業務の効率化や迅速化に多大な貢献をしているICTですが、鮮魚店におけるICTインフラの構築は非常に難しい問題でした。原因の一つが、受発注単位の複雑さ。魚によって『尾』や『箱』、『キロ』など取り扱い単位がバラバラで、データ管理をしたくても『コード化』が難しかったのです」(織茂氏)

同社は、そのコード化を地道に手作業で行い、ついに完成させます。

「魚を知り尽くしていたからこそ、複雑なコード化も成し遂げることができました」(織茂氏)

その後、この仕組みを基に開発されたアプリケーション「Fish Order」はiPadに組み込まれ、各店舗に配備されることになります。その威力は絶大で、仕入や売上管理の効率化やスピード化はもちろんのこと、本社の人件費削減などにも大きく貢献。魚のコード化が実現したことにより、これまで流通ラインに乗らなかった「生魚」の取り扱いもできるようになり、既存の魚の流通、管理、販売の仕組みを大きく変えることになったのです。さらに鮮魚店ならではという複雑な従業員の勤怠管理を実現するアプリケーション「Fish Schedule」も導入。早朝から仕入に行く社員、バックヤードを管理する社員など同時並行的に違うシフトで動いている従業員の勤怠管理をICTで一元化し、効率化に結びつけています。現在、BtoC向けシステムの開発も順調に進んでおり、近くその概要も発表される予定とのことです。

ICTを少子化時代の人材育成、鮮魚業界の活性化に活用したい

▲取締役副社長 兼 営業本部長・織茂 信尋氏

次々に鮮魚販売に新機軸を打ち出す一方で、ICTの積極的な導入に動いている同社は、ややもすれば効率重視の企業に見られがちです。しかし、織茂氏は「ICT化の推進は鮮魚業界の『来るべき時代』を見据えた対策の一つ」と言い切ります。

「まずは人材育成の問題。少子高齢化時代を迎え、例えば今まで10年をかけて店長を育てていたものを、少ない年月で育てなければいけなくなる日も目前。これまでのように長期間をかけて体得していた店舗運営のノウハウ、従業員の勤怠管理などにICTを利用することで店長に求められる労力の削減が可能になります」(織茂氏)

さらに織茂氏は「鮮魚業界の活性化」は急務だと言います。鮮魚業界は設備投資などの面でハードルが高く、新規参入が難しい状況です。

「弊社が開発したシステムを利用していただくことにより、業界への新規参入を促し活性化につなげたい。『魚を売る』ばかりではなく、『魚を売る仕組みの販売』も私たちの新しいドメインにしていきたいと考えています」(織茂氏)

築地から豊洲へ移る卸売市場 変わる鮮魚流通で高まるシステムへの期待

今秋、80年にわたって東京都民の胃袋を満たしてきた東京都中央卸売市場築地市場が幕を下ろし、東京・江東区豊洲に新設される豊洲市場に移転されます。新市場への移転を前に、問屋、仲買、小売、いずれの業種もコスト削減や受発注管理、人件費の削減などが差し迫った課題になっています。織茂氏によると「すでに複数の問屋さんなどから、弊社のシステムを導入したいという引き合いはいただいています」とのこと。魚の流通経路が大きく変わろうとしている中、鮮魚市場のICT化に果敢に取り組んできた同社の次の一歩に大きな期待が集まっています。

会社名 東信水産株式会社
設立 1949年(昭和24年)1月
所在地 東京都杉並区上荻1-21-21
代表取締役社長 織茂 章則
資本金 7,200万円
事業内容 生鮮魚介類の小売販売、宅配デリバリーサービスの運営
URL http://www.toshin.co.jp/

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