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企業ICT導入事例

ICT導入事例 -株式会社オオクシ-

IOT

公開日:2016/03/28

「経営の見える化」で顧客満足度を高め、家業の理容室を39店舗の理美容チェーンに育て上げる

千葉県を中心に6業態39店舗の理美容チェーンを展開する株式会社オオクシ。経営安定化のカギを、お客さまのリターン率(再来店率)向上と見定め、POSシステムのデータ活用で高いリターン率を実現。高い顧客満足度と従業員の待遇改善で、安定経営を続けています。

経営に必要な科学的根拠を求め POSレジデータの活用を思い立つ

▲代表取締役・大串 哲史氏

家業の理容室を継承し、社長就任からわずか18年で39店舗の理美容室チェーンに育て上げた株式会社オオクシの大串氏。成功の要因は、ICT(POSシステム)の導入、とりわけ徹底的なデータ活用に基づく「経営の見える化」を推進したことにあります。

「理美容室の店舗数は全国で35万軒。コンビニの店舗が5万軒ですからその7倍。大半は家族または個人経営で地域密着型の零細店舗です。しかも当時は、徒弟制度の名残があって、腕前の評価基準は師匠に『上手だ』と認められるかどうか。要するに勘と経験の世界でした。私は30歳を目前にして後継ぎになりましたが、譲り受けた店を潰さないためにどうすれば良いのかとても不安でした。そこで、店の経営に必要とされる科学的な根拠を求めて、データを集め活用する方法を考えるようになりました」(大串氏)

POSレジデータの活用を思い立ったのは、学生時代に体験したコンビニのアルバイトから。当時から、コンビニでは「何が、いつ、どれだけ売れたのか」といったPOSレジデータの分析に基づき、曜日や時間帯や天候に応じた発注や品揃えを行い、収益を確保していました。この仕組みを理美容業界に適用できないものかと考え、業務システムの展示会で知り合った会社と共同で、自前のPOSシステムを開発したことが、その後の経営の礎になっていきます。

来店者のリターン率に着目 顧客満足度の向上に努める

▲POSシステム活用と綿密な従業員教育(マニュアルの整備、トレーニングセンター)、明るく清潔な受付が、高いお客さま満足度を生み出しています

POSシステム導入の目的は、取得した顧客データを入力し、それを分析したアウトプットを「経営の見える化」に役立てることでした。そのため、来店したお客さまには名前を書いていただき、来店日時、店名、サービスを提供した担当者名、サービス内容などを入力してデータベースを構築しました。中でも注目したのが「顧客のリターン率」で、このリターン率を顧客満足度の指標と捉えました。

「POSシステムを導入し顧客のリターン率を分析する中で、市場規模が年々縮小している実態に気づきました。1店舗当たりの主な商圏は半径500m以内。たったこれだけです。すなわち、来店客のリターン率を高めていく以外に、収益を安定させる道はないことが判明したのです」(大串氏)

この時から、同社は「リターン率の向上」を明確な経営目標に掲げるようになりました。その後の過程では失敗もありました。従業員個々のリターン率、売上高、生産性などが具体的な数値として見えたことによって、「経験や勘によるそれまでの評価」とは異なる結果が出てしまい、ベテランと若手の逆転現象が起こり、現場が混乱したからです。

こうした経験から、同社ではリターン率の高かったスタッフのどこが評価されているのか、お客さまへの問いかけを中心に徹底的に調査し、その結果をマニュアルにまとめてほかのスタッフがそこから学び、実践できるようにして、全店のリターン率の向上に結びつけてきたのです。

「お客さまを満足させ、商売を繁盛させる仕組みを作るために取得したデータなので、スタッフ個々の数値はいわば健康診断の結果と捉え、その数値を評価に連動させるような使い方はしておりません」(大串氏)

以来、お客さまに対するサービスについても、求められているサービス、求められていなかったサービスをアンケート結果などから峻別し、「お客さまの満足度を満たすことと生産性の向上との両立」を目指す試みに取り組んできました。

全店平均で85%のリターン率 13年連続で二桁成長を実現

数値上ではもっとも重視してきたリターン率は、全店舗平均で85%。中には95%を超えるという店もあるそうです。これによって、13年連続の二桁成長を果たしています。高リターン率が定着すれば、先行きの収益が見込めるため、従業員の待遇改善が可能になります。実際、同社では固定給制で業界平均よりも高く、また業界平均で40%といわれる離職率に比べて、同社ではわずかに3.7%(2015年6月現在)と圧倒的な定着率を保っています。

「当社ではほとんどが中途採用で、理美容師の中には自営経験者の人もいます。自営経験者は、何かがあった場合に自分で主体的に判断できる。これは東日本大震災が起きた際の、彼らの自主的な営業時間延長や他店へのサポートの協力体制などで実感しました」(大串氏)

採用にあたっては自ら長時間面接を行い、経験と個性を見極める。規格品で組み立てられたブロック塀よりも、大きさや形の異なる石(経験と個性の多様な集まり)で構成された石垣のほうが強い、というのが大串氏の唱える組織論です。最後に、ICTを活かした経営の要諦をお聞きしました。

「数値目標は企業の将来のあるべき姿です。それを目標にしながら、自社の長所・短所を突き詰めて具体的な方策を立てていく。ICTはそのための道具に過ぎません。また、当社は規模の拡大を目標にはしていません。顧客と従業員の幸せの拡大を求めて事業を展開する中で、必要に応じて規模の拡大ができれば良いと考えています」(大串氏)

会社名 株式会社オオクシ
設立 1982年(昭和57年)10月6日
所在地(本社管理部) 千葉県千葉市稲毛区小仲台2-3-12 こみなと稲毛ビル2F
代表取締役 大串 哲史
資本金 4,000万円
事業内容 「カットオンリークラブ」「美禅」「ヘアーサロンオオクシ」「ヘアカラーファクトリー」「カットスタイルクラブ」「カット:ビースタイル」等、直営店運営、独立支援事業
URL http://www.ohkushi.co.jp/

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