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2020年9月1日スタート!総務省に聞く「マイナポイント事業」の仕組みと狙い

記事ID:D10001

2020年9月1日、マイナンバーカードを使い予約・申込をするとキャッシュレス決済にポイントが付与される「マイナポイント事業」が始まります。この事業の狙いや仕組みについて、総務省の圓増 正宏氏に話をうかがいました。

マイナポイントの三つの特徴

● キャッシュレス決済サービスのチャージ額やお買い物額の25%のポイントを付与
● 消費を促すことで経済を下支え、かつキャッシュレス決済の拡大も狙う
● 来年以降さらに便利になる「マイナンバーカード」の普及を大きく後押し

目的は大きく三つ、特に重視するのは「消費の活性化」

「マイナポイント事業」の概要について教えてください。

  • 自治行政局地域力創造グループ
    マイナポイント施策推進室
    圓増 正宏氏

     「マイナポイント事業」は、申込をしたキャッシュレス決済サービスでチャージやお買い物をすると、チャージ額もしくはお買い物額に25%分のポイントが付与されるというものです。キャッシュレス決済サービスはQRコード決済や電子マネー、クレジットカードなどから一つを選択可能で、ポイントの上限は一人あたり5000円分です。2万円の支払いで2万5000円分のお買い物ができるとお考えいただくといいでしょう。また利用には、マイナンバーカードを使って事前の予約・申込が必要です。なお、ポイント付与の対象期間は9月1日から来年3月31日までとなります。

この事業の目的について教えてください。

 目的は手続きにマイナンバーの発行を求めることによる「マイナンバーカードの普及促進」、ポイントを付与することによる「消費の活性化」、官民が共同で利用し、地域におけるキャッシュレス化を推進する「官民キャッシュレス決済基盤の構築」の三つですが、事業そのものが昨年12月に決定した総合経済対策に盛り込まれた施策であるということから、2番目の「消費の活性化」が大きな柱になります。また昨今の新型コロナウイルス感染症による経済への影響により、マイナポイント事業の役割はさらに大きくなっていると考えます。なお新型コロナウイルス対策としては、こうしたポイント付与の仕組みが自治体からの給付に使えること、またキャッシュレス決済で現金を扱うことがなくなれば感染症対策に有効であるという部分も非常に重要ではないでしょうか。

より使いやすい仕組みを目指し民間事業者と広く連携

「チャージ額もしくはお買い物額の25%分のポイント付与」という仕組みには、どういった目的がありますか。

 国民の皆さまへの給付をデジタルで実現することです。これまでもプレミアム商品券のような仕組みはありましたが、マイナンバーカードを使ったデジタル化によりスピーディに実行することができます。また、できるだけ多くの方に使いやすい仕組みとするため、ポイントについては民間のキャッシュレス決済サービス事業者と連携することにしました。

実施時期が今年9月から来年3月となっている理由はどこにありますか。

 そもそも、今年7月から8月は東京オリンピック・パラリンピックが予定されていました。さらにさかのぼると、6月末までは昨年10月の消費税引き上げにともなう需要平準化対策として、経済産業省による「キャッシュレス・ポイント還元事業」が行われていました。つまり今回の「マイナポイント事業」はオリンピック・パラリンピックのあとの景気を下支えするという意味合いで時期が決まったのです。新型コロナウイルスの影響でオリンピック・パラリンピックは残念ながら延期となりましたが、景気の下支えの役割は変わることがないことから、予定通りの実施となりました。

多くの人が使いやすいよう、申込方法などを簡素化

選べるキャッシュレス決済サービスを一つにした理由を教えてください。

 今回の事業の制度設計にあたっては、民間のキャッシュレス決済事業者と会議体をつくり、議論を重ねてきました。その中で複数のサービスへの対応も話し合いましたが、やはり個別の事業者ごとに残高を振り分け管理するのはセキュリティ上でも難しいこと、事業者ごとにシステム構築の必要があること、さらに利用者にとってもわかりにくくなることなどから、「利用者が一つを選択する仕組み」に決めたのです。

申込の手続きやポイント付与の仕組みはどのようになっているのでしょうか。

 まずマイナンバーカードを取得していただきます。続いてそのマイナンバーカードを使い、「マイナポイントの予約・申込」を行っていただきます。マイナポイントの対象となるキャッシュレスサービスを一つ選択し、お申し込みいただくことで手続きは終了です。あとはQRコード決済、電子マネーの場合はチャージをすれば、クレジットカードの場合はお買い物をすれば、金額に応じたポイントが付与されます。

マイナポイントの予約・申込手続きにはマイナンバーカードが必要。マイナンバーカードの申請を行ってから交付通知書が届くまではおおむね1カ月とされている。
またマイナンバーカード交付申請書が手元にない場合は、市区町村窓口などで交付申請書を入手できる。
詳しくはマイナンバーカード総合サイト( https://www.kojinbango-card.go.jp/kofushinse/ )を参照。

マイナポイントの予約・申込はマイナンバーカードと手続きに対応したスマートフォン、ICカードリーダーライターがあれば、自身で手続きが可能。手続きはまずマイナポイントの予約(マイキーIDの発行)、次いで申込み(キャッシュレス決済サービスの選択)の順となる。
なお対応するスマートフォン、ICカードリーダーライターを持っていない場合は「マイナポイント手続きスポット」となるコンビニや郵便局でも手続きが可能だ。詳しくはマイナポイントホームページの予約・申込方法( https://mynumbercard.point.soumu.go.jp/flow/mykey-get/ )にて。対応機種について、またマイナポイント手続きサイトの検索もこちらで可能だ。

制度設計を行う上で特に気を配った点は何ですか。

 まず多くの民間事業者に参加していただき、利便性を高めることです。さまざまな協議を重ねた結果、現時点で100社以上の事業者さまのご参加をいただくことができました。もう一つは普段デジタルになじみがない方でもお使いいただけるような仕組みの構築です。こちらについては「マイナポイントの予約・申込」に、パソコンだけでなく、スマートフォンでの予約・申込を可能としました。実際にお使いいただいた方から「まだ複雑だ」というご意見をいただくこともありますが、「思ったより簡単だった」という声も多く寄せられています。さらにスマートフォンやPCでの手続きが難しい、お持ちでないという方向けに、郵便局やコンビニエンスストアなど身近なチャネルにも「マイナポイント手続きスポット」を設け、予約・申込を受け付けています。こうした取り組みにより、より多くの方にお使いいただける制度となったと思っています。

キャッシュレス決済非導入店舗もこの機会に導入検討を

この事業は生活者の消費活動にどのような効果をもたらすのでしょうか。

 2万円のチャージまたは、お買い物で2万5000円分の消費を促すことができるので、大きな経済効果を期待しています。また今後のキャッシュレス決済の拡大についても大きく寄与するのではないかと考えます。

新型コロナウイルス感染拡大による特別定額給付金制度の施行で、マイナンバーカードが大きく注目されました。現在、カードの申請数はどう推移していますか。

  •  7月以降、交付申請数が増加しています。「取得してマイナポイントを利用したい」というニーズが広がっていると考えています。交付は申込から通常一月くらいということになってはいますが、申込が多くなっていることから、それ以上のお時間を頂戴している市町村もあると聞いています。総務省としてはそうした市町村に対してはできるだけ早期に交付できるよう体制の整備をお願いしています。一方、国民の皆さまに向けては、マイナンバーカードの発行がマイナポイント利用の前提になることから、早めの申請を呼びかけております。

一般の小売店など“買い物に来ていただく側”が特に留意することはありますか。

 すでにキャッシュレス決済を導入している店舗については、特に申請など手続きの必要はありません。ただ導入されていない皆さまについては、利用者に“ポイントを使えない”ことでご不便を感じさせてしまうかもしれません。最終的には店舗における利便性や業務効率化にもつながると思いますので、ぜひ導入のご検討をお願いしたいと思います。総務省としても、導入コストや手数料が低廉な「JPQR※」の普及を進めています。

マイナンバーカードの普及により、生活や行政手続きが便利に

現在の予約・申込の手続きなど、さらに見直すご予定はありますか。

 できるだけ使いやすい仕組みを目指してスタートしましたが、皆さまの声を受け、さらに改善を進めています。具体的には当初「Windows7/8.1/10」とインターネットエクスプローラー11にのみ対応していたパソコンでの予約・申込は、8月から「Edge」「Chrome」にも対応しました。また「Macintosh」での予約・申込についても近日中に対応予定です(8月13日現在)。スマートフォンは手続きに対応する機種をウェブサイトに掲載するなどして周知を図っておりますが、こちらについても、対応機種をさらに増やす予定で作業を進めています。

今後の展望について教えてください。

 この事業で交付数が増えると思われるマイナンバーカードは、今後さらに利便性が高まる予定です。まず、来年春には健康保険証として利用できるようになるほか、お薬手帳、母子健康手帳などさまざまなカードとの統合も予定しており、利用者は「カードを何枚も持ち歩く」必要がなくなります。また各地の自治体が住民の皆さま向けに何らかの給付事業を行う際など、これまではプレミアム商品券のようなアナログの手段となっていましたが、これには準備も手間もかかります。そうした事業にマイナポイントのプラットフォームを各地方公共団体がご活用いただくことで、住民の皆さまに給付を行う際など、必要に応じスピーディかつ低負担で事業を立ち上げることができるようになるようシステム構築を進めています。そうした将来像が実現できるよう、「マイナポイント事業」を通じ、マイナンバーカードの普及を後押ししていきたいと思います。

※JPQR:複数あるQR決済コードサービスを一つのQRコードにまとめ、スムーズな支払いを実現する国の取り組み。店頭に掲示する一つのQRコードを来店客がそれぞれのスマートフォンで読み取る仕組みを採用、読み取り端末設置が不要となる。

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