ICTソリューション紹介

-株式会社タニタヘルスリンク-
ICT連携のプログラムが切り開く
コロナ禍の健康経営とコミュニケーション

記事ID:D10021

近年、従業員の「健康づくり」を投資として捉える「健康経営」が、企業の福利厚生の一環として取り入れられています。その取り組みの後押しに一役買っているのがICTを活用した支援サービスです。その一つ「タニタ健康プログラム」を展開する株式会社タニタヘルスリンクの広報担当の山本 耕三氏に、健康経営がI C Tによりいかに促進されているか、話をうかがいました。

重視される従業員の健康

 テレワークが定着し、働き方が多様化する中、福利厚生のあり方を見直す企業が増えつつあります。その見直しのキーワードの一つが「健康経営」です。健康経営とは、従業員の健康維持や増進が、企業の収益性や価値の向上につながるとの考えから、健康管理を経営的視点で実践するものです。例えば、従業員が健康であれば業務パフォーマンスが上がり、労働生産性が向上します。その結果、収益が上がるほか、取引先や消費者、投資家からの信用アップにつながり、企業価値が向上していくというものです。近年は、少子高齢化による労働力不足や公的医療費の増加が懸念される中で健康経営の重要性が高まり、福利厚生の一環として健康経営支援サービスを取り入れる企業が増えてきました。
 経済産業省も健康経営を浸透させるため、2016年度に「健康経営優良法人認定制度」を創設しました。この制度で「健康経営優良法人」として評価された大企業の上位を「健康経営銘柄」(2014年度より選定)および「ホワイト500」、中小企業の上位を「ブライト500」と区分・認定し、都市圏から地方まで健康経営の裾野の拡大を目指しています。
 実際、同省による2020年度の健康経営度調査によると、健康優良法人の認定数は2016~2021年の4年間で、大規模法人部門が235法人から1,801法人、中小規模法人部門が318法人から7,934法人まで増加しています。さらに「ホワイト500」「ブライト500」などの認定が、投資家や取引先、地域に対する信頼・信用を得るものとしても、企業の健康経営への意識は着実に高まっているようです。

歩き続けることで気がつけば健康に

広報担当 山本 耕三氏

 健康経営に対する意識の高まりから、健康支援サービス「タニタ健康プログラム」を展開する株式会社タニタヘルスリンクには、企業のみならず自治体も含めてさまざまなニーズが寄せられていると言います。

 「企業は、投資家からの注目、優秀な人材の採用、社員の定着率や生産性の向上といったことを念頭に、健康経営優良法人や健康経営銘柄の認定に向けた取り組みを推進しています。ほかにも、テレワークによる社員の健康意識の高まりやコミュニケーション不足など、コロナ禍で生まれた新たな課題にどう対応すべきか困っているという声も耳にします。
 また、自治体からは増え続ける医療費や介護給付費の問題を緩和していくため、地域の健康課題を解決しながら、健康を軸とした地域の活性化へ向けて何か取り組めないかといったニーズが寄せられています」(山本氏)

 こうしたニーズに応えた「タニタ健康プログラム」の基本は“歩くこと”。利用者は、歩いた後に活動量計や体組成計など、IoT対応の計測器で体と運動状態を計測し、データをサーバーに蓄積して健康管理サイト・アプリにより体調の変化を見える化します。さらに、健康づくりに役立つウェブコンテンツなどで改善点を把握し、行動変容を促すという仕組み(図参照)になっています。IoT機器とICTによってデータ収集や確認が簡単で、運動習慣のない人でも歩くことから手軽に始められ、続けることで「気がつけば健康的な体になっている」ことを意識したプログラムです。

ICTを駆使したイベントで歩くモチベーションを維持

 歩くことは簡単ですが、それを持続することは簡単ではありません。そのため、利用者が歩き続けるモチベーションを維持するための仕掛けが必要です。そこで、同社は「動機づけ」や「イベント性」を盛り込んでいます。

 「持続するためには『簡単』『楽しい』『続けられる』というキーワードが重要だと考えています。そこで、ICTを利用して個々が離れた場所からでも参加できるイベントを企画しました。具体的には、ウェブ上で国内外の名所(チェックポイント)を巡りながら歩数を競い合う『ウオーキングラリー』、歩数や体組成の計測回数に応じて付与される『ポイントプログラム』『デジタルバッジ』などです。これは、個人同士の競争だけでなく、チーム制でも実施できますので、社員間のコミュニケーション不足の解消に役立てることができます」(山本氏)

 テレワークは、社員間のコミュニケーション機会を減少させるだけでなく、通勤や訪問といった社員の運動機会も減少させ、健康リスクを高めています。今後このような健康行動を促す仕組みはますます重要になり、ICTが果たす役割も幅広くなってくるのではないでしょうか。

【利用者の声】健康経営に取り組むことで「働きやすい会社」に

ネッツトヨタ山陽株式会社

ネッツトヨタ山陽株式会社
管理部 経理グループ・システム担当・課長
藤原 博之氏

 当社は、岡山県で自動車を販売しています。業務の中で重視していることは「笑顔が生まれる接客」で、そのためにも従業員の健康維持は必須の課題となっています。しかし、以前は健康維持が個人任せになってしまい、会社として何かできないか苦慮していました。そこで、2015年より、福利厚生の一環として「タニタ健康プログラム」を導入し、健康経営に取り組んでいます。
 プログラム導入当初はまず「1日8,000歩を歩く」という目標を掲げ、参加者には活動量計を持って歩いてもらいました。その活動量計のデータを、社内に設置されたリーダーライターからサーバーに送信してもらい、それを基に、毎月発行している「けんこうプログラムニュース」に歩数ランキングを掲載することで、従業員同士が歩数を気にし合うなどモチベーションの向上を促しました。ちなみに、当社の従業員はほぼ100%自動車通勤で、普段から歩く機会があまりありませんでした。しかし、実践から半年ほどで、例えばスーパーの駐車場は店舗から遠い場所に駐車したり、スーパーの周りを一周歩いてみたりと、一人ひとりの歩数を稼ぐ意識が高まりました。

ショールームにも体組成計を設置し、「車の点検と一緒に体の点検も」と、来店者との話題作りにも活用している

 こうした取り組みが実を結び、2021年から経済産業省の「ブライト500」にも選ばれています。最近は採用活動においても、学生から「健康への取り組み」について尋ねられることがあり、当社の取り組みをしっかり説明できています。健康経営は社員の健康を考える「働きやすい会社」というイメージの定着にも一役買っていると考えています。


※ 体組成計:体重や体脂肪率、筋肉量などをはかる機器。

会社名 株式会社タニタヘルスリンク
設立 2007年(平成19年)3月1日
本社所在地 東京都港区三田3-13-16三田43MTビル7階
代表取締役社長 土志田 敬祐
資本金 1億円
事業内容 ウェブシステムおよびソフトウェアの開発・販売、健康機器・美容機器の販売およびリース、インターネットによる情報サービス事業および通販事業など
URL https://www.tanita-thl.co.jp/
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